37 / 159
王立魔法学園編3年生
037-転生者
しおりを挟む
「あ! 今もって言いましたね! 先に自白したのはアリッサですよ! 私の勝ちですわね!」
「なに言ってるのよ! 先に前世の言葉を使ったのはマルレでしょ!」
「う……でも転生者って決定的なこと言ったのはアリッサでしょ!」
アリッサが転生者かな? と思ったときは、もっと大ごとになるかと思ったけど、なにも変わらないですね。
「あ~あ。フローリングに寝そべってさ。水鉄砲とミニカーを周りに散らかしているマルレを見たときにピンときてね~。なんかさ~もっとシリアスな雰囲気になるのかな~と思ってたのに」
「私も今そう思ってましたわ」
「で、マルレも日本人なの?」
「この部屋見ればわかるでしょ? ちゃぶ台と座布団よ?」
アリッサは座布団の端をいじりながら、なにか言いづらそうにしている……。
「えっとさ……」
「なんですの? アリッサ」
「前世の話はさ……。つらくなるから禁止にしない?」
「そうですね……。私も賛成ですわ」
残してきた妹のハルカのことを思い出すと、また会いたくなる……。唯一の肉親だった私がいなくなって心細いだろうか? 元気にしているかな……。ちゃんとご飯を食べてるかな? 夕飯をパン一枚で終わらせてないかな? 洋服を散らかしていないかな? 洗濯はきちんとしているかな? ヨレヨレの制服着てないかな?
心残りが多すぎて自然に涙があふれてきた。
「マルレ? 泣いてるの?」
「ごめんなさい、ずっと考えないようにしてたんだけど、思い出してしまって」
「私も……。やっぱり話さないようにしようね……」
やはり、アリッサも残してきた家族や友人がいるのだと思うと、私まで気分が落ち込んで来る。
「それに、もうこっちでの人生のほうが長いし……」
「そうなのですか? 私はちょうど同じですわ」
「ということは? 16で転生したの?」
「そうです」
「そっか……私は14だった」
「年下でしたのね……」
「いや同い年だよ! そうしないと私30になっちゃうもん……」
「うん! 同い年ですね! 合算してもいいことなんてないですわ!」
「32……」
「止めてください!」
そんなやり取りに笑い合うと、先程の涙が出るほどの悲しみは、嘘のように消えていた。
この世界も悪くない……。
物心付く前に私たちの両親は亡くなった。後見人の遠い親戚のおばさんと、弁護士が管理する遺産から、生活費が振り込まれるだけだった。つながりがあるのは、一緒に暮らしてた妹だけで、友達もいなくゲーム三昧の日々……。人間関係が希薄だった前世よりも、親も兄弟も友達もいるこの世界のほうが、居心地が良い。だだここに妹さえいれば……。それだけが心残りだった。
「どうせなら、この世界について、思ったことを話さない?」
「ええ、そうしましょう!」
まず話したことは、食事についてです。この世界というか、この国は食糧難とは縁遠く平民の間でも、味についての追求と開発がすごい! 前世にあったものは、大体あるしかなり過ごしやすい。ただ和食がないのがつらい、アリッサも「そこだよね!」と同意してくれた。
次に戦争や飢饉と縁遠くすごく平和なこと!
