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実家に向かう
今後の予定
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「ニクスさん、私の方はどうですか~?」
服を買うためにやって来たミアは赤色のドレスを着ていた。胸がパツパツで今にも零れ落ちてしまいそうになっている。見た目が子供なのに少々不釣りあいだ。
「胸が少しきついんじゃない?」
「うぅ、そうなんですけど、私の身長に合うドレスで胸もとが大きいのはこれしかなくて」
ミアは胸を締め付けるドレスの乳袋を揺らす。
「ぐぬぬぬ……」
ミートさんは歯を食いしばって握り拳を作りながらミアを見ていた。胸の大きさを悔しがっているように見える。
「もう少し胸の大きなドレスにして丈は合わせてもらおう。最悪、僕が合わせるよ」
「わ、わかりました」
ミアは新しいドレスを見に向った。ルパが買ったドレスは金貨一〇〇枚。ミアが再度選んだドレスも同じく金貨一〇〇枚。
僕は燕尾服で動きやすそうな金貨五〇枚の品を選び、購入する。
ドレスを買った僕達は王城に戻った。
僕達の借り部屋で食事をすることになり、クワルツ兄さんとミートさん、ルパ、ミアの四名と共に食事を得ていた。
「はぁ……。まさか、三人で金貨二八二〇枚も稼ぐなんて……。私も冒険者になろうかな~」
クワルツ兄さんはパンにジャムを塗って食べながらつぶやく。
「いいですね~。私と一緒にSランク冒険者パーティーになりましょうよ~。おしどり夫婦パーティーでもいいですけどね」
「もう、それも悪くないなって思えてきちゃうよ。でも、私は騎士学校を卒業した身、少なからず国に仕えて恩を返すのが務め。給料は稼げなくとも、私はこの仕事が好きだ。だから、もう少し続けるよ。その方が安定だし。ミートさんにも心配を掛けずにお金を入れられる」
「クワルツさん……好き」
「私も……好きです」
クワルツ兄さんとミートさんは熱々だった。熱に強いはずの僕達でも、あまりの熱さに身が焼かれそうだ。
クワルツ兄さんとミートさんのイチャイチャが終わったころ、クワルツ兄さんが話しだした。
「じゃあ、皆さん。明日からの流れを説明しますね」
「うん、お願い」
「明日、荷馬車で王都を出発する。その後、七日ほどかけて森を移動し、フランツの街に向かう。ガイアス兄さんの結婚式は一〇月二〇日だ。今日が一〇月一日だから、あと一九日ある。でも、街に付いた後は結婚式の準備があるから余裕をもって移動したい」
「じゃあ、ニクスの家で数日間過ごせるってこと?」
ルパは僕に質問した。
「そうだね。と言っても、ボロボロの家だし、あんまり期待しない方がいいよ」
僕は苦笑いを浮かべながら答える。
「別にいつもの家は物凄く自然な場所だから、石とかで作られていたらすごい所だよ」
「確かに……」
僕は旅の期間が長く、自分の木の家を忘れていた。ルパはあの家で長い間過ごしているので、普通の家でも十分すごい部類に入る。
「ニクスは父さんになんて言って帰る気だい?」
クワルツ兄さんは意地悪な質問をして来た。
僕は父さんに勘当されている。なので、家に帰っても変な空気になるだろう。
「ど、どうだ、父さん。僕の方がお金持ちになったぞ! って言って帰ろうかな……」
「父さん、不甲斐なさすぎて泣いちゃうかもね」
「うぅ……」
「嘘嘘、なんて言って帰っても、父さんは『そうか……』としか言わないと思う」
クワルツ兄さんは父さんの声真似をして雰囲気も寄せながら言った。
「クワルツ兄さん、父さんに似て来たね」
「ちょ! 私はあそこまで老けていないよ。まだまだ若いんだから。まぁ、貴族の結婚適齢期は過ぎてるかもしれないけどね……」
「私はどんなクワルツさんでも大好きですよ」
「ミートさん……。私も気さくなミートさんが大好きです」
また始まった……。こういうのをバカップルと言うのだろうか。見ているこっちは恥ずかしくて仕方がない。
「ニクス、私達は何を見せられているの?」
「ん~、何を見せられているんだろうね。あんまり気にしなくていいんじゃないかな」
ミートさんとクワルツ兄さんのイチャイチャは数分続き、僕達のイライラは募る。
二人は舞い上がり、部屋を出て行った。
「なんか勝手に出て行ったね……」
「うん……」
「あれが大人の流れなんですかね……」
僕達はあっけにとられながら、お湯で濡らした布を絞り、体を拭く。
内着を変え、ベッドに倒れ込み、横並びになって眠った。ほんと一瞬の出来事で何が起こったのか分からないというほど、眠りにつくのが早く、気絶したように眠りについた。きっと疲れていたんだろう。
次の日、僕はベッドの上で眼を覚ました。ベッドの上で眠っていたのだから当たり前だ。ただ、二人にくっ付かれており、とんでもなく動きにくい。プルスにいたっては僕の顔面に座っている。どこで寝ても自由だが、僕の気にもなってほしい。
僕はベッドから起き上がり、外の天気を見る。どうやら、天候は良いようだ。雨だと移動する気が少々失せてしまうので、晴れの方がありがたい。
「服を着替えて出発の準備をしますか……。七日で着けばいいけど、それ以上かかると考えておいた方が対処しやすいか」
僕は寝間着から、冒険者服に着替え、昨日使った剣を研いでいく。塗っていた油を落とすために砥粉をまぶし、布で擦って研ぎやすいように配慮する。
「僕の扱いが悪くてごめん……。もう少しうまく使えたら刃こぼれさせずに済んでたんだけど……。折れるまでは使うから」
僕はタルピドゥの大きな体と骨をぶった切っていた剣に話かけながら研いでいく。感謝していると愛着がわき、使い勝手がよくなるのだ。
服を買うためにやって来たミアは赤色のドレスを着ていた。胸がパツパツで今にも零れ落ちてしまいそうになっている。見た目が子供なのに少々不釣りあいだ。
「胸が少しきついんじゃない?」
「うぅ、そうなんですけど、私の身長に合うドレスで胸もとが大きいのはこれしかなくて」
ミアは胸を締め付けるドレスの乳袋を揺らす。
「ぐぬぬぬ……」
ミートさんは歯を食いしばって握り拳を作りながらミアを見ていた。胸の大きさを悔しがっているように見える。
「もう少し胸の大きなドレスにして丈は合わせてもらおう。最悪、僕が合わせるよ」
「わ、わかりました」
ミアは新しいドレスを見に向った。ルパが買ったドレスは金貨一〇〇枚。ミアが再度選んだドレスも同じく金貨一〇〇枚。
僕は燕尾服で動きやすそうな金貨五〇枚の品を選び、購入する。
ドレスを買った僕達は王城に戻った。
僕達の借り部屋で食事をすることになり、クワルツ兄さんとミートさん、ルパ、ミアの四名と共に食事を得ていた。
「はぁ……。まさか、三人で金貨二八二〇枚も稼ぐなんて……。私も冒険者になろうかな~」
クワルツ兄さんはパンにジャムを塗って食べながらつぶやく。
「いいですね~。私と一緒にSランク冒険者パーティーになりましょうよ~。おしどり夫婦パーティーでもいいですけどね」
「もう、それも悪くないなって思えてきちゃうよ。でも、私は騎士学校を卒業した身、少なからず国に仕えて恩を返すのが務め。給料は稼げなくとも、私はこの仕事が好きだ。だから、もう少し続けるよ。その方が安定だし。ミートさんにも心配を掛けずにお金を入れられる」
「クワルツさん……好き」
「私も……好きです」
クワルツ兄さんとミートさんは熱々だった。熱に強いはずの僕達でも、あまりの熱さに身が焼かれそうだ。
クワルツ兄さんとミートさんのイチャイチャが終わったころ、クワルツ兄さんが話しだした。
「じゃあ、皆さん。明日からの流れを説明しますね」
「うん、お願い」
「明日、荷馬車で王都を出発する。その後、七日ほどかけて森を移動し、フランツの街に向かう。ガイアス兄さんの結婚式は一〇月二〇日だ。今日が一〇月一日だから、あと一九日ある。でも、街に付いた後は結婚式の準備があるから余裕をもって移動したい」
「じゃあ、ニクスの家で数日間過ごせるってこと?」
ルパは僕に質問した。
「そうだね。と言っても、ボロボロの家だし、あんまり期待しない方がいいよ」
僕は苦笑いを浮かべながら答える。
「別にいつもの家は物凄く自然な場所だから、石とかで作られていたらすごい所だよ」
「確かに……」
僕は旅の期間が長く、自分の木の家を忘れていた。ルパはあの家で長い間過ごしているので、普通の家でも十分すごい部類に入る。
「ニクスは父さんになんて言って帰る気だい?」
クワルツ兄さんは意地悪な質問をして来た。
僕は父さんに勘当されている。なので、家に帰っても変な空気になるだろう。
「ど、どうだ、父さん。僕の方がお金持ちになったぞ! って言って帰ろうかな……」
「父さん、不甲斐なさすぎて泣いちゃうかもね」
「うぅ……」
「嘘嘘、なんて言って帰っても、父さんは『そうか……』としか言わないと思う」
クワルツ兄さんは父さんの声真似をして雰囲気も寄せながら言った。
「クワルツ兄さん、父さんに似て来たね」
「ちょ! 私はあそこまで老けていないよ。まだまだ若いんだから。まぁ、貴族の結婚適齢期は過ぎてるかもしれないけどね……」
「私はどんなクワルツさんでも大好きですよ」
「ミートさん……。私も気さくなミートさんが大好きです」
また始まった……。こういうのをバカップルと言うのだろうか。見ているこっちは恥ずかしくて仕方がない。
「ニクス、私達は何を見せられているの?」
「ん~、何を見せられているんだろうね。あんまり気にしなくていいんじゃないかな」
ミートさんとクワルツ兄さんのイチャイチャは数分続き、僕達のイライラは募る。
二人は舞い上がり、部屋を出て行った。
「なんか勝手に出て行ったね……」
「うん……」
「あれが大人の流れなんですかね……」
僕達はあっけにとられながら、お湯で濡らした布を絞り、体を拭く。
内着を変え、ベッドに倒れ込み、横並びになって眠った。ほんと一瞬の出来事で何が起こったのか分からないというほど、眠りにつくのが早く、気絶したように眠りについた。きっと疲れていたんだろう。
次の日、僕はベッドの上で眼を覚ました。ベッドの上で眠っていたのだから当たり前だ。ただ、二人にくっ付かれており、とんでもなく動きにくい。プルスにいたっては僕の顔面に座っている。どこで寝ても自由だが、僕の気にもなってほしい。
僕はベッドから起き上がり、外の天気を見る。どうやら、天候は良いようだ。雨だと移動する気が少々失せてしまうので、晴れの方がありがたい。
「服を着替えて出発の準備をしますか……。七日で着けばいいけど、それ以上かかると考えておいた方が対処しやすいか」
僕は寝間着から、冒険者服に着替え、昨日使った剣を研いでいく。塗っていた油を落とすために砥粉をまぶし、布で擦って研ぎやすいように配慮する。
「僕の扱いが悪くてごめん……。もう少しうまく使えたら刃こぼれさせずに済んでたんだけど……。折れるまでは使うから」
僕はタルピドゥの大きな体と骨をぶった切っていた剣に話かけながら研いでいく。感謝していると愛着がわき、使い勝手がよくなるのだ。
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