29 / 31
第29章 再会
しおりを挟む「…すごいとこでさ、見たこともない花ばっかり。ルカも夢中になっちゃって」
「花のついてない植物は素通りしてたでしょ」
「あたり」
「相変わらずだなあ。ルカは小さい時からずっと変わらない」
木の幹に背中をもたせて、春樹がくすくす笑う。
…ハルの声がする。ハルが笑ってる。
夢うつつで、春花はぼうっとしながらも耳に神経を集中させようとした。
ハルの声…。穏やかで、柔らかくて、大好きなハルの声…。
「…いや、でも最近少し変わったよ、ルカ」
俊が真面目な口調で言う。
「なんていうか少し…」
胡座をかいた脛の近くに咲いている小さなピンク色の花に指先で触れながら、言葉を探す。
「…しっかりしてきたっていうか」
春樹が小さく微笑む。
「…俊が望んでた通り?」
「いや…」
俊は具合悪そうに口ごもってため息をつくと、春樹を真っ直ぐに見た。
「ごめん。俺、約束破った。もっと周りをちゃんと見たほうがいいってルカに言っちゃったし…それに、これは言うつもりほんとに全然なかったんだけど、そういうこと言うとハルが嫌がるとか、ハルに…ルカは俺の妹じゃないって言われたことも…。ほんとにごめん」
春樹が柔らかく笑って目を伏せた。
「正直爺さんなんだから…。謝らなくていいよ。僕こそ、あの時はごめん。あんな意地の悪いこと言って」
俊を見る。微風が吹いて、木漏れ日がちらちらと揺れる。
「あの時、僕に言ったこと覚えてる?『確かに俺はルカを妹にすることはできないけど、恋人にはできる。ハルには絶対できないけど、俺にはできるんだからな』」
俊が赤くなった。
「あれは…っ、あの時は、悔しくて反撃しただけで…。悪かったよ」
大きく息をついて、胡座をかいた膝に頬杖をつく。
「…さっき話したメラニーって奴。俺、…多分、あいつと、ハルとルカみたいな関係になれたらって思ってたんだと思う。ずっと、ハルとルカの関係がすげえ羨ましかったから…。ハルがいつもルカのこと大事にして助けて、守ってやってたみたいに、俺もそういうことができたらって思ってたのかもしれない。そういう関係に憧れてたっていうか…だから判断を誤っちゃったのかもな」
「そう…。美人?」
にこりとして訊いた春樹に、俊は意味ありげににやりと答えた。
「ちょっと松宮に似てる感じ」
春樹が大袈裟にため息をついてみせた。俊が言葉を続ける。
「ほんとのとこは?変な噂が広まってて、ルカも気にしてたぞ」
「前に話した通りだよ。一方的に告白されただけ。僕はそういう気はないってちゃんとはっきり言った。確かに…ちょっと惹かれたことはあったけど、付き合いたいとかそういうんじゃない。わかってくれたと思ってたんだけどな」
「あいつ、春休み中、結構やばかったよ。俺にLINEガンガン送ってきて、全部ルカのせいだって言って」
春樹が眉をひそめる。
「ルカのせい?どういうこと?」
「自分とつきあってれば、もしかしてハルはあの時間あの場所にいなくて事故に遭わなくてすんだかもしれないのにとか、ハルは本当は自分のことが好きだったのに、ルカがハルにくっついて邪魔したからいけないんだとか、ルカさえいなければこんなことにならなくてすんだはずだとか…もう滅茶苦茶。ルカに直接LINE送りたいとか言い出して、宥めるのに苦労した」
春樹は俯いて吐息を漏らした。
「…そうだったんだ」
「そういえばメラニーも、ルカに似たようなこと言ってたな。俺にくっついてる、って。ったく女って」
「ルカは…妬まれやすいタイプなのかもしれない。かわいいし、なんでもできるし…」
心配そうに呟いた春樹の言葉を聞いて、俊はちょっと考えて生真面目に反論した。
「うーん…まあそりゃルカはかわいいし、なんでもできるけど、でも松宮の件はハルのせいだし、メラニーのは俺のせいだろ。妬まれるのは、ルカじゃなくて、俺たちがモテるのが原因なんじゃないの」
春樹がおかしそうに笑った。
「なるほどね、確かに。じゃ、僕がいなくなって、ルカが妬まれる数が半分になってよかったかな」
目を閉じたままぼんやりと夢見心地で春樹の声の響きを追っていた春花の頭に、春樹の言った言葉そのものが届いて、急に不安が胸の内に広がった。
「僕がいなくなって」?
いなくなって?
どういう意味?
「…そういうこと言うなよ」
「ごめん」
数拍の沈黙。
「俊。さっき言ってたことだけど」
春樹が少し首を傾げるようにして俊をじっと見つめた。
「ルカの恋人になろうと思ってるの?」
少し赤くなりながらも、俊は覚悟していたというように春樹の視線を受け止めた。
「…ルカがその気なら」
さっと気持ちのいい風が吹き抜けて、木々が優しくざわめいた。
春樹が静かに言う。
「もう僕はいない。僕の代わりに…ルカの兄になれるのに?」
俊は視線を外して微笑した。
「ハルの代わりになんてなりたくない。なれっこないだろ。それに…俺はハルがなれないものになりたい」
からかうように春樹を見る。
「なんで?阻止したいの?」
春樹は穏やかに笑って目を伏せた。ほんの少しだけ悔しさの滲んだ笑顔だった。
「僕がなれないもの、か」
呟いてから、真顔になって俊に視線を戻す。
「阻止したいなんてもちろん思ってないよ。ただ…僕はもういない。ルカは甘えん坊で、花みたいに柔らかい子で、…いろんなことから守ってあげなきゃいけないのに…」
思いあまったようにため息をつく。
「俊が、その辺、僕と違う意見なのはわかってる。でも、できるだけ守ってあげてほしい」
俊は目を細めて春樹を眺めた。
「了解。アマハル王子」
「真面目な話だよ」
「わかってる」
俊はしっかり頷いた。
「約束する」
そしてその性格ゆえに生真面目に付け加えた。
「でもやっぱり過保護はよくないと俺は思うよ。ルカだって成長しなきゃいけないんだから」
春樹はわざとらしく呻いて苦笑した。
「わかってるよ、イジシュン王子」
「その名前は心外。意地悪で言ってるわけじゃないのに」
「それもわかってる」
ちょっと笑ってから、強い視線で俊をじっと見つめる。
「ルカのこと、頼むよ」
俊の唇が震え、両眼に涙が溢れた。両手で頭を抱える。
「…信じられない。こんな会話してるなんて、こんな……。ほんとに、もう、…一緒にいられないなんて…っ」
…俊ちゃんが泣いてる。
春花の身体は震えた。
やっぱり本当なんだ。やっぱり本当にハルは死んじゃったんだ。今までのことは夢じゃなかったんだ…。
「俊…」
「…嘘だって言って…っ」
春樹はそっと身体を移動させて、両手で目を覆って肩を震わせている俊のすぐ隣に座った。胡座をかいたジーンズの膝と膝が触れる。
しばらくの間、俊の慟哭だけが続いた。
時折わたる風が、優しい葉ずれの音をさせては去っていった。
「……ごめん。俺…泣くつもりなんてなかったのに…」
やがて、まだ少ししゃくり上げながら俊が呟いた。バックポケットから紺色のハンカチを引っ張り出して濡れた顔を拭う。春樹が、何かに気づいたように、小さく「あ…」と声を上げた。
「…ちょっと待ってて」
春樹がそう言って立ち上がり、ハンモックに近づいた。
「……」
手で顔を隠して声を殺して泣いている春花を見て、ため息をつく。
「ルカ」
春樹に名前を呼ばれて、春花は全身に鳥肌が立った。つぶっていた目をさらに強くぎゅうっとつぶる。
「ルカ」
嫌。絶対に返事しない。
返事なんかしたら、これが本当の本当になってしまう。
春樹の指がそっと春花の手に触れる。
触れる指の感触に、身体がびくっとなる。
ハルの指。
「…いつから起きてたの」
起きてないもん。起きてない。これは夢だもん。
つぶったままの目から新たに涙が溢れて顔を濡らす。
「……」
春樹がそっとため息をついたのが聞こえた。
「ルカ…」
辛そうな声が春花の胸に突き刺さった。
「ルカ…ごめんね…」
言葉の端が震えている。
ハルが泣いてる。
春花は目を開けてガバッと跳ね起きた。急な動きに大きく揺れて傾いたハンモックから夢中で落ちるように転がり出て、慌てて支えようと差し出した春樹の腕に掴まる。見上げる。
涙で濡れた春樹の顔。
「ハル」
ユマがいつもしてくれるように、思いっきりハグする。
「泣かないで。大丈夫だから」
小さい時、一度だけ春樹が泣いたのを見た。
夏の夜だった。
カウボーイごっこをしていて、春樹がブンブン振り回していた縄跳びのグリップが春花の腕にかなりの勢いで当たった。物置にあった古くて重い縄跳びで、グリップは木製だった。痛かった。皮膚が切れて血が出て、もちろん春花は盛大に泣いた。傷は大したことはなく、飛んできたお母さんが消毒をしてバンドエイドを貼ってくれた。
ふと気がつくと、ずっとそばにいてくれた春樹が涙をぽろぽろこぼしていた。
「ごめんね、ルカ。ごめんね」
春花は雷に打たれたような衝撃を受けた。
ハルが泣いてる。いつもニコニコしているハルが泣いている。悲しい悲しい顔。
嫌、と強く思った。ハルが悲しいのは嫌。
「泣かないで、ハル。もう大丈夫だから。痛くないから。泣かないで。泣かないで」
春樹の頭を撫でて、一所懸命慰めた。
あの時みたいだと思った。
ハルが悲しむのは嫌。ハルが悲しまないですむために私にできることがあるなら、なんでもする。
春樹のTシャツは、家の匂いがした。家の洗濯物の匂い。
ハル。ハル。ハル。大好き。
大好き。
そっとハグを解いて、ジーンズのポケットから淡いピンク色のハンカチを取り出す。かわいらしいマーガレットの花束があちこちにとんでいる、一番のお気に入りのハンカチだ。
「はい。顔拭いて」
にこりとして見上げると、涙目の春樹が少し戸惑ったように小さく微笑した。
「…ありがとう」
別のポケットからティッシュを取り出そうとすると、
「はい」
春樹が自分のハンカチを差し出した。水色にグレイの濃淡のラインが入ったハンカチ。
「…ありがとう」
…ハル、ちゃんとハンカチ持ってたんだ。
毎朝、学校に行く前に、春花は『若草物語』のマーチ夫人さながらに
「ハル、ハンカチ持った?」
と言うのが習慣だった。良い子の春樹はいつもポケットをポンと一つ叩いて、
「うん、持った」
と答えていた。
俊が一緒にいる時はそこに、
「俺も持ってる!」
あるいは
「あー忘れた!」
という答えが加わった。
なんだか遠い昔のことのような気がする。手の届かない昔。
込み上げてきた涙を押さえつける。
泣いちゃだめ。もう泣かない。
自分にキッパリ言い聞かせ、涙を拭き、辺りを見回して深呼吸し、笑顔を作って春樹を見上げる。
「素敵なところだね」
「そうだね」
春樹もにこりとして春花を見下ろした。
胸が震えた。
ハルの笑顔。
「あっちの方行くと、海が見えるよ。行ってみる?」
「行く行く!」
右手で春樹の手を取り、左手で俊の手を取る。ぶんぶん大きく手を振りながら歩く。
「なんだよ。お遊戯会か?」
俊が赤い目で苦笑する。
薄青い空に目を上げ、ふと頭に浮かんだ歌を春花は歌い出した。
「おーてーて、つーないで、のーみーちーをーゆーけーば」
「ああー覚えてる覚えてる。おーてーてつじん、つーないでめきん、のーみーちん…」
「もうっ。俊ちゃん下品!」
俊と春樹がうひゃひゃと笑い、春花も「もー男子って…」と呟きながらも、幸せで嬉しくて笑わずにはいられなかった。身体中が温かくなる。
俊ちゃんとハルと私。
シュン王子とハル王子とロザモンド姫。
一本の木のそばを通り過ぎる。白い花が咲いていて、ふわりと薔薇のような香りがした。
「なんのお花かな。薔薇みたいな匂い」
立ち止まって見上げると、咲いているのはまさに薔薇の花だ。
「おもしろーい!薔薇がこんな木に咲くなんて。それとも似てるけど全然別のお花なのかな」
なめらかな薄茶色の幹。柔らかくて丸い葉。棘はどこにもない。
「他の色もあるよ。ほら、あそこに赤いのもあるし、ピンクのもある」
「わあほんと!あのね、こないだカッサ魔法大学ってところの植物園でね…」
植物園で見たいろいろな花の話をしながら歩く。春樹はにこにこしながら楽しそうに聴いている。その顔を見上げながら、春花は時折泣き出しそうになるのが顔や声に出ないよう、心の手綱を注意深く操っていた。
気を抜いたらだめだ。絶対に泣かないようにしなくちゃ。楽しくしなくちゃ。
