優しい異世界に行った話〜ねずみたちとの、まったりスローライフ〜

戸田 猫丸

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最終章〜ずっと、友達〜

第2話

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「いただきまあーす!」

 最後の朝ごはんも、温かく楽しい雰囲気だった。
 どんぐりの粉で作られ、くるみが入ったおいしいパン。色々な果物に、野菜で作った砂糖を混ぜて作ったジャム。栄養たっぷりのミックスジュース。
 ねずみさんたちの料理のレシピを応用すれば、きっとぼくらの世界でもおいしい料理ができるに違いない。それを食べればきっと、また9匹みんなのことを思い出せるだろう。

「ごちそうさま! さあ、早速いつものヒミツキチに行くよ!」

 チップくんは大張り切りだ。ぼくも時間いっぱい、思いっきり遊ぼう。

「今日は、僕も行くよ」
「私も行こうかな」
「ぼくもいきたい!」

 いつもはお仕事に行くトム、いつもは家事をするモモちゃん、そしていつもはおかあさんにべったりのミライくんが、今日は一緒に来てくれるようだ。

「やった! 今日はみんなで行こうよ!」
「わあーい! みんな一緒だー!」

 チップくんとナッちゃんは大喜びで、はしゃぎ回る。

「思いっきり、遊ぼうね! マサシ兄ちゃんの、ステキな思い出のために!」
「ありがとうね。トム、モモちゃん、チップくん、ナッちゃん、ミライくん。じゃあ、たくさん遊ぼう!」
「よぉーし、じゃあ行ってきまーす!」

 5匹のきょうだいと一緒に、“ヒミツキチ”へと向かった。
 木枯らしは止み、森に暖かい陽の光が射し込んでいる。

「行ってらっしゃーい」

 おかあさんの声を背に、駆けていくチップくんとナッちゃん。その後を追いかけ、“ヒミツキチ”を目指す。


「わあ、今日はみんな揃ってるんだ! わーい!」

 先にヒミツキチへと来ていたチップくんのお友達も、みんな嬉しそうだった。さあ、何をして遊ぼう……?
 かけっこ。鬼ごっこ。陣取りゲーム。ハンカチ落とし。フルーツバスケット。かごめかごめ。はないちもんめ。じゃんけん勝ち抜きゲーム。草花集め。お絵描き。生き物の観察――。
 “ヒミツキチ”や野原、川辺で、ぼくらは思いっきり遊んだ。

「わーい!  みいつけたあ!」
「あはは、こっちだよー!」
「今日もあったかいよね」
「うん!  でも、もうすぐ冬だよね。風が冷たくなってきたよ」
「お腹すいた! お昼は何かなー」
「ねえ、さっきおやつ食べたばかりじゃん……」
「あ、そうだったね。あはは……」
「ふふふ……!」

 5匹のきょうだいも、お友達も、途中で参加してきた近所の大人のねずみさんたちも。
 みんなみんな、優しく、眩しく、温かな表情を見せていた。まるで人間みたいに。全ての悩みから解き放たれた人間のように――。
 ぼくも心を解き放って、ねずみさんたちみんなと、たくさん話し、たくさん笑い、たくさん遊んだ。

 時間は、あっという間に過ぎていった。
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