人類レヴォリューション

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英雄集結

part 2

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「やあやあ諸君。まずは力試しって流れかい?」

 見るからに軽薄そうな男は、端正な顔をくしゃくしゃな笑顔で崩し、此方へ歩いてきた。

「なに?  また頭悪そうなのが来たね?」

 君が一番頭悪そうだよ?  マイハニー。

「頭が悪いとは心外だ。これでもハーバードで教授をしているんだけどねー」

「あらあらハーバードも地に落ちたものね?」

「まあそれも自分で確かめなよ」

 軽薄そうな男はそういうと、全身から気魄を溢れさせ、急速にそれを拳に集め宿す。

「ハーバード騙る割りに案外無骨なのね。把握」

 把握しないでよろしい!

 僕の思考が追いつかない内に、ハーバード男が踏み込んで此方に突進してきた。

「お、タローよりは速いね。って、あれ?」

 ドゴンっと大きな音が目の前で鳴り、自分の足元を見るとそこにはさっきまで数メートル先にいた男が倒れていた。

 しかも床にめり込んで。

「なにこいつ!?  超弱いんですけど!!  強者感出しながら現れた割にこのザマ!  恥ずかしい!  恥ずかし過ぎてもう切腹しちゃうレベル!!  モブオブザトップ!」

 見せつけた圧倒的な攻撃力をも上回る言葉の暴力。
 それを穴があったら入りたいと言わんばかりに床に頭をめり込ませているハーバード男。

「は!?  なに今の?  なにしたのよあんた」

 口をポカンと開けていたデイジーだったが、すぐに気を取り戻したようで両手を机に叩きつけ驚いていた。

 一瞬の事で呆気に取られたがどうやら、ハーバード男がいきなり気魄を固めた拳で殴りかかってきたところをマイハニーが合気道の要領で受け流し、床に叩きつけた模様。

「うっさいわね本当。ウホウホ喚かないでくれる?頭痛くなる」

「なにしたのかって聞いてんのよ!」

「あんた見てたんでしょ?  え?  もしかして早すぎて見えなかったの?  うそ!!  あんたも口だけ!?」

 図星を突かれたのか、デイジーはそのままたじろぎ黙ってしまった。

「チサト様。味方を敵に回しては今後やりにくくなります。そろそろ自重を」

 間者のように颯爽と知里ちゃんの横に現れたアナナキンヌがそう言うと、「うむ」と返事し席に戻った。

 なにこの子達?
 いつからそんな主従関係築いてたの?

「素晴らしい!  チサト様はすでにそこまでの気魄を扱えるようになられているのですか!?」

 目を剥いて驚嘆するぽっちゃりアナナキ。
 それに気を直したのか、えっへんのポーズ。

「私だけじゃなく、このマイダーリンもそれくらいなら出来るわよ」

 そして僕も、えっへんのポーズ。

 隣を見ると、片方の眉毛を上げて訝しげに此方を見ているバータル。
 なるほど、こいつら僕達よりまだ弱いのか。

「どういう事よこれ?」

「デイジー様、チサト様達は気魄のコントロールを既に習得しているご様子。恐らく先程のジョージ様の攻撃を、瞬時に視力強化で見極め、流れるように足、腕に気魄を纏わせて迎撃したのでしょう」

「ご名答!  ないすぅ!」

「あのー。それよりこの人治癒した方がいいのでは?」

 僕はさっきから床にめり込んでいる、ジョージと呼ばれるハーバード男が気になっていた。

 なんてったって、ピクリともしないのだもの!

「ジョージ様!!」

 遅れてやってきた恐らくジョージ担当のアナナキくん。

「治癒が施せるのですか?」

 ジョージを床から引っこ抜いて、仰向けに寝かせると、アナナキくんは心配そうに此方を見てきた。

「うん。出来るよ。ちょっとどいてみ?」

 僕はアナナキくんをちょっと退かして、白目をむいているジョージに治癒を施した。

「……はっ!  なんだ?  なにが起こった!?  うわ!!  寄るな!!  よ、よるなぁー!!」

 目が覚めたジョージは、直ぐ横にいた知里ちゃんを見るなり、獣でも見たかのように後退して僕の後ろに隠れた。
 本能に叩き込まれたトラウマの元凶と、癒やしてくれた人間を即判別したのだろう。
 正解だと思う。

「化物みたいな扱いしちゃあ、やあよ」

 人を即死させそうなウインクをする知里ちゃん。

 僕の後ろで小刻みな震えが増していっているからやめてあげて?

「なるほど、タチバナ様は治癒も施せるのですか。本当に素晴らしいですねお二人とも」

 そんな褒めんなよー。
 照れるだろー!

「すごい」

 ぼそっとした声が後ろから聞こえてくる。
 振り向くと、目を爛々に煌めかせたディミトリーくんがいた。

 キタコレ!
 初っ端から尊敬されるパターンだ!!
 しかも何故だか僕等は、他の英雄より上達が早いみたいだし。

「ちっ!」

 ん?  誰だ?  舌打ちした馬鹿は?

 なにさっきから不貞腐れて貧乏ゆすりしてんだよ熊本くん。

「気に入らない」

 今度はなに?

「なにか特別なことしたんでしょ!?」

 デイジーは納得のいかないご様子。

「いいえデイジー様、タチバナ様とチサト様はこれといって何もせず、ただ言われるがままに我々についてここへ来ただけにすぎません」

 なんか言い方に棘あるな。
 アナナキっち。

「元々の気魄量もタチバナ様は多いですし、チサト様は我々も驚く早さで気魄に順応されていました。ですがまだまだ皆様と同様に気魄を使えるようになって間もないですのです。皆様もこれから伸びていかれるでしょうし、勿論お二方も伸びられるでしょう。これからですよ」

 アナナキっちの説明にもまだ納得がいっていない様子のデイジーだが、もう何も言う気は無いようで、やっと席についてくれた。

 しかし喋らんなバータル。
 寡黙過ぎるだろこの人。

「君もこの化物の仲間か?」

 あ、忘れてたわ。

 そう言ってきたジョージはいまだに震えている。

「そうですよ。ていうか仲間って枠組みならここにいる人たちみんな仲間ですけどね」

「ひぇっ!」

 いやいや、どんなトラウマ植え付けられたらそんな誰も信じられないって顔になるの?

「ジョージ様、落ち着いてください。今は自己紹介のお時間でしたので、ジョージ様も宜しければお願いします」

 お偉いさんだろうぽっちゃりアナナキよりも、冷静な雰囲気の我等がアナナキっち。

 チラと見ると、またなんかコソコソ2人で話している知里アナナキンヌコンビ。

 もう揉め事起こすなよ?
 チラチラ、バータル見てるけど。

「あ、ああ。そうだったのか。騒がせた、すまない。俺はジョージ・グリーンベル。ハーバードで物理の教授をしている本当だ」

 正気に戻ったのか、取り出したハンカチで額を拭いながら自己紹介に入るジョージ。

 普通に過ごしてたら、なかなかハーバードの教授をぶっ飛ばす事なんてないだろうな。

「よろしくお願いしますね。ジョージ様。今そちらにいらっしゃる方々が日本から来られたタチバナ様と、チサト様。そして対面にモンゴル人のバータル様とイギリス人のデイジー様、そしてこちらがロシア人のディミトリー様です」

「僕は!?」

 あぁ、いつも通りスルーされてたのね熊本くん。

「申し訳ありません!!  こちらも日本から来られたクマモト様です。クマモト様はチサト様とタチバナ様の付き添いという形になります」

 最初の勢いはどうした?  と言わんばかりに静かに椅子に座っているジョージ。

 一向に知里ちゃんを見ない。

 先が思いやられる案件が増えた。
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