5 / 7
七英雄
しおりを挟む
「ギルムを出しなさい! この街にいるのは分かっているのよ!」
ハンターギルドで、ピンク色の髪をした美しい身なりのお嬢様のような女が、大声で受付嬢に食って掛かっている。
「だから何度も言ってますように、ギルムという人はハンター登録をしていません。それに、アイテムの買取記録もありません!」
ピンク髪の女は大きな胸をブルンと震わせ振り返りハンターギルドにいる全員に向かって大声を上げる。
「名前はギルム、ポーターをやっていますわ! これと言った特徴のない普通顔の男よ! 隠すとためにならないわよ!」
偶然居合わせたハンターたちが一斉に彼女に視線を移す。何処からともなくいい香りがあたりに漂うとハンターたちは次々に声を上げる。
「こんな美人に探されるなんてなんて運のいいやつだ!」
「たまらねぇぜあの胸に、あの尻!」
「ギルム? ポーターにそんな奴いたか?」
ギルド内はザワザワ騒ぎ出すと、その騒ぎを聞きつけてハンターギルドのマスターが奥から出てきた。
「いってぇ何の騒ぎだ!」
ギルドマスターが乱暴に扉を開けながら怒鳴り込んできた。しかし、ピンク髪の女を見た途端に態度を急変させた。
「これはこれは、七英雄のブリージア様ではないですか。今日はどのような御用で……」
七英雄とは、最強のハンターと名高いチーム[破滅の剣]のメンバー7人の通り名だ。この通り名がついたのは、魔物が延々とダンジョンの外に湧き出る、[スタンピードのダンジョン]をクリアして、国を救ったからである。
しかし、[破滅の剣]の7人はその呼び名を良しとしていない。
「その呼び名は、やめなさい! 私達[破滅の剣]は、8人で一つのチームよ! 二度と7人なんて言わないでちょうだい!」
彼女の言う通り[破滅の剣]は、8人で人チーム7人の戦闘職とひとりのポーターで構成されていた。しかし7英雄と名前が売れだしたころにポーターである彼は、行方をくらませたのである。
「とにかく! ポーターのギルムがどこにいるか教えて頂戴!」
ギルドマスターは、受付に目配せすると、受付は首を横に振り、そんな人はいないと知らせる。
「申し訳ありません登録されている方にその様な方はいません……」
フリージアは、自分が何者か知っているギルドマスターの言葉を聞き、本当に登録していないと気がついた。
そして一枚の紙を取り出しギルムの似顔絵を描いていく。その絵は見事で、本人を知っている人がいれば、まるで生き写しだと褒めるほどそっくりだった。
「私の最愛の人を探しています! 名前はギルムです。どなたか、ご存知ありませんか?」
そっくりな似顔絵をハンターたちに見せて回る。
ハンターたちも可愛い娘の要求に答えようと、眉間にシワを寄せて必死に記憶をたどっている。
しかし彼女も言っていたように、特徴がないのが特徴と言わしめる顔のせいで問題が発生する。
「こいつは、八百屋のせがれじゃないか?」
「いや、武器屋の親父だろ?」
「ちがうって、娼館の受付の男だ」
「いやいや、北の農家の3男だろ?」
どこにでもいる顔とはよく言ったもので、実際にどこでもいるようで、別人の情報が多数出る。
フリージアは、少々考え込むと絵にいろいろと物を追加していく。
大きなカバン、トランクケース、折りたたみの椅子と机……。そして、新聞を書き込んだときだった。
「「「買取屋のおっさんだ!」」」
ハンターたちは声を揃えてフリージアが探している人物を特定した。
「買取屋? なんですの? それは?」
フリージアは、聞いたことない商売に疑問の声を上げた。するとギルドマスターが納得したように話し始めた。
「この人は、買取屋と言ってダンジョン内で素材を買い取っている男だ。だからハンターでも商人でもない。どちらのギルドにも記録は無いと思う」
マスターがフリージアに話す影で、ハンターたちはおっさんの正体が伝説のハンターチームのポーターだと知りやっぱり一人で敵を叩き潰せるほど強かったんだと納得した。
だが、フリージアが大声を上げたことで、その考えは吹き飛んだ。
「ギルムがひとりでダンジョンに!? ギルムはすごく弱いから魔物に見つかったら死んでしまうわ! すぐに助けに行かないと! 待っててね最愛の人!」
嵐のような女フリージアは、大きな疑問といい香りを残して去っていった。
「買取屋の正体がわかったと思ったら、よけい謎が増えた。弱いってのはどういうことだ?」
ダンジョン内でも無事に過ごせる疑問は結局解決せず、謎は更に深まっていった。
本人に力はない……しかしドラゴンを一撃で倒している。
スッキリしたと思いきや、ハンターたちが買取屋のおっさんについてあれこれ考える日々はまだ続きそうだ。
◆
「おい! 聞いたか七英雄の美人が買取屋を追っかけて、この街に来たって」
酒場では相変わらず買取屋の話で盛り上がっている。
「もちろん知ってるぜ! 俺はその場にいたからな!」
話しを振った男は目撃者がいたことにより話の主役を奪われたが、詳しく聞きたいのでそのまま目撃談を聞くことにした。