モンスターはたくさんいるが、街は騎士団が完璧に守っている。外は冒険者が国や街からの依頼で、モンスターを倒している。人間が束になってかかっても倒せないモンスターもいるのですが、その姿を見ることはない。基本的に魔の領域とよばれる森林山岳地帯や、ダンジョンから出てくることはないのです。
その証拠に私はまだモンスターを見たことがない! だって街から出られないのですもの……。
最後にこの世界のベース? になったであろうゲームの話を聞いて私は驚いた。私が死んだことをきっかけに、この国が滅ぶというものでした。その原因は、お父様やお兄様それにファーダが「ドレスを脱ぐ」と言う言葉のもとに、復讐をするからだそうです。
私はふと思い出した。清潔の祝福をかけたご先祖様のことを……。書物で理由はふせられていたが、自分の命と引き換えに一族に祝福を授けたと書かれていた。その後に[トレイルはドレスを脱いだ]という謎の記述の意味が今わかりました。
「そんなすごいゲームだったのね……」
「そうよ、私が必死だった理由がわかったでしょ?」
「私はプレイしていなくて、自分がどうあがいても追放されることしか知りませんでしたわ」
「それで、追放後のことしか考えてなかったんだ~」
「そうですわ、けれども、私は死にませんよ?」
「わかってる! ちゃんとファーダ君と訓練したもんね」
私は、なんだか申し訳ない気持ちになった。流魔血は、記憶を取り戻した10歳の時から発動していました。力を入れてないアイドリング状態でも剣を弾くぐらいの防御力があったのです。なので、運命が変わったのは、私がこの世界に転生した瞬間だったことになる……。その事をアリッサに説明した。
「嘘でしょ! 今までの私の気苦労は何だったの!?」
取越し苦労? 無駄骨? これだと言葉が悪い気がするわね……。
「ええと……。空回りかしら?」
「から……まわり……」
アリッサが放心してしまいました。運命を変えることに関しては、空回りでした。けれどアリッサが私のためにしてくれたんだから、正確には違いますね。
「いえ! それは、運命を変えることに限っての話ですわ!」
アリッサの肩を揺すり意識を取り戻させる。
「正確に言いますと、私への親愛ですわ!」
「しんあい?」
「そうです私を思ってしてくれた事でしょう?」
「うん……そっか親愛か」
「ですから後は、卒業後に私が冒険者になれば、ゲームはハッピーエンドですわ!」
「そうね! 頑張ってアークをだましましょう!」
本当に不思議……。お互いが転生者だと分かっても結局やることは同じで、何も変わらなかった。私たちの友情の前には、転生者なんて大した問題ではなかった。
「なに言ってるのよ! 先に前世の言葉を使ったのはマルレでしょ!」
「う……でも転生者って決定的なこと言ったのはアリッサでしょ!」
アリッサが転生者かな? と思ったときは、もっと大ごとになるかと思ったけど、なにも変わらないですね。
「あ~あ。フローリングに寝そべってさ。水鉄砲とミニカーを周りに散らかしているマルレを見たときにピンときてね~。なんかさ~もっとシリアスな雰囲気になるのかな~と思ってたのに」
「私も今そう思ってましたわ」
「で、マルレも日本人なの?」
「この部屋見ればわかるでしょ? ちゃぶ台と座布団よ?」
アリッサは座布団の端をいじりながら、なにか言いづらそうにしている……。
「えっとさ……」
「なんですの? アリッサ」
「前世の話はさ……。つらくなるから禁止にしない?」
「そうですね……。私も賛成ですわ」
残してきた妹のハルカのことを思い出すと、また会いたくなる……。唯一の肉親だった私がいなくなって心細いだろうか? 元気にしているかな……。ちゃんとご飯を食べてるかな? 夕飯をパン一枚で終わらせてないかな? 洋服を散らかしていないかな? 洗濯はきちんとしているかな? ヨレヨレの制服着てないかな?
心残りが多すぎて自然に涙があふれてきた。
「マルレ? 泣いてるの?」
「ごめんなさい、ずっと考えないようにしてたんだけど、思い出してしまって」
「私も……。やっぱり話さないようにしようね……」
やはり、アリッサも残してきた家族や友人がいるのだと思うと、私まで気分が落ち込んで来る。
「それに、もうこっちでの人生のほうが長いし……」
「そうなのですか? 私はちょうど同じですわ」
「ということは? 16で転生したの?」
「そうです」
「そっか……私は14だった」
「年下でしたのね……」
「いや同い年だよ! そうしないと私30になっちゃうもん……」
「うん! 同い年ですね! 合算してもいいことなんてないですわ!」
「32……」
「止めてください!」
そんなやり取りに笑い合うと、先程の涙が出るほどの悲しみは、嘘のように消えていた。
この世界も悪くない……。
物心付く前に私たちの両親は亡くなった。後見人の遠い親戚のおばさんと、弁護士が管理する遺産から、生活費が振り込まれるだけだった。つながりがあるのは、一緒に暮らしてた妹だけで、友達もいなくゲーム三昧の日々……。人間関係が希薄だった前世よりも、親も兄弟も友達もいるこの世界のほうが、居心地が良い。だだここに妹さえいれば……。それだけが心残りだった。
「どうせなら、この世界について、思ったことを話さない?」
「ええ、そうしましょう!」
まず話したことは、食事についてです。この世界というか、この国は食糧難とは縁遠く平民の間でも、味についての追求と開発がすごい! 前世にあったものは、大体あるしかなり過ごしやすい。ただ和食がないのがつらい、アリッサも「そこだよね!」と同意してくれた。
次に戦争や飢饉と縁遠くすごく平和なこと!
モンスターはたくさんいるが、街は騎士団が完璧に守っている。外は冒険者が国や街からの依頼で、モンスターを倒している。人間が束になってかかっても倒せないモンスターもいるのですが、その姿を見ることはない。基本的に魔の領域とよばれる森林山岳地帯や、ダンジョンから出てくることはないのです。
その証拠に私はまだモンスターを見たことがない! だって街から出られないのですもの……。
最後にこの世界のベース? になったであろうゲームの話を聞いて私は驚いた。私が死んだことをきっかけに、この国が滅ぶというものでした。その原因は、お父様やお兄様それにファーダが「ドレスを脱ぐ」と言う言葉のもとに、復讐をするからだそうです。
私はふと思い出した。清潔の祝福をかけたご先祖様のことを……。書物で理由はふせられていたが、自分の命と引き換えに一族に祝福を授けたと書かれていた。その後に[トレイルはドレスを脱いだ]という謎の記述の意味が今わかりました。
「そんなすごいゲームだったのね……」
「そうよ、私が必死だった理由がわかったでしょ?」
「私はプレイしていなくて、自分がどうあがいても追放されることしか知りませんでしたわ」
「それで、追放後のことしか考えてなかったんだ~」
「そうですわ、けれども、私は死にませんよ?」
「わかってる! ちゃんとファーダ君と訓練したもんね」
私は、なんだか申し訳ない気持ちになった。流魔血は、記憶を取り戻した10歳の時から発動していました。力を入れてないアイドリング状態でも剣を弾くぐらいの防御力があったのです。なので、運命が変わったのは、私がこの世界に転生した瞬間だったことになる……。その事をアリッサに説明した。
「嘘でしょ! 今までの私の気苦労は何だったの!?」
取越し苦労? 無駄骨? これだと言葉が悪い気がするわね……。
「ええと……。空回りかしら?」
「から……まわり……」
アリッサが放心してしまいました。運命を変えることに関しては、空回りでした。けれどアリッサが私のためにしてくれたんだから、正確には違いますね。
「いえ! それは、運命を変えることに限っての話ですわ!」
アリッサの肩を揺すり意識を取り戻させる。
「正確に言いますと、私への親愛ですわ!」
「しんあい?」
「そうです私を思ってしてくれた事でしょう?」
「うん……そっか親愛か」
「ですから後は、卒業後に私が冒険者になれば、ゲームはハッピーエンドですわ!」
「そうね! 頑張ってアークをだましましょう!」
本当に不思議……。お互いが転生者だと分かっても結局やることは同じで、何も変わらなかった。私たちの友情の前には、転生者なんて大した問題ではなかった。
0
あなたにおすすめの小説
処刑前夜に逃亡した悪役令嬢、五年後に氷の公爵様に捕まる〜冷徹旦那様が溺愛パパに豹変しましたが私の抱いている赤ちゃん実は人生2周目です〜
放浪人
恋愛
「処刑されるなんて真っ平ごめんです!」 無実の罪で投獄された悪役令嬢レティシア(中身は元社畜のアラサー日本人)は、処刑前夜、お腹の子供と共に脱獄し、辺境の田舎村へ逃亡した。 それから五年。薬師として穏やかに暮らしていた彼女のもとに、かつて自分を冷遇し、処刑を命じた夫――「氷の公爵」アレクセイが現れる。 殺される!と震えるレティシアだったが、再会した彼は地面に頭を擦り付け、まさかの溺愛キャラに豹変していて!?
