左遷されたオッサン、移動販売車と異世界転生でスローライフ!?~貧乏孤児院の救世主!

武蔵野純平

文字の大きさ
95 / 107
第六章 スタンピード

第95話 雷魔法どーん!

しおりを挟む
「ソフィーちゃん。あの角のついた兜のオークめがけて、雷魔法です♪」

 シスター・エレナの指揮で戦闘が始まった。
 まず、オープニングはソフィーの雷魔法だ。

 ソフィーはウンウンうなって集中をしていたが、雷魔法を放つ準備が整ったようだ。
 手にした魔法の杖――日本製のおもちゃ――が、バチバチと放電している。
 ソフィーの目は金色の輝きを増し、全身から黄金のオーラが立ち上がる。

 ソフィーが魔法の杖をサッとかざした。
 魔力の残滓が金色のきらめきを残す。

 オークジェネラルがハッとした表情でこちらを見た。
 ソフィーの魔力を感知したのか、それとも嫌な予感がしたのか……。
 オークジェネラルの表情に焦りが見え、立ち上がった。

 だが!
 もう!
 遅い!

 ソフィーが叫ぶ。

「どーん!」

 カッ!
 ドドーン!

 凄まじい稲光。
 目の前が白くなると同時に物凄い轟音が一帯に響いた。

 後ろに控える聖サラマンダー騎士団の面々から悲鳴が聞こえる。

「うわっ!」

「なっ!? 何が!? 耳がおかしい!?」

「目が! 目が!」

「落ち着け! うろたえるな!」

 フレイル団長の叱咤が聞こえてきた。

 雷魔法の使い手は珍しい。
 さらに、今ソフィーが放った範囲攻撃魔法の使い手はさらに希少だ。
 聖サラマンダー騎士団の連中も初めて見たのだろう。
 驚き動揺している。

 だが、俺たち『ひるがお』はソフィーの雷魔法に慣れている。
 動揺はない。

 シスター・エレナが、いつもと変わらぬニコニコ笑顔で指示を出す。

「はい。ソフィーちゃん、お疲れ様でした~。魔力回復でお休みでーす」

「ふうう……。ソフィーがんばった!」

 ソフィーは額の汗を袖でぬぐう。
 俺はすぐにソフィーを褒める。

「偉いぞ! ソフィー! 凄い魔法だったぞ! ほら! オークジェネラルが黒焦げだ!」

「えっへん!」

 ソフィーの雷魔法は、オークの集落の中央にいたオークジェネラルを直撃した。
 哀れオークジェネラルは、立ったまま黒焦げになり、トンカツになる運命である。

 そしてオークの集落もヒドイ有様だ。

 木製の掘っ立て小屋は燃え。
 集落の中央近くにいたオークは全て黒焦げになっている。
 集落外縁部に生き残ったオークが見えるが、恐らく五十はいまい。

 ソフィーは雷魔法『どーん!』の一撃で百五十ほどのオーク軍団を屠ったのだ。
 上昇したソフィーの強力な魔力とコントロールの成せる技である。

 聖サラマンダー騎士団のフレイル団長が声を絞り出した。

「これほどとは……、これほどの雷魔法……、初めて見た……。何という威力だ!」

 俺は振り返り誇らしい気持ちでニコッとフレイルさんに微笑む。
 そう。ソフィーの魔法は名前こそ子供らしくかわいいが、威力は凶悪なのだ。

 アシュリーさんとマリンさんの魔法指導に、ソフィーの才能とやる気。
 そして毎日ダンジョンに潜る修練の日々が、ソフィーの魔法を恐ろしいほどの高みに押し上げた。

 魔力切れでぶっ倒れたソフィーを抱きかかえて、急いでダンジョンから撤退したこともあった。
 魔法のコントロールに思い悩むソフィーを励まそうとして、逆に怒られたこともあった。
 ソフィーは本当に努力したのだ。

 そして……今!
 ここサイドクリークの町で一番の魔法使いは、ソフィーだ!
 俺の娘だ!


 さて、生き残ったオークは感電したダメージがあるようで動きが鈍い。
 膝をついているオークもいる。

 ――チャンスだ。

 このチャンスに肉食女子のシスター・エレナが黙っているわけがない。

「さあ、残りのオークも食材に変えてしまいましょう♪ アシュリーさん、左の方へストーンショットをお願いしまーす♪」

 俺たちから見て左の方が生き残ったオークが多い。
 シスター・エレナは、敵の厚みのあるところへ魔法を放てとアシュリーさんに指示を下した。

 アシュリーさんが、気合いの入った声で応える

「わかった! ストーンショット!」

 アシュリーさんの放ったストーンショットは、大量の石礫を放つ魔法だ。
 さらにアシュリーさんは、俺のアドバイスを聞いて石礫を弾丸状にしている。

 アシュリーさんは、聖サラマンダー騎士団が見ているので気合いが入っている。
 いつもより石礫の量が多いし、スピードも早い。

 オークの悲鳴が上がる。

「ブヒー!」
「ブフゥー!」
「ヒフー!」

 石の弾丸を大量に浴び、左手にいたオークがバタバタと倒れた。
 一撃で五匹!
 ダンジョンなら魔法一発で魔物の集団を撃破したことになる。

「凄いです! もう一丁♪」

「ストーンショット!」

 さらにもう一撃!
 今度は八匹倒れた。

 左側のオークの密度は薄くなり、スカスカだ。

「ブフウ!」
「ブー!」
「ブォー!」

 右前方から、生き残りオークが三匹突撃してきた。
 シスター・エレナは、すぐに指示を出す。

「マリンさーん。右に水壁をお願いしまーす♪」

「了解ですわ!」

 マリンさんは手に持った杖をサッと振るう。
 するとオークの眼前にぶ厚い水壁が現れた。
 オークは水壁に激突し跳ね返された。

「ブモー!」

 元気なオークが立ち上がり水壁に体当たりをかますが、水壁はまるで意思があるようにオークを押し返す。
 マリンさんの精緻な魔法コントロールで、水壁は柔軟に動く。
 右側で水壁とオークの相撲が始まった。

 右側が膠着したのを確認して、シスター・エレナが俺を誘う。

「さあ、リョージさん。私たちの出番ですよー! 左側に! 突撃でーす♪ お肉ターイム♪」

 俺とシスター・エレナは、左側のオークへ向かってダッシュした。
 肉食のお誘いありがとうございました!
しおりを挟む
感想 40

あなたにおすすめの小説

家族転生 ~父、勇者 母、大魔導師 兄、宰相 姉、公爵夫人 弟、S級暗殺者 妹、宮廷薬師 ……俺、門番~

北条新九郎
ファンタジー
 三好家は一家揃って全滅し、そして一家揃って異世界転生を果たしていた。  父は勇者として、母は大魔導師として異世界で名声を博し、現地人の期待に応えて魔王討伐に旅立つ。またその子供たちも兄は宰相、姉は公爵夫人、弟はS級暗殺者、妹は宮廷薬師として異世界を謳歌していた。  ただ、三好家第三子の神太郎だけは異世界において冴えない立場だった。  彼の職業は………………ただの門番である。  そして、そんな彼の目的はスローライフを送りつつ、異世界ハーレムを作ることだった。  お気に入り・感想、宜しくお願いします。

小さな貴族は色々最強!?

谷 優
ファンタジー
神様の手違いによって、別の世界の人間として生まれた清水 尊。 本来存在しない世界の異物を排除しようと見えざる者の手が働き、不運にも9歳という若さで息を引き取った。 神様はお詫びとして、記憶を持ったままの転生、そして加護を授けることを約束した。 その結果、異世界の貴族、侯爵家ウィリアム・ヴェスターとして生まれ変ることに。 転生先は優しい両親と、ちょっぴり愛の強い兄のいるとっても幸せな家庭であった。 魔法属性検査の日、ウィリアムは自分の属性に驚愕して__。 ウィリアムは、もふもふな友達と共に神様から貰った加護で皆を癒していく。

異世界に転移したら、孤児院でごはん係になりました

雪月夜狐
ファンタジー
ある日突然、異世界に転移してしまったユウ。 気がつけば、そこは辺境にある小さな孤児院だった。 剣も魔法も使えないユウにできるのは、 子供たちのごはんを作り、洗濯をして、寝かしつけをすることだけ。 ……のはずが、なぜか料理や家事といった 日常のことだけが、やたらとうまくいく。 無口な男の子、甘えん坊の女の子、元気いっぱいな年長組。 個性豊かな子供たちに囲まれて、 ユウは孤児院の「ごはん係」として、毎日を過ごしていく。 やがて、かつてこの孤児院で育った冒険者や商人たちも顔を出し、 孤児院は少しずつ、人が集まる場所になっていく。 戦わない、争わない。 ただ、ごはんを作って、今日をちゃんと暮らすだけ。 ほんわか天然な世話係と子供たちの日常を描く、 やさしい異世界孤児院ファンタジー。

うちの孫知りませんか?! 召喚された孫を追いかけ異世界転移。ばぁばとじぃじと探偵さんのスローライフ。

かの
ファンタジー
 孫の雷人(14歳)からテレパシーを受け取った光江(ばぁば64歳)。誘拐されたと思っていた雷人は異世界に召喚されていた。康夫(じぃじ66歳)と柏木(探偵534歳)⁈ をお供に従え、異世界へ転移。料理自慢のばぁばのスキルは胃袋を掴む事だけ。そしてじぃじのスキルは有り余る財力だけ。そんなばぁばとじぃじが、異世界で繰り広げるほのぼのスローライフ。  ばぁばとじぃじは無事異世界で孫の雷人に会えるのか⁈

『急所』を突いてドロップ率100%。魔物から奪ったSSRスキルと最強装備で、俺だけが規格外の冒険者になる

仙道
ファンタジー
 気がつくと、俺は森の中に立っていた。目の前には実体化した女神がいて、ここがステータスやスキルの存在する異世界だと告げてくる。女神は俺に特典として【鑑定】と、魔物の『ドロップ急所』が見える眼を与えて消えた。  この世界では、魔物は倒した際に稀にアイテムやスキルを落とす。俺の眼には、魔物の体に赤い光の点が見えた。そこを攻撃して倒せば、【鑑定】で表示されたレアアイテムが確実に手に入るのだ。  俺は実験のために、森でオークに襲われているエルフの少女を見つける。オークのドロップリストには『剛力の腕輪(攻撃力+500)』があった。俺はエルフを助けるというよりも、その腕輪が欲しくてオークの急所を剣で貫く。  オークは光となって消え、俺の手には強力な腕輪が残った。  腰を抜かしていたエルフの少女、リーナは俺の圧倒的な一撃と、伝説級の装備を平然と手に入れる姿を見て、俺に同行を申し出る。  俺は効率よく強くなるために、彼女を前衛の盾役として採用した。  こうして、欲しいドロップ品を狙って魔物を狩り続ける、俺の異世界冒険が始まる。 12/23 HOT男性向け1位

平凡な村人だと思われていた俺、実は神々が恐れる最強存在でした〜追放されたけど、無自覚チートで気づけば世界の頂点〜

uzura
ファンタジー
平凡な村人・レオンは、勇者パーティの荷物持ちとして蔑まれ、ある日「役立たず」として追放される。 だが、彼の正体は神々が恐れ、世界の理を超越する“創世の加護”を持つ唯一の存在だった。 本人はまったくの無自覚——それでも歩くたび、出会うたび、彼によって救われ、惹かれていく者たちが増えていく。 裏切った勇者たちは衰退し、彼を捨てた者たちは後悔に沈む。 やがて世界は、レオン中心に回り始める。 これは、最弱を装う最強が、知らぬ間に神々を超える物語。

少し冷めた村人少年の冒険記

mizuno sei
ファンタジー
 辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。  トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。  優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。

出来損ないと追放された俺、神様から貰った『絶対農域』スキルで農業始めたら、奇跡の作物が育ちすぎて聖女様や女騎士、王族まで押しかけてきた

黒崎隼人
ファンタジー
★☆★完結保証★☆☆ 毎日朝7時更新! 「お前のような魔力無しの出来損ないは、もはや我が家の者ではない!」 過労死した俺が転生したのは、魔力が全ての貴族社会で『出来損ない』と蔑まれる三男、カイ。実家から追放され、与えられたのは魔物も寄り付かない不毛の荒れ地だった。 絶望の淵で手にしたのは、神様からの贈り物『絶対農域(ゴッド・フィールド)』というチートスキル! どんな作物も一瞬で育ち、その実は奇跡の効果を発揮する!? 伝説のもふもふ聖獣を相棒に、気ままな農業スローライフを始めようとしただけなのに…「このトマト、聖水以上の治癒効果が!?」「彼の作る小麦を食べたらレベルが上がった!」なんて噂が広まって、聖女様や女騎士、果ては王族までが俺の畑に押しかけてきて――!? 追放した実家が手のひらを返してきても、もう遅い! 最強農業スキルで辺境から世界を救う!? 爽快成り上がりファンタジー、ここに開幕!

処理中です...