「おっさんは、伝説のハンターチーム[破滅の剣]のポーターだったんだ!」
「「「なっ、なんだってー!?」」」
その話を初めて聞いた酒場の客たちは、驚きの声を上げた。[破滅の剣]が8人だったこと、本人たちが、七英雄という言葉を嫌っていること……。
そして一番大きな衝撃を与えたのが、巨乳の美人お嬢様が買取屋のおっさんを最愛の人と言って探しているといことだった。
買取屋のおっさんが、謎解きの対象から、うらやましくも腹立たしいい対象になりかけたとき、さらなる一言で皆首をひねった。
「おっさんは伝説のチームのポーターだけど戦闘力0でめちゃくちゃ弱いらしいぞ……」
みんなが首をひねり、どうにか想像力を働かせるも、さっぱりこれだという予想すら出ない。
そんな中ひとりの中年男だけが、コップを持つ手をガタガタと震えさせていた。
「逃げなきゃ……」
そう、ひとりごちると、机に代金を置いて急いで酒場から早足で、出ていった。
ハンターギルドで、ピンク色の髪をした美しい身なりのお嬢様のような女が、大声で受付嬢に食って掛かっている。
「だから何度も言ってますように、ギルムという人はハンター登録をしていません。それに、アイテムの買取記録もありません!」
ピンク髪の女は大きな胸をブルンと震わせ振り返りハンターギルドにいる全員に向かって大声を上げる。
「名前はギルム、ポーターをやっていますわ! これと言った特徴のない普通顔の男よ! 隠すとためにならないわよ!」
偶然居合わせたハンターたちが一斉に彼女に視線を移す。何処からともなくいい香りがあたりに漂うとハンターたちは次々に声を上げる。
「こんな美人に探されるなんてなんて運のいいやつだ!」
「たまらねぇぜあの胸に、あの尻!」
「ギルム? ポーターにそんな奴いたか?」
ギルド内はザワザワ騒ぎ出すと、その騒ぎを聞きつけてハンターギルドのマスターが奥から出てきた。
「いってぇ何の騒ぎだ!」
ギルドマスターが乱暴に扉を開けながら怒鳴り込んできた。しかし、ピンク髪の女を見た途端に態度を急変させた。
「これはこれは、七英雄のブリージア様ではないですか。今日はどのような御用で……」
七英雄とは、最強のハンターと名高いチーム[破滅の剣]のメンバー7人の通り名だ。この通り名がついたのは、魔物が延々とダンジョンの外に湧き出る、[スタンピードのダンジョン]をクリアして、国を救ったからである。
しかし、[破滅の剣]の7人はその呼び名を良しとしていない。
「その呼び名は、やめなさい! 私達[破滅の剣]は、8人で一つのチームよ! 二度と7人なんて言わないでちょうだい!」
彼女の言う通り[破滅の剣]は、8人で人チーム7人の戦闘職とひとりのポーターで構成されていた。しかし7英雄と名前が売れだしたころにポーターである彼は、行方をくらませたのである。
「とにかく! ポーターのギルムがどこにいるか教えて頂戴!」
ギルドマスターは、受付に目配せすると、受付は首を横に振り、そんな人はいないと知らせる。
「申し訳ありません登録されている方にその様な方はいません……」
フリージアは、自分が何者か知っているギルドマスターの言葉を聞き、本当に登録していないと気がついた。
そして一枚の紙を取り出しギルムの似顔絵を描いていく。その絵は見事で、本人を知っている人がいれば、まるで生き写しだと褒めるほどそっくりだった。
「私の最愛の人を探しています! 名前はギルムです。どなたか、ご存知ありませんか?」
そっくりな似顔絵をハンターたちに見せて回る。
ハンターたちも可愛い娘の要求に答えようと、眉間にシワを寄せて必死に記憶をたどっている。
しかし彼女も言っていたように、特徴がないのが特徴と言わしめる顔のせいで問題が発生する。
「こいつは、八百屋のせがれじゃないか?」
「いや、武器屋の親父だろ?」
「ちがうって、娼館の受付の男だ」
「いやいや、北の農家の3男だろ?」
どこにでもいる顔とはよく言ったもので、実際にどこでもいるようで、別人の情報が多数出る。
フリージアは、少々考え込むと絵にいろいろと物を追加していく。
大きなカバン、トランクケース、折りたたみの椅子と机……。そして、新聞を書き込んだときだった。
「「「買取屋のおっさんだ!」」」
ハンターたちは声を揃えてフリージアが探している人物を特定した。
「買取屋? なんですの? それは?」
フリージアは、聞いたことない商売に疑問の声を上げた。するとギルドマスターが納得したように話し始めた。
「この人は、買取屋と言ってダンジョン内で素材を買い取っている男だ。だからハンターでも商人でもない。どちらのギルドにも記録は無いと思う」
マスターがフリージアに話す影で、ハンターたちはおっさんの正体が伝説のハンターチームのポーターだと知りやっぱり一人で敵を叩き潰せるほど強かったんだと納得した。
だが、フリージアが大声を上げたことで、その考えは吹き飛んだ。
「ギルムがひとりでダンジョンに!? ギルムはすごく弱いから魔物に見つかったら死んでしまうわ! すぐに助けに行かないと! 待っててね最愛の人!」
嵐のような女フリージアは、大きな疑問といい香りを残して去っていった。
「買取屋の正体がわかったと思ったら、よけい謎が増えた。弱いってのはどういうことだ?」
ダンジョン内でも無事に過ごせる疑問は結局解決せず、謎は更に深まっていった。
本人に力はない……しかしドラゴンを一撃で倒している。
スッキリしたと思いきや、ハンターたちが買取屋のおっさんについてあれこれ考える日々はまだ続きそうだ。
◆
「おい! 聞いたか七英雄の美人が買取屋を追っかけて、この街に来たって」
酒場では相変わらず買取屋の話で盛り上がっている。
「もちろん知ってるぜ! 俺はその場にいたからな!」
話しを振った男は目撃者がいたことにより話の主役を奪われたが、詳しく聞きたいのでそのまま目撃談を聞くことにした。
「おっさんは、伝説のハンターチーム[破滅の剣]のポーターだったんだ!」
「「「なっ、なんだってー!?」」」
その話を初めて聞いた酒場の客たちは、驚きの声を上げた。[破滅の剣]が8人だったこと、本人たちが、七英雄という言葉を嫌っていること……。
そして一番大きな衝撃を与えたのが、巨乳の美人お嬢様が買取屋のおっさんを最愛の人と言って探しているといことだった。
買取屋のおっさんが、謎解きの対象から、うらやましくも腹立たしいい対象になりかけたとき、さらなる一言で皆首をひねった。
「おっさんは伝説のチームのポーターだけど戦闘力0でめちゃくちゃ弱いらしいぞ……」
みんなが首をひねり、どうにか想像力を働かせるも、さっぱりこれだという予想すら出ない。
そんな中ひとりの中年男だけが、コップを持つ手をガタガタと震えさせていた。
「逃げなきゃ……」
そう、ひとりごちると、机に代金を置いて急いで酒場から早足で、出ていった。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
三十年後に届いた白い手紙
RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。
彼は最後まで、何も語らなかった。
その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。
戴冠舞踏会の夜。
公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。
それは復讐でも、告発でもない。
三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、
「渡されなかった約束」のための手紙だった。
沈黙のまま命を捨てた男と、
三十年、ただ待ち続けた女。
そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。
これは、
遅れて届いた手紙が、
人生と運命を静かに書き換えていく物語。
思いを込めてあなたに贈る
あんど もあ
ファンタジー
ファナの母が亡くなった二ヶ月後に、父は新しい妻とその妻との間に生まれた赤ん坊を家に連れて来た。義母は、お前はもうこの家の後継者では無いと母から受け継いだ家宝のネックレスを奪うが、そのネックレスは……。
ボロ雑巾な伯爵夫人、やっと『家族』を手に入れました。~旦那様から棄てられて、ギブ&テイクでハートフルな共同生活を始めます2~
野菜ばたけ@既刊5冊📚好評発売中!
ファンタジー
第二夫人に最愛の旦那様も息子も奪われ、挙句の果てに家から追い出された伯爵夫人・フィーリアは、なけなしの餞別だけを持って大雨の中を歩き続けていたところ、とある男の子たちに出会う。
言葉汚く直情的で、だけど決してフィーリアを無視したりはしない、ディーダ。
喋り方こそ柔らかいが、その実どこか冷めた毒舌家である、ノイン。
12、3歳ほどに見える彼らとひょんな事から共同生活を始めた彼女は、人々の優しさに触れて少しずつ自身の居場所を確立していく。
====
●本作は「ボロ雑巾な伯爵夫人、旦那様から棄てられて、ギブ&テイクでハートフルな共同生活を始めます。」からの続き作品です。
前作では、二人との出会い~同居を描いています。
順番に読んでくださる方は、目次下にリンクを張っておりますので、そちらからお入りください。
※アプリで閲覧くださっている方は、タイトルで検索いただけますと表示されます。
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。
嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。
「居なくていいなら、出ていこう」
この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる