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第28章 マーカスはどこへ
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次の朝、竜は気持ちよく目を覚ました。なんだか幸せな気分だ。ベッドの中でうーんと伸びをする。部屋の中はもう明るくて、小鳥たちの声が聞こえてくる。薄目を開けて枕元の時計を見ると、もう7時になるところだった。寝坊してしまった。
慌てて身体を起こすと、ベッドの脇の床の上にライラが横になっていた。ずっとここに座って竜が起きるのを待っていたのに、なかなか起きないので待ちくたびれちゃった、といった風情で前足の上に顔をのせてうとうとしていたが、竜が起きたのに気がつくと途端に笑顔になって顔を上げ、立派な尻尾をばたばたと床に打ち付けた。
「おはようライラ」
ベッドを降りて、ぎゅうっとハグをする。
「ごめんね、寝坊しちゃった。早く行かなきゃ」
魔法で着替える。もうライラもすっかり慣れて、空中を行き来する服に飛びついたりしなくなった。
「エミル、魔法電話のやり方を教えてもらえませんか」
ロールパンにマーマレードをつけながら竜は訊いてみた。健太にはメッセージは送れないし、魔法電話が使えれば便利だなと思ったのだ。
「いいよ。竜ならさっさとできるようになるだろうから、今日の練習を始める前のいいウォームアップになる」
「今日はいよいよ、相手を自分の次元に引き込む魔法だね」
カールが綺麗な藍色のマグカップの縁越しに竜とエミルを見る。
「どうやって練習するつもりだい?」
竜はちょっと困って口ごもった。
「ん…僕が小石かレウリスを歌わせて、それをエミルにも聞かせたい、って強く思うことでエミルを僕の次元に引き込む…っていうくらいしか思いつかなくて」
カールがふむ、と腕組みをした。
「なるほどね。いや、いい案だと思うよ。適切だと思う」
エミルもうなずく。
「そうですね。ところで、お父さん、相手が魔法の使い手であるかそうじゃないかで、難しさに違いがあると思いますか?」
「うーん…いい質問だ。そうだねえ…」
カールはしばし考えていたが、
「いや、相手が魔法の使い手であるかどうかはあまり関係ないのじゃないかと思うね。それよりも、例えば、竜と相手の関係がどうであるかとか、竜がその相手をどう思っているかとか、そういうことの方が関係してくるんじゃないだろうか」
我が意を得たりというようにエミルはうなずいた。
「僕もそう思います」
そして竜の方を向くと、
「竜が相手とどれだけ繋がることができるのかっていうのは、この魔法をやる上できっと重要なポイントだと思う。相手と深く繋がることができるというのは竜の得意とするところだから、うまくいくんじゃないかな」
と微笑んだ。
魔法電話は、エミルが言っていた通りさっさとできるようになった。まずはキッチンの端と端。次にドアを閉めた状態でキッチンと廊下。そしてキッチンと菜園、キッチンと果樹園とやった後、竜は健太に魔法電話をかけてみた。
「健太?」
驚いたように息を呑む音が聞こえた。竜は急いで続けた。
「健太、竜だよ。今魔法で話してるんだ。聞こえる?」
「竜!ああびっくりした。聞こえるよ。これ魔法なの?すごいね!今どこにいるの?」
「うちの外だよ。健太は?何してるとこ?」
「僕も外。ストレッチしてたんだ。もうすぐレイが迎えにくるから」
「そうか、今日も試合?」
「うん。今日は強いとことやるんだ。昨年の大会で優勝したチームなんだって。胸を借りるつもりでってうちのコーチは言ったけど、僕たちは勝ちにいくつもりだよ」
健太の闘志が伝わってくる。竜は微笑んだ。
「そっか。頑張れ!体調は?」
「ばっちり!これ、いいね!運動しながら話せるし、ケータイよりよく聞こえる。まるで竜がここにいるみたいだよ。すごいなあ竜」
跳躍をしながら話しているのか、声も跳ねている。
「魔法の練習ができなくなったのは残念だけど、でも昨日はたっぷり休めたから、今日はすごく気分がいいんだ。…あ、レイが来たよ。僕がひとりで喋ってるから、変な顔してる。おはよう、レイ。今、竜と魔法で喋ってるんだ。…あ、そうか、これ、レイが喋っても竜には聞こえないの?」
「聞こえないんだ。そこが電話と違って不便なとこだね」
「そっか。レイがよろしくって言ってる。エミルとカールとマリーにもよろしくって」
「うん、伝えるよ。レイにもよろしく。頑張ってって伝えて」
「うん。レイ、竜がよろしくって。頑張ってって言ってる。…レイがガッツポーズして、絶対勝つぞ!って言ってる。じゃ、そろそろ行くよ。電話…じゃないか、なんて呼べばいいんだろう、これ」
「僕は魔法電話って呼んでるよ」
「いいねそれ!じゃ、魔法電話かけてくれてありがとう、竜。魔法の練習、頑張ってね」
「うん、健太も試合頑張って。またかけるね」
「うん、ありがとう。またね」
会話を終えて、竜は晴々とした気分になった。健太の声はとても元気そうだったし幸せそうだった。やっぱりちゃんと睡眠を取るのは大事なんだなあ。バスケを思い切り楽しめるようになって本当に良かった。
「話せたみたいだな」
勝手口からエミルとライラが出てきた。
「はい。レイがよろしくって言ってたそうです。カールとマリーにも」
「そうか。健太くん、具合はもうすっかりいいのか?」
「ばっちり!って言ってました。今日は強い相手と練習試合だって張り切ってましたよ」
「そうか、そりゃよかった」
エミルも嬉しそうだった。
「魔法の練習ができなくなったのは残念だけど、たっぷり休めて気分がいいって」
「そう、休養は大事だぞ。竜も床なんかで寝ないでちゃんとベッドで早目に休まないとな」
「床?」
竜はきょとんとした。エミルが微笑する。
「覚えてないのか」
「…ああ、そういえば…ライラと喋ってて、そのまま寝ちゃったような…」
「1時近くなのにまだ明かりがついてたから覗いてみたら、ライラのベッドを枕にして寝てた。窓も開いてたぞ。明け方なんかは結構冷え込むこともあるから、風邪をひかないように気をつけろ」
「はい。…そういえば、やっぱり魔法って体調にも左右されるんですか」
「簡単な魔法ならそんなこともないけど、高い集中力がいる魔法だと、体調の悪い時はやっぱりきついかな」
「…気をつけます」
風邪なんかひいて、向こうに帰る日に魔法がうまくできなかったりしたら、後悔してもしきれない。本当によく気をつけなくちゃ。
まずはリルの実をいくつか食べてから、二人はいつものように大きなりんごの木の下に座った。ライラは竜の隣に寝そべる。今日は昨日に比べて雲が多く、時折日が陰って、果樹園を涼しい風が吹き抜けた。
「明日は雨になるかな」
空を見上げてエミルが言った。
「そうしたら屋根裏で練習しよう」
「はい」
明るくて広い屋根裏には横に長い窓があって、そこからの眺めが竜は気に入っていた。緑の木々の間にぽつりぽつりと赤い屋根がのぞき、遠くの方にはフリアの町ときらきら光る青い海もちらりと見える。エミルと真も、雨の時はいつも屋根裏で練習していたと聞いた。
エミルがちらりと竜を見た。
「竜は幽霊とか信じないだろう?」
竜はぎょっとした。
「な、何かいるんですか、屋根裏」
エミルが吹き出す。
「信じてるんだな」
今更信じてないなんて言っても遅いだろう。竜は赤くなりながら告白した。
「信じてるっていうか…。いないでほしいですけど、でもいないとは言えない気がするような…どうしてもいるような気がしてしまって、怖いって思ってしまうんです」
エミルはうなずいた。
「わかるよ。僕も昔そうだったから」
「今は違うんですか?いないって思えるようになったんですか?」
いないと思えるようになったらどんなにいいだろう。すがるように言う竜を見て、エミルはちょっと笑った。
「うーん、というより、いないでほしい、と思わなくなったんだな。いても別に構わない、いるんだったらそれも仕方ない、と思うようになったんだと思う。悪さをするわけじゃないんだから」
竜は背筋が寒くなった。完全に逆効果だ。
「ど、どうしてそんなことわかるんですか。悪さをしないなんて。もしかして、その、幽霊に会ったことがあるんですか?屋根裏で?」
「違うよ。ただそう思うようになったっていうだけ。心配するな。屋根裏には何もいないから」
「じゃ、どうして幽霊の話を始めたりしたんですか?ちゃんと本当のことを言ってください。何かいるんでしょう?」
「落ち着けって、竜。ごめん。悪かったよ」
宥めるようにエミルは言った。
「ただ、屋根裏の話になったから、昔のことを思い出しただけなんだ。真と屋根裏で練習してた時、いつも…ちょっと怖かったからさ」
エミルは少し恥ずかしそうに言った。
「僕はもともと、小さい時から屋根裏が怖かったんだよ。それこそ何かいそうな気がしてて。何回かは疑わしい物音を聞いたような気もしたしね。だからできるだけ近寄らないようにしていた。兄たちにからかわれるのが嫌だったから、何も言わなかったけど。そうしたらある雨の日に、真が屋根裏で練習しようって言いだしたんだ。広いし丁度いいって。僕は嫌だって言えなくて、それで雨の日はいつも屋根裏で練習することになっちゃって…正直まいったよ。昼間はまだいいけど、夜がね」
竜は身震いした。雨の夜の屋根裏部屋。そんなの僕だってごめんだ。
「真は暗くても全然平気で…。蝋燭一本だけ灯して、それだけで平気なんだ。あの部屋は広いから、蝋燭一本なんかじゃとても光が部屋の隅まで届かない。僕なんか、その暗がりに何かいるんじゃないかって考えをどうしても振り切ることができなくて冷や汗かいてるのに、真は、へっちゃらだった。怖がってるのを悟られないように振る舞うのは、本当に大変だったよ。とてもじゃないけど魔法になんて集中できなかった。いつも後で情けなくて自己嫌悪になったっけ。全く、辛い経験だったよ」
エミルは首を振って苦笑すると、すまなそうに竜を見た。
「ごめん、変な話をして。僕がこんな話をするまでは竜は屋根裏が怖いなんて思ってなかったんだろう?悪かったよ。雨が降っても、屋根裏はやめとこう」
竜も苦笑いした。
「昼間は…大丈夫だと思います。一人きりでいるのはちょっと怖そうだけど、エミルが一緒にいてくれるなら。あの部屋からの眺めは素敵ですよね」
「そうだね。真もあの窓からの眺めが好きだったよ。夜景も。僕のほうはあんまり眺めを楽しむなんて気持ちにはなれなかったけど、確かにいい眺めだね」
「幽霊といえば…」
竜は昨日のことを話してしまいたくなった。
「昨日の夕方、マリーからカールに魔法電話がかかってきたでしょう。その前にライラが木戸の方を向いてにこにこして尻尾を振ってましたよね。まるで誰かが木戸のところにいるみたいに。あの時、カールが丁度マーカスさんのことを話してたから、僕、もしかしてマーカスさんの、その、霊みたいなのが木戸のところにいて、それでライラがあんなふうに木戸の方を見て尻尾を振ってるのかと思って、ぞっとしちゃったんです」
「そうか…」
エミルはちょっと笑うと、膝の上に頬杖をついて、
「マーカスは…死んだわけではないから、幽霊にはなってないだろうな」
「…じゃあ、どこにいると思いますか?」
ためらいながら訊いてみた。いつか訊いてみたいと思っていたことだ。エミルは深く息をついた。
「わからない。向こうの世界に行こうとして消えてしまった人間がどこに行くのか…。こっちと向こうの間《はざま》か。向こうか。それとも他の世界か」
「他の世界?他にも世界があるんですか?」
「と言う人もいる」
「他の世界…」
竜は考えてみた。やっぱり魔法のある世界なのかな…。
「エミルは他にも世界があると思いますか?」
「あるだろうと思うね」
宙を見上げて、エミルは楽しそうに言った。
「そういう世界の一つにマーカスが行ってて、こっちに帰ってくる魔法の研究をしてるかもしれない。そこではやっぱり時間の経ち方が違っていて、マーカスはあの実験をした時とあまり変わらない年格好でこっちに帰ってくるかもしれない」
「…そうですね」
竜はエミルの楽しそうな笑顔を見て、あれこれ考えてしまった。
エミルは、自分がもし実験をして「消えて」も、他の世界に行くだけかもしれないんだから構わない、という気持ちでいるのかな…。そこでまた魔法の研究ができるかもしれないからいいや、って思ってるのかな…。そこがひどい世界だったら、いきなり他の世界から現れたからって拷問にかけられたりとか、殺されちゃったりとかするかもしれないのに…。でもマーカスさんのことを話しているんだから、そんな恐ろしいことは言えない。
空想から戻ってきたエミルは竜を見ると、にこりとして、
「さて。それじゃ練習を始めようか」
と言った。
まずは昨日のおさらいからということで、その場で10cmほど宙に浮かびながら、少し離れたところにあるリルの木から実を採ってみた。驚いたことに、なんと意識の空間を使うことなく、すんなりできた。魔法を一つだけ行っている時と同じように、初めからごく自然に当たり前のようにできてしまったので、竜もエミルも目を丸くした。
「竜…」
エミルがコメディアンのように大袈裟な表情と身振りで、
「君は一体何者なんだ!」
と頭を抱えて叫んでみせたので、竜は草の上にひっくり返って笑いこけてしまった。ムンクの「叫び」にちょっと似ていた。
「本当に、一体どうなってるんだ…すごいな」
真面目な顔に戻って、エミルが首を振る。
「僕もびっくりです」
竜も真顔で認めた。自分が初めから意識の空間を使おうともしなかったことが不思議だった。意識の空間を使わずにやってみよう、と思ったわけではないし、うっかり意識の空間を使うのを忘れたという感じでもなかった。まるで誰かに導かれたように、いや、まるでもう一人の、もっと魔法に長けた自分が勝手にやってしまったかのように…。
「…歌わせる魔法もやってみるか。何か作りながら」
「はい。レウリスと、…作るのは何にしましょう」
「ブレスレットがまだここに入ってる。これでいいだろう」
エミルが、昨日と同じリュクサックからレウリスの箱とアルマンサのブレスレットを引っ張り出して、竜の前に置いた。すっかり馴染みになった黒い箱から薄紫に光るレウリスを取り出しながら、竜はちょっと心配になった。
「レウリス、結構たくさん使っちゃってますけど、大丈夫ですか?」
「心配するな。まだ七、八個残ってる。それにレウリスならいくらでも調達できるから」
「マルギリスは、あと三つしかないんですよね?」
「そう。あれは残念ながらいくらでも調達できるってものじゃないから…。でも必要になったら、あと二つ三つくらいはすぐに都合がつくから大丈夫だ」
竜は頷いた。同じ歌わせる魔法でも、レウリスとマルギリスではやはりちょっと違う。ずいぶん簡単にできるようになったとはいえ、マルギリスを歌わせる感覚にももう少し慣れておかないと不安だった。本番前にあと何回か歌わせてみたい。
目の前の草の上にレウリスを置き、ブレスレットを手にとって仔細に眺める。昨日作ったのと同じものだからだろう、情報もすうっと簡単に入ってくる。目を閉じる。レウリスの歌が始まる。目を閉じていてもブレスレットが少しずつ確実に姿を現すのがわかる。昨日のように何度も力を入れなおすことはなかった。自然な深い呼吸のままに、流れるように二つの魔法が同時に行われた。
目を開けて、レウリスの残骸を消し、顔を上げる。
「お見事」
「ありがとうございます」
エミルに褒められるといつもすごく嬉しくて同時にすごく照れくさい。
「竜の魔法は…風のようだな」
エミルが目を細めて言う。
「風?」
「そう。吹き荒れる風じゃなくて、穏やかな風。ふわりと空気が動くように、柔らかく、自然に、魔法が動く。思わず見惚れるよ」
竜は赤くなった。僕こそ、いつもエミルの魔法に見惚れる。あの圧倒的に美しい魔法の動きに。
疲れていたわけではなかったけれど、スティーブンの忠告に従って短い休憩を挟み、いよいよ相手を自分の次元の引き込む魔法をやってみることになった。
「まずはやっぱりレウリスよりも小石の方がいいだろうな」
「はい」
竜は座っていたところから手を伸ばして、近くに落ちていた少し大きめの絹鼠色の石を拾った。角が取れて丸く曲線を描いたすべすべした石だ。この石の歌なら、そう甲高い音にはならないような気がした。ピッコロよりはフルート、ソプラノリコーダーよりはアルトリコーダーのような音がしそうだ。
「よさそうな石だな」
エミルにも通じたらしい。
「はい。いい音じゃないと困りますもんね」
「昨日の石はすごかったからな。甲高くて」
端正な顔をしかめてみせたあと、表情を改めてエミルは言った。
「疲れてないか」
「大丈夫です」
「いいか、途中で何か少しでも異常を感じたら、すぐ中止しろ」
「はい」
しっかり頷いて、一呼吸おき、竜は石を歌わせ始めた。思った通り、甲高い音の代わりに、どちらかというと低く柔らかい風のような音が竜の周りの空間を満たし始める。竜は目を閉じて、エミルのことを思った。大好きなエミル。憧れのエミル。エミルにもこの音を聞かせたい。エミルにもこの歌を聞いてほしい…。
しばらくして石の歌が終わった。竜は目を開けてエミルを見た。エミルが小さく首を振る。竜はため息をついた。
「だめか…」
「僕もやってみるよ。交代でやろう」
「はい」
エミルに石を渡す。エミルが石を自分の前の草の上に置く。
「じゃ、いくぞ」
「はい」
石が振動し出す。エミルが微笑する。
「いい音だな。これなら何度聞くことになっても構わない」
エミルが目を閉じた。エミルの集中力がぐっと高くなるのが感じられる。美しい、確実な力がエミルの周りに結集している。見惚れていた竜はあることに気がついた。エミルも意識の空間を使っていない。
「…どうだ」
石の振動が止まり、エミルが竜を見る。竜が首を振る。エミルがふうむと腕組みをする。
「エミルも意識の空間を使わなくなったんですね」
竜が言うと、エミルはにこりとした。
「早川先生にいいお手本を見せてもらったからね」
慌てて身体を起こすと、ベッドの脇の床の上にライラが横になっていた。ずっとここに座って竜が起きるのを待っていたのに、なかなか起きないので待ちくたびれちゃった、といった風情で前足の上に顔をのせてうとうとしていたが、竜が起きたのに気がつくと途端に笑顔になって顔を上げ、立派な尻尾をばたばたと床に打ち付けた。
「おはようライラ」
ベッドを降りて、ぎゅうっとハグをする。
「ごめんね、寝坊しちゃった。早く行かなきゃ」
魔法で着替える。もうライラもすっかり慣れて、空中を行き来する服に飛びついたりしなくなった。
「エミル、魔法電話のやり方を教えてもらえませんか」
ロールパンにマーマレードをつけながら竜は訊いてみた。健太にはメッセージは送れないし、魔法電話が使えれば便利だなと思ったのだ。
「いいよ。竜ならさっさとできるようになるだろうから、今日の練習を始める前のいいウォームアップになる」
「今日はいよいよ、相手を自分の次元に引き込む魔法だね」
カールが綺麗な藍色のマグカップの縁越しに竜とエミルを見る。
「どうやって練習するつもりだい?」
竜はちょっと困って口ごもった。
「ん…僕が小石かレウリスを歌わせて、それをエミルにも聞かせたい、って強く思うことでエミルを僕の次元に引き込む…っていうくらいしか思いつかなくて」
カールがふむ、と腕組みをした。
「なるほどね。いや、いい案だと思うよ。適切だと思う」
エミルもうなずく。
「そうですね。ところで、お父さん、相手が魔法の使い手であるかそうじゃないかで、難しさに違いがあると思いますか?」
「うーん…いい質問だ。そうだねえ…」
カールはしばし考えていたが、
「いや、相手が魔法の使い手であるかどうかはあまり関係ないのじゃないかと思うね。それよりも、例えば、竜と相手の関係がどうであるかとか、竜がその相手をどう思っているかとか、そういうことの方が関係してくるんじゃないだろうか」
我が意を得たりというようにエミルはうなずいた。
「僕もそう思います」
そして竜の方を向くと、
「竜が相手とどれだけ繋がることができるのかっていうのは、この魔法をやる上できっと重要なポイントだと思う。相手と深く繋がることができるというのは竜の得意とするところだから、うまくいくんじゃないかな」
と微笑んだ。
魔法電話は、エミルが言っていた通りさっさとできるようになった。まずはキッチンの端と端。次にドアを閉めた状態でキッチンと廊下。そしてキッチンと菜園、キッチンと果樹園とやった後、竜は健太に魔法電話をかけてみた。
「健太?」
驚いたように息を呑む音が聞こえた。竜は急いで続けた。
「健太、竜だよ。今魔法で話してるんだ。聞こえる?」
「竜!ああびっくりした。聞こえるよ。これ魔法なの?すごいね!今どこにいるの?」
「うちの外だよ。健太は?何してるとこ?」
「僕も外。ストレッチしてたんだ。もうすぐレイが迎えにくるから」
「そうか、今日も試合?」
「うん。今日は強いとことやるんだ。昨年の大会で優勝したチームなんだって。胸を借りるつもりでってうちのコーチは言ったけど、僕たちは勝ちにいくつもりだよ」
健太の闘志が伝わってくる。竜は微笑んだ。
「そっか。頑張れ!体調は?」
「ばっちり!これ、いいね!運動しながら話せるし、ケータイよりよく聞こえる。まるで竜がここにいるみたいだよ。すごいなあ竜」
跳躍をしながら話しているのか、声も跳ねている。
「魔法の練習ができなくなったのは残念だけど、でも昨日はたっぷり休めたから、今日はすごく気分がいいんだ。…あ、レイが来たよ。僕がひとりで喋ってるから、変な顔してる。おはよう、レイ。今、竜と魔法で喋ってるんだ。…あ、そうか、これ、レイが喋っても竜には聞こえないの?」
「聞こえないんだ。そこが電話と違って不便なとこだね」
「そっか。レイがよろしくって言ってる。エミルとカールとマリーにもよろしくって」
「うん、伝えるよ。レイにもよろしく。頑張ってって伝えて」
「うん。レイ、竜がよろしくって。頑張ってって言ってる。…レイがガッツポーズして、絶対勝つぞ!って言ってる。じゃ、そろそろ行くよ。電話…じゃないか、なんて呼べばいいんだろう、これ」
「僕は魔法電話って呼んでるよ」
「いいねそれ!じゃ、魔法電話かけてくれてありがとう、竜。魔法の練習、頑張ってね」
「うん、健太も試合頑張って。またかけるね」
「うん、ありがとう。またね」
会話を終えて、竜は晴々とした気分になった。健太の声はとても元気そうだったし幸せそうだった。やっぱりちゃんと睡眠を取るのは大事なんだなあ。バスケを思い切り楽しめるようになって本当に良かった。
「話せたみたいだな」
勝手口からエミルとライラが出てきた。
「はい。レイがよろしくって言ってたそうです。カールとマリーにも」
「そうか。健太くん、具合はもうすっかりいいのか?」
「ばっちり!って言ってました。今日は強い相手と練習試合だって張り切ってましたよ」
「そうか、そりゃよかった」
エミルも嬉しそうだった。
「魔法の練習ができなくなったのは残念だけど、たっぷり休めて気分がいいって」
「そう、休養は大事だぞ。竜も床なんかで寝ないでちゃんとベッドで早目に休まないとな」
「床?」
竜はきょとんとした。エミルが微笑する。
「覚えてないのか」
「…ああ、そういえば…ライラと喋ってて、そのまま寝ちゃったような…」
「1時近くなのにまだ明かりがついてたから覗いてみたら、ライラのベッドを枕にして寝てた。窓も開いてたぞ。明け方なんかは結構冷え込むこともあるから、風邪をひかないように気をつけろ」
「はい。…そういえば、やっぱり魔法って体調にも左右されるんですか」
「簡単な魔法ならそんなこともないけど、高い集中力がいる魔法だと、体調の悪い時はやっぱりきついかな」
「…気をつけます」
風邪なんかひいて、向こうに帰る日に魔法がうまくできなかったりしたら、後悔してもしきれない。本当によく気をつけなくちゃ。
まずはリルの実をいくつか食べてから、二人はいつものように大きなりんごの木の下に座った。ライラは竜の隣に寝そべる。今日は昨日に比べて雲が多く、時折日が陰って、果樹園を涼しい風が吹き抜けた。
「明日は雨になるかな」
空を見上げてエミルが言った。
「そうしたら屋根裏で練習しよう」
「はい」
明るくて広い屋根裏には横に長い窓があって、そこからの眺めが竜は気に入っていた。緑の木々の間にぽつりぽつりと赤い屋根がのぞき、遠くの方にはフリアの町ときらきら光る青い海もちらりと見える。エミルと真も、雨の時はいつも屋根裏で練習していたと聞いた。
エミルがちらりと竜を見た。
「竜は幽霊とか信じないだろう?」
竜はぎょっとした。
「な、何かいるんですか、屋根裏」
エミルが吹き出す。
「信じてるんだな」
今更信じてないなんて言っても遅いだろう。竜は赤くなりながら告白した。
「信じてるっていうか…。いないでほしいですけど、でもいないとは言えない気がするような…どうしてもいるような気がしてしまって、怖いって思ってしまうんです」
エミルはうなずいた。
「わかるよ。僕も昔そうだったから」
「今は違うんですか?いないって思えるようになったんですか?」
いないと思えるようになったらどんなにいいだろう。すがるように言う竜を見て、エミルはちょっと笑った。
「うーん、というより、いないでほしい、と思わなくなったんだな。いても別に構わない、いるんだったらそれも仕方ない、と思うようになったんだと思う。悪さをするわけじゃないんだから」
竜は背筋が寒くなった。完全に逆効果だ。
「ど、どうしてそんなことわかるんですか。悪さをしないなんて。もしかして、その、幽霊に会ったことがあるんですか?屋根裏で?」
「違うよ。ただそう思うようになったっていうだけ。心配するな。屋根裏には何もいないから」
「じゃ、どうして幽霊の話を始めたりしたんですか?ちゃんと本当のことを言ってください。何かいるんでしょう?」
「落ち着けって、竜。ごめん。悪かったよ」
宥めるようにエミルは言った。
「ただ、屋根裏の話になったから、昔のことを思い出しただけなんだ。真と屋根裏で練習してた時、いつも…ちょっと怖かったからさ」
エミルは少し恥ずかしそうに言った。
「僕はもともと、小さい時から屋根裏が怖かったんだよ。それこそ何かいそうな気がしてて。何回かは疑わしい物音を聞いたような気もしたしね。だからできるだけ近寄らないようにしていた。兄たちにからかわれるのが嫌だったから、何も言わなかったけど。そうしたらある雨の日に、真が屋根裏で練習しようって言いだしたんだ。広いし丁度いいって。僕は嫌だって言えなくて、それで雨の日はいつも屋根裏で練習することになっちゃって…正直まいったよ。昼間はまだいいけど、夜がね」