「愛しているレティシア! 二度と離さない!」 「(顔が怖いです公爵様……!)」
不器用すぎて顔が怖い旦那様の暴走する溺愛。 そして、二人の息子であるシオン(1歳)は、実は前世で魔王を倒した「英雄」の生まれ変わりだった! 「パパとママは僕が守る(物理)」 最強の赤ちゃんが裏で暗躍し、聖女(自称)の陰謀も、帝国の侵略も、古代兵器も、ガラガラ一振りで粉砕していく。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
虚弱体質?の脇役令嬢に転生したので、食事療法を始めました
たくわん
恋愛
「跡継ぎを産めない貴女とは結婚できない」婚約者である公爵嫡男アレクシスから、冷酷に告げられた婚約破棄。その場で新しい婚約者まで紹介される屈辱。病弱な侯爵令嬢セラフィーナは、社交界の哀れみと嘲笑の的となった。
攻撃魔法を使えないヒーラーの俺が、回復魔法で最強でした。 -俺は何度でも救うとそう決めた-【[完]】
水無月いい人(minazuki)
ファンタジー
【HOTランキング一位獲得作品】
【一次選考通過作品】
---
とある剣と魔法の世界で、
ある男女の間に赤ん坊が生まれた。
名をアスフィ・シーネット。
才能が無ければ魔法が使えない、そんな世界で彼は運良く魔法の才能を持って産まれた。
だが、使用できるのは攻撃魔法ではなく回復魔法のみだった。
攻撃魔法を一切使えない彼は、冒険者達からも距離を置かれていた。
彼は誓う、俺は回復魔法で最強になると。
---------
もし気に入っていただけたら、ブクマや評価、感想をいただけると大変励みになります!
#ヒラ俺
この度ついに完結しました。
1年以上書き続けた作品です。
途中迷走してました……。
今までありがとうございました!
---
追記:2025/09/20
再編、あるいは続編を書くか迷ってます。
もし気になる方は、
コメント頂けるとするかもしれないです。
【完結】番としか子供が産まれない世界で
さくらもち
恋愛
番との間にしか子供が産まれない世界に産まれたニーナ。
何故か親から要らない子扱いされる不遇な子供時代に番と言う概念すら知らないまま育った。
そんなニーナが番に出会うまで
4話完結
出会えたところで話は終わってます。
悪役令息の継母に転生したからには、息子を悪役になんてさせません!
水都(みなと)
ファンタジー
伯爵夫人であるロゼッタ・シルヴァリーは夫の死後、ここが前世で読んでいたラノベの世界だと気づく。
ロゼッタはラノベで悪役令息だったリゼルの継母だ。金と地位が目当てで結婚したロゼッタは、夫の連れ子であるリゼルに無関心だった。
しかし、前世ではリゼルは推しキャラ。リゼルが断罪されると思い出したロゼッタは、リゼルが悪役令息にならないよう母として奮闘していく。
★ファンタジー小説大賞エントリー中です。
※完結しました!
転生しましたが悪役令嬢な気がするんですけど⁉︎
水月華
恋愛
ヘンリエッタ・スタンホープは8歳の時に前世の記憶を思い出す。最初は混乱したが、じきに貴族生活に順応し始める。・・・が、ある時気づく。
もしかして‘’私‘’って悪役令嬢ポジションでは?整った容姿。申し分ない身分。・・・だけなら疑わなかったが、ある時ふと言われたのである。「昔のヘンリエッタは我儘だったのにこんなに立派になって」と。
振り返れば記憶が戻る前は嫌いな食べ物が出ると癇癪を起こし、着たいドレスがないと癇癪を起こし…。私めっちゃ性格悪かった!!
え?記憶戻らなかったらそのままだった=悪役令嬢!?いやいや確かに前世では転生して悪役令嬢とか流行ってたけどまさか自分が!?
でもヘンリエッタ・スタンホープなんて知らないし、私どうすればいいのー!?
と、とにかく攻略対象者候補たちには必要以上に近づかない様にしよう!
前世の記憶のせいで恋愛なんて面倒くさいし、政略結婚じゃないなら出来れば避けたい!
だからこっちに熱い眼差しを送らないで!
答えられないんです!
これは悪役令嬢(?)の侯爵令嬢があるかもしれない破滅フラグを手探りで回避しようとするお話。
または前世の記憶から臆病になっている彼女が再び大切な人を見つけるお話。
小説家になろうでも投稿してます。
こちらは全話投稿してますので、先を読みたいと思ってくださればそちらからもよろしくお願いします。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる