35 / 65
35 脱走
しおりを挟む
声を聞いたら、ますます帰りたくなってきた。
まだニーナはお母さんが見つかった事を知らないようだったな。確定じゃないけど、多分ニーナのお母さんだと思う。もし違ってたらショックが大きいだろうから、知らせない方が良い。
「シオン君。今夜牢の中の人達を逃すって連絡がきたよ。」
「いよいよだな!」
「うまくいくといいね。」
「きっと大丈夫だ。ポンタさんとコインさんがうまくやってくれる。それにトーマスさんの作ったスゲー機械もあるしな!」
「あはは、そうだね。さらに改良を重ねてレベルアップさせたからきっとうまく動いてくれる。シオン君の魔力も沢山入れておいたし。」
「数日バレないといいな。」
「そうだねぇ。」
その日の夕方、カメラで見ていたら次々と牢から出て透明になっていく姿が映っていた。
透明になるマントもトーマスさんが作った物だ。
それから、今までの映像が丸一日分、ひたすら再生される。
「良かった!成功だ!!」
「シオン君、やったね!!」
2人で手を取り合って大喜びした。
次の日になっても、食事はコインさんとポンタさんが全部空にして戻していて、元々、しっかり様子を確認する事も無かったので誰も気付いてない。
いよいよ今夜俺達の番だ!
トーマスさんと何回も手順を確認して、逃げる順路も完璧に頭に叩き込んだ。
「あれ?シオン君、見て。」
「何?」
「ほら、兵士じゃなくて貴族の人かな??牢じゃなくて城に入って行く。」
「本当だ!」
「なんだか嫌な予感がする。」
「俺も。」
「あっ、やっぱり王様の部屋に入っていくよ。」
「何かがバレたのか?」
「その可能性が高いね。」
「貴族だから平民達が減った事に気付いたのかも。」
「そうだね。音声を流すよ。」
『お時間をいただきありがとうございます。』
『うむ。それで、急用とは?』
『それが、どうやら私の領地の平民共が税を払いに来ないので取り立てに行かせたのですが、ほとんど居ないのです。』
『なんだと?』
『人がいる様子はあるものの、よく見ると人ではないと兵士から報告がきました。』
『どういう事だ?』
『私にもハッキリとした事は分からないのですが、全く誰もいない家も沢山あるようです。残った奴等に話しを聞くと怪しい奴に安全な場所に逃げようと話しを持ちかけられ、逃げて行ったそうです。』
『……おい!トーマスの担当を呼べ!』
『はっ!!』
『お呼びでしょうか?』
『おい、トーマスの家族はどうしている?』
『はっ、言い付け通り監視をつけ家事以外では外に出さないようにしています。』
『今すぐ家の中に入って確認させろ!』
『はっ!!』
「ヤバいな。トーマスさんどうする?」
「今すぐ逃げた方が良さそうだね。」
「透明マント着よう。」
『おいお前!トーマスを連れて来い!』
『はっ!』
「どうする?」
「私が残るからシオン君は兵士が来た時に逃げるんだ。」
「ダメだ!そんな事したら絶対トーマスさんがひどい目に合う。」
「大丈夫。私はうまくやるから。」
「絶対ダメだ!あっ、声をトイレの方から流そう。腹が痛いから少し待ってくれって。急いで録音して!!」
「わ、わかった。」
『おい、トーマス!国王様がお呼びだ。』
『す、すみません。お腹が痛くてトイレに……もうすぐ出ます。』
『チッ!早くしろ!!』
「よし、今のうちだ。」
小声でトーマスさんと手を繋ぎ開いている戸からそっと抜け出す。
透明のまま走って廊下を進んでいたらいつもの兵士が走って行くのを見かけた。
「あいつの後をついて行こう。城の外に出られる。」
「わかった。」
予想通り、外に出られた。
門の外には出られたが、ここからどう進めばいいかさっぱりだ。
連絡が取れる機械は持って来たけど、誰にも見つからない場所で連絡したい。
それに透明なのはいいけど、トーマスさんが見えないから、もし手を離してしまったら、姿を現さないとはぐれてしまう。
まだ城に近い場所だからか、兵士がウロウロしている。見つかったら大変だ。
『おい!連絡だ!!閉じ込めていた機械作りの男と、魔力持ちの男が逃げた。全員探せ!!見つからなかったら、お前ら全員死刑だ。国王様からの命令だ!!他の者にも伝えろ!!』
『了解しました。』
『絶対に見つけだせ!!』
まだニーナはお母さんが見つかった事を知らないようだったな。確定じゃないけど、多分ニーナのお母さんだと思う。もし違ってたらショックが大きいだろうから、知らせない方が良い。
「シオン君。今夜牢の中の人達を逃すって連絡がきたよ。」
「いよいよだな!」
「うまくいくといいね。」
「きっと大丈夫だ。ポンタさんとコインさんがうまくやってくれる。それにトーマスさんの作ったスゲー機械もあるしな!」
「あはは、そうだね。さらに改良を重ねてレベルアップさせたからきっとうまく動いてくれる。シオン君の魔力も沢山入れておいたし。」
「数日バレないといいな。」
「そうだねぇ。」
その日の夕方、カメラで見ていたら次々と牢から出て透明になっていく姿が映っていた。
透明になるマントもトーマスさんが作った物だ。
それから、今までの映像が丸一日分、ひたすら再生される。
「良かった!成功だ!!」
「シオン君、やったね!!」
2人で手を取り合って大喜びした。
次の日になっても、食事はコインさんとポンタさんが全部空にして戻していて、元々、しっかり様子を確認する事も無かったので誰も気付いてない。
いよいよ今夜俺達の番だ!
トーマスさんと何回も手順を確認して、逃げる順路も完璧に頭に叩き込んだ。
「あれ?シオン君、見て。」
「何?」
「ほら、兵士じゃなくて貴族の人かな??牢じゃなくて城に入って行く。」
「本当だ!」
「なんだか嫌な予感がする。」
「俺も。」
「あっ、やっぱり王様の部屋に入っていくよ。」
「何かがバレたのか?」
「その可能性が高いね。」
「貴族だから平民達が減った事に気付いたのかも。」
「そうだね。音声を流すよ。」
『お時間をいただきありがとうございます。』
『うむ。それで、急用とは?』
『それが、どうやら私の領地の平民共が税を払いに来ないので取り立てに行かせたのですが、ほとんど居ないのです。』
『なんだと?』
『人がいる様子はあるものの、よく見ると人ではないと兵士から報告がきました。』
『どういう事だ?』
『私にもハッキリとした事は分からないのですが、全く誰もいない家も沢山あるようです。残った奴等に話しを聞くと怪しい奴に安全な場所に逃げようと話しを持ちかけられ、逃げて行ったそうです。』
『……おい!トーマスの担当を呼べ!』
『はっ!!』
『お呼びでしょうか?』
『おい、トーマスの家族はどうしている?』
『はっ、言い付け通り監視をつけ家事以外では外に出さないようにしています。』
『今すぐ家の中に入って確認させろ!』
『はっ!!』
「ヤバいな。トーマスさんどうする?」
「今すぐ逃げた方が良さそうだね。」
「透明マント着よう。」
『おいお前!トーマスを連れて来い!』
『はっ!』
「どうする?」
「私が残るからシオン君は兵士が来た時に逃げるんだ。」
「ダメだ!そんな事したら絶対トーマスさんがひどい目に合う。」
「大丈夫。私はうまくやるから。」
「絶対ダメだ!あっ、声をトイレの方から流そう。腹が痛いから少し待ってくれって。急いで録音して!!」
「わ、わかった。」
『おい、トーマス!国王様がお呼びだ。』
『す、すみません。お腹が痛くてトイレに……もうすぐ出ます。』
『チッ!早くしろ!!』
「よし、今のうちだ。」
小声でトーマスさんと手を繋ぎ開いている戸からそっと抜け出す。
透明のまま走って廊下を進んでいたらいつもの兵士が走って行くのを見かけた。
「あいつの後をついて行こう。城の外に出られる。」
「わかった。」
予想通り、外に出られた。
門の外には出られたが、ここからどう進めばいいかさっぱりだ。
連絡が取れる機械は持って来たけど、誰にも見つからない場所で連絡したい。
それに透明なのはいいけど、トーマスさんが見えないから、もし手を離してしまったら、姿を現さないとはぐれてしまう。
まだ城に近い場所だからか、兵士がウロウロしている。見つかったら大変だ。
『おい!連絡だ!!閉じ込めていた機械作りの男と、魔力持ちの男が逃げた。全員探せ!!見つからなかったら、お前ら全員死刑だ。国王様からの命令だ!!他の者にも伝えろ!!』
『了解しました。』
『絶対に見つけだせ!!』
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
24
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる