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 先日トーク番組でアイドルが語ったことであるが、彼女は篠山紀信から(もちろん、ヌードモデルとしての)「お誘い」を受け、思いがけないことに動揺して断ったものの、グループの他のメンバーが応じて話題になってメディアへの出演機会も増えたため「受けておけばよかった」と後悔したとのこと。

 篠山紀信ほどの写真家でも断られることもあるようだ。ひょっとしたら断られる方が遥かに多いのかもしれない。それくらい、女性芸能人には手当たり次第「挨拶代わり」に声を掛けているとも聞く。

 こういうものは多くの場合、即座に受諾することができる人というのは少ないと思う。即座に回答しなければならない場合は断る方が簡単なのは確かだろう。彼女のように断ったことを後悔する場合もあるだろうが、

 「やっぱり受けなくてよかった」

 と思っているアイドルも少なからずいると思う。こればかりは本人の価値観もあることだし何とも言えない。

 もっとも、覚悟を決めて脱いだからといってブレイクに結び付くとは限らない。「不発」に終わったとしても、撮影したものは半永久に残り続ける。それでもかまわないという覚悟があるかどうか、という点である。彼女たちが年齢を重ねた頃にどのようになっているかなど受けた段階で分かるはずもない。

 実際に受けた芸能人にしても様々のようだ。トーク番組などであっけらかんと話す人もいれば「黒歴史」と思っているのか一切触れたがらない人もいる。後悔するくらいなら初めからやらなければいいとは思うが、時勢の変化もあるし、その時は後悔することになるとは思っていなかったのだろう。

 映画やドラマのヌードシーンなどには「インティマシー・コーディネーター」が導入されることが始まっているのだそうだ。撮影スタッフと演じる側の仲介役、相談役のような仕事らしい。受けた側が納得するためにも勢いや深く考えずに受けてしまうことの無いようにこういう職業が重要になっている。もちろん、撮影側や製作側が受ける側を「落とす」ために使われてしまっては意味が無い。
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