竜は身震いした。雨の夜の屋根裏部屋。そんなの僕だってごめんだ。
「真は暗くても全然平気で…。蝋燭一本だけ灯して、それだけで平気なんだ。あの部屋は広いから、蝋燭一本なんかじゃとても光が部屋の隅まで届かない。僕なんか、その暗がりに何かいるんじゃないかって考えをどうしても振り切ることができなくて冷や汗かいてるのに、真は、へっちゃらだった。怖がってるのを悟られないように振る舞うのは、本当に大変だったよ。とてもじゃないけど魔法になんて集中できなかった。いつも後で情けなくて自己嫌悪になったっけ。全く、辛い経験だったよ」
エミルは首を振って苦笑すると、すまなそうに竜を見た。
「ごめん、変な話をして。僕がこんな話をするまでは竜は屋根裏が怖いなんて思ってなかったんだろう?悪かったよ。雨が降っても、屋根裏はやめとこう」
竜も苦笑いした。
「昼間は…大丈夫だと思います。一人きりでいるのはちょっと怖そうだけど、エミルが一緒にいてくれるなら。あの部屋からの眺めは素敵ですよね」
「そうだね。真もあの窓からの眺めが好きだったよ。夜景も。僕のほうはあんまり眺めを楽しむなんて気持ちにはなれなかったけど、確かにいい眺めだね」
「幽霊といえば…」
竜は昨日のことを話してしまいたくなった。
「昨日の夕方、マリーからカールに魔法電話がかかってきたでしょう。その前にライラが木戸の方を向いてにこにこして尻尾を振ってましたよね。まるで誰かが木戸のところにいるみたいに。あの時、カールが丁度マーカスさんのことを話してたから、僕、もしかしてマーカスさんの、その、霊みたいなのが木戸のところにいて、それでライラがあんなふうに木戸の方を見て尻尾を振ってるのかと思って、ぞっとしちゃったんです」
「そうか…」
エミルはちょっと笑うと、膝の上に頬杖をついて、
「マーカスは…死んだわけではないから、幽霊にはなってないだろうな」
「…じゃあ、どこにいると思いますか?」
ためらいながら訊いてみた。いつか訊いてみたいと思っていたことだ。エミルは深く息をついた。
「わからない。向こうの世界に行こうとして消えてしまった人間がどこに行くのか…。こっちと向こうの間《はざま》か。向こうか。それとも他の世界か」
「他の世界?他にも世界があるんですか?」
「と言う人もいる」
「他の世界…」
竜は考えてみた。やっぱり魔法のある世界なのかな…。
「エミルは他にも世界があると思いますか?」
「あるだろうと思うね」
宙を見上げて、エミルは楽しそうに言った。
「そういう世界の一つにマーカスが行ってて、こっちに帰ってくる魔法の研究をしてるかもしれない。そこではやっぱり時間の経ち方が違っていて、マーカスはあの実験をした時とあまり変わらない年格好でこっちに帰ってくるかもしれない」
「…そうですね」
竜はエミルの楽しそうな笑顔を見て、あれこれ考えてしまった。
エミルは、自分がもし実験をして「消えて」も、他の世界に行くだけかもしれないんだから構わない、という気持ちでいるのかな…。そこでまた魔法の研究ができるかもしれないからいいや、って思ってるのかな…。そこがひどい世界だったら、いきなり他の世界から現れたからって拷問にかけられたりとか、殺されちゃったりとかするかもしれないのに…。でもマーカスさんのことを話しているんだから、そんな恐ろしいことは言えない。
空想から戻ってきたエミルは竜を見ると、にこりとして、
「さて。それじゃ練習を始めようか」
と言った。
まずは昨日のおさらいからということで、その場で10cmほど宙に浮かびながら、少し離れたところにあるリルの木から実を採ってみた。驚いたことに、なんと意識の空間を使うことなく、すんなりできた。魔法を一つだけ行っている時と同じように、初めからごく自然に当たり前のようにできてしまったので、竜もエミルも目を丸くした。
「竜…」
エミルがコメディアンのように大袈裟な表情と身振りで、
「君は一体何者なんだ!」
と頭を抱えて叫んでみせたので、竜は草の上にひっくり返って笑いこけてしまった。ムンクの「叫び」にちょっと似ていた。
「本当に、一体どうなってるんだ…すごいな」
真面目な顔に戻って、エミルが首を振る。
「僕もびっくりです」
竜も真顔で認めた。自分が初めから意識の空間を使おうともしなかったことが不思議だった。意識の空間を使わずにやってみよう、と思ったわけではないし、うっかり意識の空間を使うのを忘れたという感じでもなかった。まるで誰かに導かれたように、いや、まるでもう一人の、もっと魔法に長けた自分が勝手にやってしまったかのように…。
「…歌わせる魔法もやってみるか。何か作りながら」
「はい。レウリスと、…作るのは何にしましょう」
「ブレスレットがまだここに入ってる。これでいいだろう」
エミルが、昨日と同じリュクサックからレウリスの箱とアルマンサのブレスレットを引っ張り出して、竜の前に置いた。すっかり馴染みになった黒い箱から薄紫に光るレウリスを取り出しながら、竜はちょっと心配になった。
「レウリス、結構たくさん使っちゃってますけど、大丈夫ですか?」
「心配するな。まだ七、八個残ってる。それにレウリスならいくらでも調達できるから」
「マルギリスは、あと三つしかないんですよね?」
「そう。あれは残念ながらいくらでも調達できるってものじゃないから…。でも必要になったら、あと二つ三つくらいはすぐに都合がつくから大丈夫だ」
竜は頷いた。同じ歌わせる魔法でも、レウリスとマルギリスではやはりちょっと違う。ずいぶん簡単にできるようになったとはいえ、マルギリスを歌わせる感覚にももう少し慣れておかないと不安だった。本番前にあと何回か歌わせてみたい。
目の前の草の上にレウリスを置き、ブレスレットを手にとって仔細に眺める。昨日作ったのと同じものだからだろう、情報もすうっと簡単に入ってくる。目を閉じる。レウリスの歌が始まる。目を閉じていてもブレスレットが少しずつ確実に姿を現すのがわかる。昨日のように何度も力を入れなおすことはなかった。自然な深い呼吸のままに、流れるように二つの魔法が同時に行われた。
目を開けて、レウリスの残骸を消し、顔を上げる。
「お見事」
「ありがとうございます」
エミルに褒められるといつもすごく嬉しくて同時にすごく照れくさい。
「竜の魔法は…風のようだな」
エミルが目を細めて言う。
「風?」
「そう。吹き荒れる風じゃなくて、穏やかな風。ふわりと空気が動くように、柔らかく、自然に、魔法が動く。思わず見惚れるよ」
竜は赤くなった。僕こそ、いつもエミルの魔法に見惚れる。あの圧倒的に美しい魔法の動きに。
疲れていたわけではなかったけれど、スティーブンの忠告に従って短い休憩を挟み、いよいよ相手を自分の次元の引き込む魔法をやってみることになった。
「まずはやっぱりレウリスよりも小石の方がいいだろうな」
「はい」
竜は座っていたところから手を伸ばして、近くに落ちていた少し大きめの絹鼠色の石を拾った。角が取れて丸く曲線を描いたすべすべした石だ。この石の歌なら、そう甲高い音にはならないような気がした。ピッコロよりはフルート、ソプラノリコーダーよりはアルトリコーダーのような音がしそうだ。
「よさそうな石だな」
エミルにも通じたらしい。
「はい。いい音じゃないと困りますもんね」
「昨日の石はすごかったからな。甲高くて」
端正な顔をしかめてみせたあと、表情を改めてエミルは言った。
「疲れてないか」
「大丈夫です」
「いいか、途中で何か少しでも異常を感じたら、すぐ中止しろ」
「はい」
しっかり頷いて、一呼吸おき、竜は石を歌わせ始めた。思った通り、甲高い音の代わりに、どちらかというと低く柔らかい風のような音が竜の周りの空間を満たし始める。竜は目を閉じて、エミルのことを思った。大好きなエミル。憧れのエミル。エミルにもこの音を聞かせたい。エミルにもこの歌を聞いてほしい…。
しばらくして石の歌が終わった。竜は目を開けてエミルを見た。エミルが小さく首を振る。竜はため息をついた。
「だめか…」
「僕もやってみるよ。交代でやろう」
「はい」
エミルに石を渡す。エミルが石を自分の前の草の上に置く。
「じゃ、いくぞ」
「はい」
石が振動し出す。エミルが微笑する。
「いい音だな。これなら何度聞くことになっても構わない」
エミルが目を閉じた。エミルの集中力がぐっと高くなるのが感じられる。美しい、確実な力がエミルの周りに結集している。見惚れていた竜はあることに気がついた。エミルも意識の空間を使っていない。
「…どうだ」
石の振動が止まり、エミルが竜を見る。竜が首を振る。エミルがふうむと腕組みをする。
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「早川先生にいいお手本を見せてもらったからね」
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