ハルが悲しくならないように。
明るく、楽しく。
しばらく行くと、向こうのほうに海が見えてきた。どうもここは広い広い高台になっているらしく、見えるのは随分下の方にある海だ。美しい、煙るような深いブルー。幅の広い、ゆるいスロープがぐるりぐるりと高台を取り巻いていて、下の方には白いビーチが広がっている。
「遠いなあ」
俊が思案するように言う。
「まさか下まで行くの?」
「そりゃあ行かなきゃだろ」
春花は口を尖らせた。
「行きたくなーい。ここの方がいいもん。薔薇があるし」
「僕もここの方がいいな」
「ちぇっ。軟弱入江兄妹」
俊はそう言って笑うと、ストレッチを始めた。
「俊ちゃん、ほんとに行くの?」
「もっちろん!」
「でも…すごい遠いよ」
なんだか心配になる。かなりの距離だ。それにスロープは広いけれど、柵も何もついていない。落ちたらどうするのだ。
「最近運動不足だし、ちょうどいい」
春樹が怪訝な顔をした。
「運動不足って…。部活は?」
「ああ、俺、今演劇部員だからさ」
俊はよしっと顔を上げて、
「んじゃ、ちょっと行ってくる。無理だと思ったら戻ってくるから」
「気をつけてね。端っこに寄らないようにして、こっち側にくっついてね。風に飛ばされないようにして…」
俊が笑って、魔法大学の図書館でしたように春花の額を長い指でちょんと突いた。
「心配性。では行ってきまーす」
「行ってらっしゃーい」
条件反射のようにして、春花と春樹の声が揃う。家の玄関のようだ。
ゆるいスロープを軽いジョギングペースで走り出した俊の背中は、やがてカーブを曲がって見えなくなった。
俊ちゃんたら。
格好よく走る後ろ姿がまだ見えるような気がして、春花は心の中で微笑んだ。
ハルと私が二人だけで話せるようにって気を遣ってくれたんだろうな、きっと。
俊ちゃんはほんとに優しい。
「…転んだりしないといいけど」
スロープの近くのかわいらしい薄紅色の薔薇の花の咲く木の下に腰を下ろしながら、春花は呟いた。
「大丈夫だよ。スロープの傾斜もゆるいし。それに、俊だから」
隣に座った春樹が微笑んで言った。
そういえばハルは昔からよくそう言ってたっけ。「俊だから大丈夫」って。
下の方から波の音が聞こえる。でも海鳥の声はしない。遠くから聞こえる穏やかな波の音と、時折風が木を揺らす音だけが、二人を柔らかく包んでいる。
0
あなたにおすすめの小説
9日間
柏木みのり
児童書・童話
サマーキャンプから友達の健太と一緒に隣の世界に迷い込んだ竜(リョウ)は文武両道の11歳。魔法との出会い。人々との出会い。初めて経験する様々な気持ち。そして究極の選択——夢か友情か。
大事なのは最後まで諦めないこと——and take a chance!
(also @ なろう)
魔法使いたちへ
柏木みのり
児童書・童話
十四歳の由は、毎日のように、魔法使いとそうでない人々がごく普通に一緒に暮らす隣の世界を姉の結花と伯母の雅代と共に訪れ、同じく十四歳の親友ジャンと魔法化学の実験に没頭する日々を送っていた。ある晩、秘密の実験中に事故が起き、由の目の前で光の炸裂と共にジャンは忽然と消え去った。
ジャンに何が起きたのか。再会は叶うのか。
「9日間」「はるのものがたり」「春の音が聴こえる」と関連した物語。
(also @なろう)
エマージェンシー!狂った異次元学校から脱出せよ!~エマとショウマの物語~
とらんぽりんまる
児童書・童話
第3回きずな児童書大賞で奨励賞を頂きました。
ありがとうございました!
気付いたら、何もない教室にいた――。
少女エマと、少年ショウマ。
二人は幼馴染で、どうして自分達が此処にいるのか、わからない。
二人は学校の五階にいる事がわかり、校舎を出ようとするが階段がない。
そして二人の前に現れたのは恐ろしい怪異達!!
二人はこの学校から逃げることはできるのか?
二人がどうなるか最後まで見届けて!!
未来スコープ ―キスした相手がわからないって、どういうこと!?―
米田悠由
児童書・童話
「あのね、すごいもの見つけちゃったの!」
平凡な女子高生・月島彩奈が偶然手にした謎の道具「未来スコープ」。
それは、未来を“見る”だけでなく、“課題を通して導く”装置だった。
恋の予感、見知らぬ男子とのキス、そして次々に提示される不可解な課題──
彩奈は、未来スコープを通して、自分の運命に深く関わる人物と出会っていく。
未来スコープが映し出すのは、甘いだけではない未来。
誰かを想う気持ち、誰かに選ばれない痛み、そしてそれでも誰かを支えたいという願い。
夢と現実が交錯する中で、彩奈は「自分の気持ちを信じること」の意味を知っていく。
この物語は、恋と選択、そしてすれ違う想いの中で、自分の軸を見つけていく少女たちの記録です。
感情の揺らぎと、未来への確信が交錯するSFラブストーリー、シリーズ第2作。
読後、きっと「誰かを想うとはどういうことか」を考えたくなる一冊です。
カリンカの子メルヴェ
田原更
児童書・童話
地下に掘り進めた穴の中で、黒い油という可燃性の液体を採掘して生きる、カリンカという民がいた。
かつて迫害により追われたカリンカたちは、地下都市「ユヴァーシ」を作り上げ、豊かに暮らしていた。
彼らは合言葉を用いていた。それは……「ともに生き、ともに生かす」
十三歳の少女メルヴェは、不在の父や病弱な母に代わって、一家の父親役を務めていた。仕事に従事し、弟妹のまとめ役となり、時には厳しく叱ることもあった。そのせいで妹たちとの間に亀裂が走ったことに、メルヴェは気づいていなかった。
幼なじみのタリクはメルヴェを気遣い、きらきら輝く白い石をメルヴェに贈った。メルヴェは幼い頃のように喜んだ。タリクは次はもっと大きな石を掘り当てると約束した。
年に一度の祭にあわせ、父が帰郷した。祭当日、男だけが踊る舞台に妹の一人が上がった。メルヴェは妹を叱った。しかし、メルヴェも、最近みせた傲慢な態度を父から叱られてしまう。
そんな折に地下都市ユヴァーシで起きた事件により、メルヴェは生まれてはじめて外の世界に飛び出していく……。
※本作はトルコのカッパドキアにある地下都市から着想を得ました。
クールな幼なじみの許嫁になったら、甘い溺愛がはじまりました
藤永ゆいか
児童書・童話
中学2年生になったある日、澄野星奈に許嫁がいることが判明する。
相手は、頭が良くて運動神経抜群のイケメン御曹司で、訳あって現在絶交中の幼なじみ・一之瀬陽向。
さらに、週末限定で星奈は陽向とふたり暮らしをすることになって!?
「俺と許嫁だってこと、絶対誰にも言うなよ」
星奈には、いつも冷たくてそっけない陽向だったが……。
「星奈ちゃんって、ほんと可愛いよね」
「僕、せーちゃんの彼氏に立候補しても良い?」
ある時から星奈は、バスケ部エースの水上虹輝や
帰国子女の秋川想良に甘く迫られるようになり、徐々に陽向にも変化が……?
「星奈は可愛いんだから、もっと自覚しろよ」
「お前のこと、誰にも渡したくない」
クールな幼なじみとの、逆ハーラブストーリー。
未来スコープ ―この学園、裏ありすぎなんですけど!? ―
米田悠由
児童書・童話
「やばっ!これ、やっぱ未来見れるんだ!」
平凡な女子高生・白石藍が偶然手にした謎の道具「未来スコープ」。
それは、未来を“見る”だけでなく、“触れたものの行く末を映す”装置だった。
好奇心旺盛な藍は、未来スコープを通して、学園に潜む都市伝説や不可解な出来事の真相に迫っていく。
旧校舎の謎、転校生・蓮の正体、そして学園の奥深くに潜む秘密。
見えた未来が、藍たちの運命を大きく揺るがしていく。
未来スコープが映し出すのは、甘く切ないだけではない未来。
誰かを信じる気持ち、誰かを疑う勇気、そして真実を暴く覚悟。
藍は「信じるとはどういうことか」を問われていく。
この物語は、好奇心と正義感、友情と疑念の狭間で揺れながら、自分の軸を見つけていく少女の記録です。
感情の揺らぎと、未来への探究心が交錯するSFラブストーリー、シリーズ第3作。
読後、きっと「誰かを信じるとはどういうことか」を考えたくなる一冊です。
少年騎士
克全
児童書・童話
「第1回きずな児童書大賞参加作」ポーウィス王国という辺境の小国には、12歳になるとダンジョンか魔境で一定の強さになるまで自分を鍛えなければいけないと言う全国民に対する法律があった。周囲の小国群の中で生き残るため、小国を狙う大国から自国を守るために作られた法律、義務だった。領地持ち騎士家の嫡男ハリー・グリフィスも、その義務に従い1人王都にあるダンジョンに向かって村をでた。だが、両親祖父母の計らいで平民の幼馴染2人も一緒に12歳の義務に同行する事になった。将来救国の英雄となるハリーの物語が始まった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる