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英雄集結
Part 5
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ぽっちゃりアナナキの"軽い"説明は、体感で既に一時間は経過していた。
ゆっくり飯も食えたもんじゃない。
むしろ、まだ食ってんの?
お前らそんなのに時間かけてっから、いつまで経っても頭悪りぃんだろ?みたいな顔されている気がして居た堪れなかった。
大体の事情の把握と、これからの経過がわかった事で、大分この異常な状況にも慣れてきつつあった。
だからか、"戦争"というものが身近に感じてきて、不安は募っていく。
一個人が一国の軍事力と同等。
んなこと言われても想像もつかない。
一パンチ何メガトンだよそれ。
気魄弾に至っては、核兵器同等の威力って、それこそ地球破壊しちまうよ!
だが今はただ、僕達に課せられているそのたまげる威力を手に入れるしかない。
アナナキと人間の戦力を以ってしても、勝てる見込みが乏しいという相手だ。
英雄という名前は、さすが重圧も生半可ではなかった。
頭痛くなってきた。
「なんで私とムネリンが別の部屋なの? ここで子英雄を孕めば戦力でしょ?」
頭痛くなってきた。
「はいはい。知里ちゃん、愛しているから落ち着いて。君の部屋は二階だから階段登ってねー?」
「じゃあムネリン! せっかくだから夜中の散歩と洒落込もうじゃないか!」
どうしても暇らしい。
僕はせっかくの意味がちょっとわからなかったけれど、男らしく折れてみせた。
「まぁいっか。ちょっと興味もあるし」
「よしきた! ほいきた! そらきた!」
何をハッスルしているのかはわからなかったけれど、僕達は外ブラすることにした。
「お! アナナキっち。丁度いいとこにいた!」
僕達がウダウダとさっきまでいたホールから出て、階段の前にいると、良いタイミングでアナナキ達だけの会議を終えたアナナキっちがホールから出てきた。
「あら、お揃いでどうされましたか?」
「ちょっとアナナキの街を散歩してきてもいいかい?」
「構いませんよ。ごあんな……いは、良さそうですね」
ん?
アナナキっちが珍しく顔を青くさせている。
「ゔー!」
なるほど、ウチの魔王犬魔王犬ケルベロスのせいか。
「どこを歩いてもこの建物は目立ちますので迷う事はないでしょう。もしもなにか不測の事態が起こった場合は、空中に気魄弾を打ち上げてください。すぐ向かいますので」
「おーけーおーけー。そんなには遅くならないから安心して」
「かしこまりました」
アナナキっちのお見送りを尻目に、僕達はアナナキ世界デートにうつつを抜かすことにした。
「ねえ!! ムネリン見て!! 何も変わらない!! 景色が微塵も変わらない!! 塵芥の如し景観!!」
嫌味である。むしろ罵詈雑言まである。
知里ちゃんは異国の風景でのロマンチックを求めていたようだが、その希望は泡沫の如く消え去った。
「ほんと、びっくりするくらい同じ景色だ。でもあそこまで行くとちょっとは違ってそうじゃないか?」
街並みという暖かな字面とは真逆の、恐怖染みたものを感じていた僕は、少し先に見える住宅街の切れ目を目敏く見つけた。
「おや! ほんとだね! 行ってみよ!」
だからって身体強化をするのは、風情もへったくれもないとは思わんかね?
高速道路を走る車くらいの速さで、僕たちはその切れ目まで走った。
どんなアクティブなカップルだよ!
「うぉっ! あぶね!」
かなり勢いがあった為、僕達はすぐ目の前に現れた崖に心臓が飛び出すほど焦った。
ギリギリ止まったからいいものの、なんの柵もなくこんなところに崖放置しとくなよ!
まあ、あの速度で走るやつもそういないのだろうけど。
「深いねー。底が見えないや」
「マジだ。深淵とはこのことってくらい真っ暗だね」
崖下は強風が吹き荒れているのか、あまり覗き込みすぎると飲み込まれそうな異様な雰囲気があった。
「まあロマンチックってことにしとく?」
「うん、それは暴論」
でも、別に他に行くところもないし、崖上は緩やかな風が吹いているだけで涼しいし、ま、いっか。
「よいしょ」
深淵が目に入ると、なんか変なイベントに巻き込まれそうだから、僕は安全をとって際から5メートルは離れた位置に腰を下ろした。
そこは街路と崖の周りとの境界線で、街路の縁石が尻を乗せるのに丁度いい高さだったのだ。
「それでは失礼して」
と、知里ちゃんも横に座る。
カップルの距離。
なんの躊躇いもなく寄り添ってくる知里ちゃんに、少し欲情したのはひた隠しにする。
「はぁ、なんかやっと落ち着いた気がするね」
「ねー。怒涛の一日だったね。いや、一日かどうかもわかんないけど」
ほんとそうだな!!
一日かこれ!?
昼前から知里ちゃん探し回って、アナナキっちに連れ去られて、脳力解放して、ちょっと駄弁って、こっち連れてこられて飯食って今。
体感的にはこっちに来たくらいの時が、深夜くらいの感覚だよ。
「でも眠くならないと思わない?」
「言われてみれば、全然眠くないね」
「これも脳力解放のお陰なのかな? なんか自分が人間辞めてきてるのが凄く理解出来てきて気持ち悪いよね」
君が言うかい?
「にしても、知里ちゃんそれ以外にも人間辞めて来てるよ? 気魄弾も知里ちゃんしかまともに撃てないみたいだし」
「好きこそ物の上手なれ。私があの波動にどれだけの情熱をかけたか!」
「まあ、あんなのが出来るってわかったら頑張るのはわかるよ。僕もそのおかげで結構短期間で上達してたしね」
「日本人あるあるだよね! 魔術とか魔法とか波動とか! 好きだもんね! 日本人!」
「あるかもねそれも。アニメ文化だし、ラノベの影響もあってか、何故か素直に受け入れちゃうしね。でも熊本くんには驚いたよ。あいつナチュラルにあの境地まで辿り着いたんだよ? 一番の化け物だよ」
「それもさぁ、私アナナキ達の策略なんじゃないかって思うんだけど」
……なに?
そんな物事を深く考えてたの!?
そこにびっくりだよ!
「あのなんでもお見通し系神さまが、そんなヘマする?大体、私と貴方達を分けてこっちに送り込んできたのもおかしいと思ってる」
さすが部長。
残念な性格別に僕は嫌いじゃないのせいでこの子は爪を隠す系ファルコンだけど、地頭が良いのは僕が一番わかっている。
勿論単純な学力も、我が大学No.1の才女である。
ゆっくり飯も食えたもんじゃない。
むしろ、まだ食ってんの?
お前らそんなのに時間かけてっから、いつまで経っても頭悪りぃんだろ?みたいな顔されている気がして居た堪れなかった。
大体の事情の把握と、これからの経過がわかった事で、大分この異常な状況にも慣れてきつつあった。
だからか、"戦争"というものが身近に感じてきて、不安は募っていく。
一個人が一国の軍事力と同等。
んなこと言われても想像もつかない。
一パンチ何メガトンだよそれ。
気魄弾に至っては、核兵器同等の威力って、それこそ地球破壊しちまうよ!
だが今はただ、僕達に課せられているそのたまげる威力を手に入れるしかない。
アナナキと人間の戦力を以ってしても、勝てる見込みが乏しいという相手だ。
英雄という名前は、さすが重圧も生半可ではなかった。
頭痛くなってきた。
「なんで私とムネリンが別の部屋なの? ここで子英雄を孕めば戦力でしょ?」
頭痛くなってきた。
「はいはい。知里ちゃん、愛しているから落ち着いて。君の部屋は二階だから階段登ってねー?」
「じゃあムネリン! せっかくだから夜中の散歩と洒落込もうじゃないか!」
どうしても暇らしい。
僕はせっかくの意味がちょっとわからなかったけれど、男らしく折れてみせた。
「まぁいっか。ちょっと興味もあるし」
「よしきた! ほいきた! そらきた!」
何をハッスルしているのかはわからなかったけれど、僕達は外ブラすることにした。
「お! アナナキっち。丁度いいとこにいた!」
僕達がウダウダとさっきまでいたホールから出て、階段の前にいると、良いタイミングでアナナキ達だけの会議を終えたアナナキっちがホールから出てきた。
「あら、お揃いでどうされましたか?」
「ちょっとアナナキの街を散歩してきてもいいかい?」
「構いませんよ。ごあんな……いは、良さそうですね」
ん?
アナナキっちが珍しく顔を青くさせている。
「ゔー!」
なるほど、ウチの魔王犬魔王犬ケルベロスのせいか。
「どこを歩いてもこの建物は目立ちますので迷う事はないでしょう。もしもなにか不測の事態が起こった場合は、空中に気魄弾を打ち上げてください。すぐ向かいますので」
「おーけーおーけー。そんなには遅くならないから安心して」
「かしこまりました」
アナナキっちのお見送りを尻目に、僕達はアナナキ世界デートにうつつを抜かすことにした。
「ねえ!! ムネリン見て!! 何も変わらない!! 景色が微塵も変わらない!! 塵芥の如し景観!!」
嫌味である。むしろ罵詈雑言まである。
知里ちゃんは異国の風景でのロマンチックを求めていたようだが、その希望は泡沫の如く消え去った。
「ほんと、びっくりするくらい同じ景色だ。でもあそこまで行くとちょっとは違ってそうじゃないか?」
街並みという暖かな字面とは真逆の、恐怖染みたものを感じていた僕は、少し先に見える住宅街の切れ目を目敏く見つけた。
「おや! ほんとだね! 行ってみよ!」
だからって身体強化をするのは、風情もへったくれもないとは思わんかね?
高速道路を走る車くらいの速さで、僕たちはその切れ目まで走った。
どんなアクティブなカップルだよ!
「うぉっ! あぶね!」
かなり勢いがあった為、僕達はすぐ目の前に現れた崖に心臓が飛び出すほど焦った。
ギリギリ止まったからいいものの、なんの柵もなくこんなところに崖放置しとくなよ!
まあ、あの速度で走るやつもそういないのだろうけど。
「深いねー。底が見えないや」
「マジだ。深淵とはこのことってくらい真っ暗だね」
崖下は強風が吹き荒れているのか、あまり覗き込みすぎると飲み込まれそうな異様な雰囲気があった。
「まあロマンチックってことにしとく?」
「うん、それは暴論」
でも、別に他に行くところもないし、崖上は緩やかな風が吹いているだけで涼しいし、ま、いっか。
「よいしょ」
深淵が目に入ると、なんか変なイベントに巻き込まれそうだから、僕は安全をとって際から5メートルは離れた位置に腰を下ろした。
そこは街路と崖の周りとの境界線で、街路の縁石が尻を乗せるのに丁度いい高さだったのだ。
「それでは失礼して」
と、知里ちゃんも横に座る。
カップルの距離。
なんの躊躇いもなく寄り添ってくる知里ちゃんに、少し欲情したのはひた隠しにする。
「はぁ、なんかやっと落ち着いた気がするね」
「ねー。怒涛の一日だったね。いや、一日かどうかもわかんないけど」
ほんとそうだな!!
一日かこれ!?
昼前から知里ちゃん探し回って、アナナキっちに連れ去られて、脳力解放して、ちょっと駄弁って、こっち連れてこられて飯食って今。
体感的にはこっちに来たくらいの時が、深夜くらいの感覚だよ。
「でも眠くならないと思わない?」
「言われてみれば、全然眠くないね」
「これも脳力解放のお陰なのかな? なんか自分が人間辞めてきてるのが凄く理解出来てきて気持ち悪いよね」
君が言うかい?
「にしても、知里ちゃんそれ以外にも人間辞めて来てるよ? 気魄弾も知里ちゃんしかまともに撃てないみたいだし」
「好きこそ物の上手なれ。私があの波動にどれだけの情熱をかけたか!」
「まあ、あんなのが出来るってわかったら頑張るのはわかるよ。僕もそのおかげで結構短期間で上達してたしね」
「日本人あるあるだよね! 魔術とか魔法とか波動とか! 好きだもんね! 日本人!」
「あるかもねそれも。アニメ文化だし、ラノベの影響もあってか、何故か素直に受け入れちゃうしね。でも熊本くんには驚いたよ。あいつナチュラルにあの境地まで辿り着いたんだよ? 一番の化け物だよ」
「それもさぁ、私アナナキ達の策略なんじゃないかって思うんだけど」
……なに?
そんな物事を深く考えてたの!?
そこにびっくりだよ!
「あのなんでもお見通し系神さまが、そんなヘマする?大体、私と貴方達を分けてこっちに送り込んできたのもおかしいと思ってる」
さすが部長。
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