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英雄集結
Part 7
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白夜とは自律神経にとって、だいぶ悪影響を及ぼす自然現象なのだとはっきりわかった。
眠っているのか眠っていないのか。
それは覚醒した時に発覚する。
あ、今寝てたのか。
そんな風にして僕は目を覚ました。
浅い眠りから覚めると、それほど次の行動に支障はきたさないのだが、疲れが取れたという感覚には至らない。
今が何時なのかはこの世界に於いては死語である。
そんなの関係ねえとばかりに部屋には時計がない。
日が昇り起き、日が沈み寝る。
いやいや、日が沈まないならどうすれば?
恐らくアナナキの事だから、そのくらいは考慮していて、僕達の体調面には弊害がないのだろうけれど、精神的にはキツイものがあった。
「こんな時でもこいつは図太いな」
少し離れたところにあるもう一つのベッドの上で、口を大きく開け鼾をかいている後輩、熊本くん。
呆れるというより羨望に近い。
だから僕は嫌がらせのように身支度に音を立てた。
「起きやしない」
生活音とは気にしだすと、意外に大きいものだと感じる。
しかも僕はそれを殊更に強調しているにもかかわらず、だ。
痺れを切らした僕は、その大きく開かれた口にコップ並々に注がれた水を注ぎ込む。
ほどなくゴボッゴボッと溺れているようにしてやっとその無神経は目を覚ました。
「なにしやがんですか!」
御立腹のご様子。
「お前の鼾が五月蝿いのと、白夜も重なって不眠気味だ。機嫌が悪いので気をつけ給え」
威嚇である。
予想以上に熊本くんの怒気が大きかった為、身の安全を考慮しての高圧的な態度。
これぞ年輩の所業。
「あぁ、すみません」
ふふふ。覚醒したばかりで目の前に不機嫌を公言している人間がいたら、日本人はとりあえず謝罪する生き物である。
案ずるな虚勢だ。
「しかし結構時間は経った感覚だが、そろそろ集まってもおかしくないんじゃないか?」
「んー? そうですね、そろそろみたいです」
ん? なぜわかる?
ムクッと起き上がった熊本くんは、枕元に置いてある謎の球体を手にして、まるで時間がわかるかのような素振りをしてみせた。
「説明の時にデートとかしているから聞き逃すんスよ。これがこっちの世界の時計的なものです」
「あー、それが時計なの? てかこの世界に時計の概念あったんだ」
「アナナキ自体は時間の概念はないそうっス。これはクリーチャーが襲撃してくるまでのタイムリミット用らしいすよ」
なるほど。
だから球体の中に4/100とか書いてあんのね。
「この数字が4になったらロビーに集合って言われてました」
ん!?
そろそろどころかもう4じゃね!?
「おい! 準備しろ!」
まだ寝ぼけ眼の熊本くんを急かし、僕達は早々に部屋を切り上げた。
結果的には僕達は遅刻とはみなされなかった。
正確には遅刻だったんだが、それよりも遅い奴らが沢山いたのだ。
「世界の時間に対する価値観が物凄い顕著に現れたな」
比較的早い方だった我々日本人は、少し遅れただけでも冷や汗をかいたにも関わらず、堂々と遅れてやってくる面々を見て、僕は安心と不安が綯い交ぜになった。
各々欠伸したり、周りの人と談笑したりしてこれからの移動を待つ英雄たち。
みんな部屋に置いてあった黒のジャージに着替えている光景は、さながら修学旅行のようだった。
「それでは今から聖地まで移動します。各担当と一緒においでください」
ぽっちゃりアナナキはそういうと、デイジーを連れて颯爽と姿を消した。
「それではタチバナ様。我々も行きましょう」
移動は例によってルー〇、じゃなくてポータルによっての瞬間移動。
「あいよ。ってもう着いた」
間髪入れずに移動したアナナキっちのせいで舌噛むところだった。
「うお! なんじゃこりゃ!!」
僕の目の前に、いきなり白い物体が現れた。
「え!? 雲!?」
草原にポツポツとその白い物体は浮遊していた。それが雲だとわかるまで驚きのあまり少し時間がかかった。
「ここ標高何メートルよ」
「9200メートルです」
死ぬわ!!
そんな高さまで瞬間移動して、身体耐えれるのか?
と、言う疑問に僕は自分が一般的な人間とはもうかけ離れている事を思い出した。
「高所トレーニングって! 高橋尚子か!!」
少し離れたところから熊本くんの声が聞こえた。
あ、熊本くん忘れてた。
どうやら知里ちゃんと一緒に来た模様。
「高橋尚子が高所トレーニングしてたかは知らないけど、これはまた特殊なトレーニング場だな」
「ここはモリヤという山です。山自体から気魄が発生している不思議な場所で、もしかしたらこのモリヤは生きているのじゃないか?と昨今研究者の間で興味の的になっている聖地です」
「聖地すら研究対象にするその知識欲に乾杯」
「あ、聖地とは研究の聖地という意味で、ここでアナナキが生まれたとかそういう伝承的なものではありませんよ?むしろ我々には伝承などはないんですがね」
そういう意味!?
研究バカ過ぎるだろ!
その研究の成果の高等技術で伝承する必要が皆無ってか。
「はい。皆様集まられましたね?」
眠っているのか眠っていないのか。
それは覚醒した時に発覚する。
あ、今寝てたのか。
そんな風にして僕は目を覚ました。
浅い眠りから覚めると、それほど次の行動に支障はきたさないのだが、疲れが取れたという感覚には至らない。
今が何時なのかはこの世界に於いては死語である。
そんなの関係ねえとばかりに部屋には時計がない。
日が昇り起き、日が沈み寝る。
いやいや、日が沈まないならどうすれば?
恐らくアナナキの事だから、そのくらいは考慮していて、僕達の体調面には弊害がないのだろうけれど、精神的にはキツイものがあった。
「こんな時でもこいつは図太いな」
少し離れたところにあるもう一つのベッドの上で、口を大きく開け鼾をかいている後輩、熊本くん。
呆れるというより羨望に近い。
だから僕は嫌がらせのように身支度に音を立てた。
「起きやしない」
生活音とは気にしだすと、意外に大きいものだと感じる。
しかも僕はそれを殊更に強調しているにもかかわらず、だ。
痺れを切らした僕は、その大きく開かれた口にコップ並々に注がれた水を注ぎ込む。
ほどなくゴボッゴボッと溺れているようにしてやっとその無神経は目を覚ました。
「なにしやがんですか!」
御立腹のご様子。
「お前の鼾が五月蝿いのと、白夜も重なって不眠気味だ。機嫌が悪いので気をつけ給え」
威嚇である。
予想以上に熊本くんの怒気が大きかった為、身の安全を考慮しての高圧的な態度。
これぞ年輩の所業。
「あぁ、すみません」
ふふふ。覚醒したばかりで目の前に不機嫌を公言している人間がいたら、日本人はとりあえず謝罪する生き物である。
案ずるな虚勢だ。
「しかし結構時間は経った感覚だが、そろそろ集まってもおかしくないんじゃないか?」
「んー? そうですね、そろそろみたいです」
ん? なぜわかる?
ムクッと起き上がった熊本くんは、枕元に置いてある謎の球体を手にして、まるで時間がわかるかのような素振りをしてみせた。
「説明の時にデートとかしているから聞き逃すんスよ。これがこっちの世界の時計的なものです」
「あー、それが時計なの? てかこの世界に時計の概念あったんだ」
「アナナキ自体は時間の概念はないそうっス。これはクリーチャーが襲撃してくるまでのタイムリミット用らしいすよ」
なるほど。
だから球体の中に4/100とか書いてあんのね。
「この数字が4になったらロビーに集合って言われてました」
ん!?
そろそろどころかもう4じゃね!?
「おい! 準備しろ!」
まだ寝ぼけ眼の熊本くんを急かし、僕達は早々に部屋を切り上げた。
結果的には僕達は遅刻とはみなされなかった。
正確には遅刻だったんだが、それよりも遅い奴らが沢山いたのだ。
「世界の時間に対する価値観が物凄い顕著に現れたな」
比較的早い方だった我々日本人は、少し遅れただけでも冷や汗をかいたにも関わらず、堂々と遅れてやってくる面々を見て、僕は安心と不安が綯い交ぜになった。
各々欠伸したり、周りの人と談笑したりしてこれからの移動を待つ英雄たち。
みんな部屋に置いてあった黒のジャージに着替えている光景は、さながら修学旅行のようだった。
「それでは今から聖地まで移動します。各担当と一緒においでください」
ぽっちゃりアナナキはそういうと、デイジーを連れて颯爽と姿を消した。
「それではタチバナ様。我々も行きましょう」
移動は例によってルー〇、じゃなくてポータルによっての瞬間移動。
「あいよ。ってもう着いた」
間髪入れずに移動したアナナキっちのせいで舌噛むところだった。
「うお! なんじゃこりゃ!!」
僕の目の前に、いきなり白い物体が現れた。
「え!? 雲!?」
草原にポツポツとその白い物体は浮遊していた。それが雲だとわかるまで驚きのあまり少し時間がかかった。
「ここ標高何メートルよ」
「9200メートルです」
死ぬわ!!
そんな高さまで瞬間移動して、身体耐えれるのか?
と、言う疑問に僕は自分が一般的な人間とはもうかけ離れている事を思い出した。
「高所トレーニングって! 高橋尚子か!!」
少し離れたところから熊本くんの声が聞こえた。
あ、熊本くん忘れてた。
どうやら知里ちゃんと一緒に来た模様。
「高橋尚子が高所トレーニングしてたかは知らないけど、これはまた特殊なトレーニング場だな」
「ここはモリヤという山です。山自体から気魄が発生している不思議な場所で、もしかしたらこのモリヤは生きているのじゃないか?と昨今研究者の間で興味の的になっている聖地です」
「聖地すら研究対象にするその知識欲に乾杯」
「あ、聖地とは研究の聖地という意味で、ここでアナナキが生まれたとかそういう伝承的なものではありませんよ?むしろ我々には伝承などはないんですがね」
そういう意味!?
研究バカ過ぎるだろ!
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「はい。皆様集まられましたね?」
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