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AV女優の副業

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 もちろん、本業を別に持っていて「隠れて」AV女優をやっている例は多いが、それは除外する。

 多いのは、週刊誌や写真集などでヌードモデルをやっている例。これは「本業」の宣伝という意味も大きいだろう。知名度が上がれば「本業」の売れ行きにも大いに貢献する。特にモデル名が書かれている場合はほぼ100%と考えてまず間違いはない。写真家が一般人のモデルを使っている場合は書かれていることは無いから。

 似たジャンルだが、「ポーズ集」というものがある。美術モデルの多くは専業か一般人(美大の学生がやっている場合も多い)であるが、書店で「ポーズ集」として売られているものの大半はこう言った職業モデルではなく、AV女優の副業である。その意味では「写真集」と大して変わりがない。「写真集」と違い、ロケなどをする必要が無く、それこそ何も無いスタジオで撮影するだけでも済むので、出版費用が安くつく。出版社としてもリスクが少なくて済むのである。

 こう言った出版物の発売の際の「握手会、サイン会」なども副業の一つである。もちろんある程度知名度があるAV女優でなければ赤字になりかねないので、誰でもというわけにはいかない。

 少し前までであれば、カメラ雑誌やスタジオ主催の「撮影会」というものもあった。大抵は一人のモデルを複数の参加者が同時に撮影する物だったが、割高な料金で個人撮影に応じるというところもあった。もちろん撮影場所は指定された場所に限定されていた。無用なトラブルを避けるためである。カメラ雑誌の末尾に広告が載っていたものだが、感染症の不安が大きい現在は無くなっているかもしれない。

 いずれにしても、AV女優というのは短命な職業である。10年もやっている人はごく一握りで、大抵は「いつの間にか」消え去ってしまう。その後は一般人に戻るケースも多いだろうが、名前が知れ渡っている場合は普通の職業にはまず就けない。何より金銭感覚が普通で亡くなっている場合も多いそうで、監督になって自ら作品を作ったり、記者などに転職したり、性風俗業に就く場合も多いようだ。「元AV女優」という普通なら足枷になりかねない経歴がこちらであれば売り物になったりするからである。一般人に戻った場合は「いつばれるのではないか」とびくびくしながら生活している場合が多いのではないだろうか。それを考えれば割に合わない「職業」でもある。開き直って堂々と名乗れるくらいの気構えが無い人はやるべきではないのだろう。ネットなど無い時代には「ばれることはまずない」といわれて好奇心や出演料に連られてやった女性が多かったらしいが、今では出演料もごく一握りの売れっ子を除けば僅かなもので、2日くらい拘束されて3万程度ということまであるらしい。深夜番組でそういう話が出て、「グラビアの方がいい」と出演していたグラビアアイドルが言っていたが、グラビアアイドルも格差が大きく、これだけもらえる人はごく一部なのだそうだ。男性週刊誌を見ると毎月のように新人が水着写真を飾っていることを見ればいかに競争が激しいかよくわかる。
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