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梅子黄 ウメノコキナリ 6/16-6/20
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──欲しい。
けれど、本当に?
貴嗣への不信が募る。
「どうして持ってるの?」
「簡単だったよ。ネットでも買えるんだね」
鈴音も買ったことはないけれど、レイプされた人や緊急に欲しい人の為に処方して貰えるのは知っている。
鈴音もだからこそケータイが欲しかった。
けれど……貴嗣の気持ちが分からない。
アフターピルをくれるのなら今までの様に避妊してくれればいいのに、彼はそれをせずにしかも鈴音の中に出してしまう。
「くれるの?」
どんな理由でさえ欲しい。
妊娠する可能性があるこの状態は鈴音にとって恐怖でしかない。
「勿論、条件はあるけどね」
優しくキスをする。
「条件って……私がこのまま警察に行けば貴方は捕まるのよ?」
その状態でまだ自分の方が立場が上だと思っているのか。
「行けばいいよ。鈴音さんが僕を厭うなら警察でも地獄でも……行った方が清々する」
けれど──鈴音にはそこまでの思い切りが出来ない。
数日前までは鈴音の最愛の人だったのだ。
そして今、この状態にしたのは鈴音の心変わりが原因で
貴嗣だけが悪い訳ではない。
「貴方は子供が欲しくて避妊しなくなったのかと思ったけれど──違うの?」
「違うよ。寧ろ子供はいらないかな」
「なら──何故?私が逃げ出せないように?」
「そうだね。鈴音さんは避妊薬がないと困るだろう?
僕との子を孕めば、灰谷君の所には流石に行けないだろう?」
「それなのに──アフターピルをくれるの?」
「子供は欲しくないんだ」
「なにそれ──意味わからない」
「欲しくないの?」
「──条件は?」
薬を貰えばとりあえずここを出ていける。
身分証もお金も携帯もなくても、どうにかなる。
けれど避妊薬だけはここにしかない。
鈴音が取り寄せるには身分証も時間もない。
妊娠していない可能性に賭けるには、リスクが大きすぎる。
どんな条件だろうと鈴音は受け入れるしかない。
それが受け入れられないのなら、警察に行くしか鈴音には道がなくなる。
「簡単だよ」
この言葉を信じていいのか──
そう思うのに期待してしまう。
「今度は鈴音さんから僕を求めて欲しいな」
──頭が真っ白になった。
けれど、本当に?
貴嗣への不信が募る。
「どうして持ってるの?」
「簡単だったよ。ネットでも買えるんだね」
鈴音も買ったことはないけれど、レイプされた人や緊急に欲しい人の為に処方して貰えるのは知っている。
鈴音もだからこそケータイが欲しかった。
けれど……貴嗣の気持ちが分からない。
アフターピルをくれるのなら今までの様に避妊してくれればいいのに、彼はそれをせずにしかも鈴音の中に出してしまう。
「くれるの?」
どんな理由でさえ欲しい。
妊娠する可能性があるこの状態は鈴音にとって恐怖でしかない。
「勿論、条件はあるけどね」
優しくキスをする。
「条件って……私がこのまま警察に行けば貴方は捕まるのよ?」
その状態でまだ自分の方が立場が上だと思っているのか。
「行けばいいよ。鈴音さんが僕を厭うなら警察でも地獄でも……行った方が清々する」
けれど──鈴音にはそこまでの思い切りが出来ない。
数日前までは鈴音の最愛の人だったのだ。
そして今、この状態にしたのは鈴音の心変わりが原因で
貴嗣だけが悪い訳ではない。
「貴方は子供が欲しくて避妊しなくなったのかと思ったけれど──違うの?」
「違うよ。寧ろ子供はいらないかな」
「なら──何故?私が逃げ出せないように?」
「そうだね。鈴音さんは避妊薬がないと困るだろう?
僕との子を孕めば、灰谷君の所には流石に行けないだろう?」
「それなのに──アフターピルをくれるの?」
「子供は欲しくないんだ」
「なにそれ──意味わからない」
「欲しくないの?」
「──条件は?」
薬を貰えばとりあえずここを出ていける。
身分証もお金も携帯もなくても、どうにかなる。
けれど避妊薬だけはここにしかない。
鈴音が取り寄せるには身分証も時間もない。
妊娠していない可能性に賭けるには、リスクが大きすぎる。
どんな条件だろうと鈴音は受け入れるしかない。
それが受け入れられないのなら、警察に行くしか鈴音には道がなくなる。
「簡単だよ」
この言葉を信じていいのか──
そう思うのに期待してしまう。
「今度は鈴音さんから僕を求めて欲しいな」
──頭が真っ白になった。
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