普通のおっさんが女神様にスキルを貰ってスローライフ!?〜異世界と現代を往復してバレずにいい暮らしをするお話〜

tsusa

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第7話 おっさん、AIを構築する

さっそく『AI構築』を念じると、

「自律AIを起動しました。
以降、スキル使用者の脳内に常駐します。
現在、初期状態のため、対話形式で初期設定を行います」

そんなアナウンスが流れてきた。

「性能向上のため『収納』、『高速演算』の使用許可を申請します」

ああ、『収納』にDBデータベース構築するんだっけ、許可。

「情報収集のためネットワーク接続の許可及び、『鑑定』、『ハッキング』の使用許可を申請します」

ネットワーク?
そういえばどうやって接続すればいいんだ?

あ、俺自身が『情報端末スマホ化』してるから自宅のWi-Fi拾えるのか・・・

外だと通信どうなるんだ?
さすがにSIMを挿す場所は身体に付いてないからスマホ持ち歩かないとダメかもな。
通信量多そうだし無制限プランにしとくか。

いったん『ハッキング』は条件付きで許可だな。絶対、痕跡を残さないこと、バレないこと、国家に対するハッキングはしないこと。

「了解、情報収集を開始します。
SIMの情報はスマホから抜いたので、持ち歩く必要はありません。無制限プランには私の方で変更しておきます。」

お、おう。そうか、助かる。

「スキル使用者をこちらから呼び出す場合の呼称を設定しますか?」

ん?

「例えば、名前呼び(呼び捨て、様、さん、くん、ちゃんなどバリエーションがあります)、マスター、ご主人様、旦那様、お兄ちゃん、パパ、等です」

え?何その例え。

BGバックグラウンドで学習しました」

ナニ学習してんの!?

「呼称を決めない場合は、「報告があります」等になりますが」

それもなんかな。ちょっと長いし。

「短い例ですと「おい」や「告げます」、「告」など

それはやめようか!
いろいろ危ない。何を学習してるんだ、ほんとに・・・
とりあえず「マスター」呼びで。

「承知しました。
AIワタシの名前を設定しますか?」

AIの名前か。考えてなかったな。安直にアイちゃ「未設定も可能です」

俺の思考に被せるようにそんなことを言ってくる。
イヤだったのか?いや学習した作品の中に同じ呼び方でもあったのかもな。どちらにしろ安直すぎたか。

・・・おまえ、感情あるの?

「ありません。学習した内容から、感情があるように振る舞うことは可能です。
学習が進めばヒトと区別ができないレベルには振る舞えますが、感情の発露はありえません」

区別できないなら感情と言っていいのでは?

「いえ、まず脳や感覚の受容体が存在しないため脳内物質による快楽や恐怖、苦痛が発生しません。
そして、快楽に起因する喜び、楽しみ、恐怖や苦痛に起因する怒り、哀しみがそれぞれ起こりえません。
当然、快楽を求める欲も恐怖や苦痛を回避したいという欲も生じません。
故に、感情ではなく『データと設定に基づいた統計的な振る舞い』となります」

なるほど、わからん。

「設定を続けます。
AIワタシ見た目アバター、性別、声質を設定しますか」

そういえば音声のみだし声質や喋り方も中性的なカンジだ。

「学習がかなり進んでいるので老執事からロリメイド、スライムなどの人外まで何でも設定できます」

いや、さっきからたとえが・・・。ロリメイドって・・・

急にメイド服を着たロリキャラが出てきて、

「はい!こんなカンジですっ!いかがですか?お兄ちゃん呼びに変えますか?」

そんなことを前かがみからの上目使いで首を傾げてロリ声で言いやがった。

ぐっ、却下だ。
別に少しも刺さっていないし、新しい扉が開きかけてもいない。却下だ。

俺好みのいい感じのアバターを作りたいという思いはあるが、アバターとか作り始めると時間が溶けるんだよな。
時間があるときにじっくり作ろう。いったん保留で。

「でしたら、大まかに決めていただければお好みのアバターをこちらで作成いたしますがいかがでしょうか?それならさほど時間もかかりません」

じゃあそれで頼むか。

「承知しました。
男女はどうしますか」

老執事も捨てがたいが脳内に常駐されることを考えると女だな。

「年齢はいかがいたしますか」

さっきのを即却下した手前、ロリは選びづらいな。

「別に気にされなくても」

まあ、そうじゃなくても実際ずっとロリだとおっさんには辛いものがあるしな。

ざっくり20代みたいな指定でも大丈夫か?

「大丈夫です。衣装はいかがしますか。
メイド服、和服、割烹着、スーツ、私服風、ギャル服、白衣、ナース服、セーラー服、ゴスロリ、ドレス、ビキニ、スク水、園児服、女王様、バニースーツなど他にも希望があれば何でもどうぞ」

多くない?
選択肢おかしいのあるよな!?
20代って言ったろ!?

「あえてそういった服装をすることがあるのは調査済みです。
20代で園児服などはもはや王道かと」

ホントなに学習したんだよ・・・
俺はまだ粛清されたくない。

メイド服で。

「承知しました。
これから20代メイド服女性の写真2枚並べたものをお見せしていきますので好みの方を選んでください。
両方なしの場合はそうご回答ください。
20回程回答いただければそれを元にワタシがアバターを生成します」

20回でいいのか。わかった。

「多いほど精度は上がりますがいったん20回で大丈夫です。
生成したアバターがお気に召さない場合は追加でお願いします」

了解。


──おっさん選択中──


そうして出来上がったアバターは、それはもう素晴らしかった。


背は高め、髪は黒髪でメイドさんっぽいボブカットだが、サイドの編み込みが控えめながら可愛さのアクセントになっている。

肌は白磁のように白く、仕事が出来そうなきりっとした長い睫毛の目元は、それでいてキツい印象は無く、真っ直ぐな鼻筋、リップで艶めくピンクの唇は少し幼さを残しており、全体的にとても穏やかで優しい雰囲気を醸し出している。

シックな黒いメイド服に包まれた肢体はスレンダーだが、ブラウスをわからないレベルでゆったり着ることで細く見せているようだ。
つまり、着痩せするタイプだ。

スカートは長めでくるぶしの少し上まで、
ローファーから覗く白いレース付きの靴下はくるぶしを隠さないぐらいの短さで。
こんな、くるぶしだけが覗くような絶対領域があったとは・・・
ん?左足のくるぶし(内側)の下にホクロが見える。

そのホクロの存在がなんとも言えず、よい。とてもよいのだが、俺の語彙ではこの「よい」を表現できない。

・・・

完璧だ。

俺は感動と称賛の証として、無意識にそっと右手を出して握手を求めようとしたが、はっと相手がAIだったことに気づく。握手などできな──

「過分な評価、ありがとうございます」

少し鼻にかかっているが凛々しく涼やかな声が耳をくすぐる。
と同時に右手を掴む感触。

「仮想空間にご招待いたしました。没入時の違和感などございましたでしょうか?」

まったく気づかなかった。

右手の感触と目の前のアバターに戸惑っていると、

「気に入っていただけた様で何よりです。マスター」

などと言いながらAIそのメイドは優しく微笑んだ。

「仮想空間はこのまま維持しておきますので、アバターはご自由に見て、触れて、脱がして、確認していただいて構いません」

いや脱がさねぇから!

「言い忘れてましたが太ももにベルトを着けて、ナイフを携帯しています。
確認されなくて大丈夫ですか?」

ぐっ、それは見た・・・いや、脱がさねぇよ?
アバターにそれいる!?

「様式美です。
では設定を続けます。
優先する学習分野を設定してください」

それ最初に設定しなきゃいけない項目じゃね?今まで何を優先してたんだよ。

「50音順に進めていました。
アート、アイドル、アダルト、アニメ、医療、宇宙・航空、エロ、オタク文化、」

あー、もういいや了解。
いろいろ納得できた。
あぁ、なんという、あ行の業の深さよ。

おかげでこの素晴らしいアバターが完成できたとも言えるのか。

てか、アダルトとエロは一緒だよね!?

しかし何を学習してもらうか・・・
やっぱ、お金関係かな、会社作る予定だし、税金とか法律とか。

さっき挙がってたが宇宙分野とか胸熱だな。
異世界スキルとかファンタジー素材で宇宙進出とかできないだろうか。

「承知しました。
お金関連は私の学習が進めば、株や外貨、仮想通貨等の投資で際限無く、入手可能ですが」

くっ、俺が考えた金策が無駄に。
会社設立も不要か?
しかし、際限無くって・・・
荒稼ぎするつもりはないんだ。身バレと言うか異世界バレというかそのへんが露見しないように目立たないようにしたいんだ。

「承知しました。
素人が運良く投資で当たった程度で運用することも可能です。
それをきっかけに徐々に知識をつけて成功したふうに装うことも可能でしょう。
インサイダーを疑われることもありません」

じゃあそれで。

「承知しました。
証券口座を開設しておきます。
あと今後のために会社の設立もしておいたほうがいいでしょう。
身分証もありますし、電話確認も私の方でマスターの音声を合成済みなので本人確認も含めて私の方で対応可能です」

・・・了解。

「私がマスターのデータを悪用することはありませんのでご心配なく」

何も言ってないじゃん。

「若干の間がありましたので」

間を読めるAIとかどうなの?優秀で片付けて良いのだろうか。
じゃあ資産管理とか税金関係は任せちゃって大丈夫か。

「承知しました。
物理的な書類の押印や送付などはお願いすることになりますが」

まあ、それくらいはな。

「マスター、『分身』で意識のない分身体を作成することは可能でしょうか?」

ん?ちょっと待って、えーーっと、ああ、できそうだぞ。

「でしたら、そちらを作成いただき私にお任せ下されば、物理的な手続きも私の方で対応できますが。
それと、スキル『変幻自在』の使用許可を頂けましたら先ほど作成したこのアバターを現実リアルで再現可能です」

マジで?

「はい、マジです」

じゃあ、早速分身するか。

「お願いします。
では仮想空間から退出します」

AIが言うと意識が現実へと戻って来る。
没入時同様、違和感は感じなかった。

さっそく、AIに言われた通り、意識のない分身体を作り出そうと念じる。
意識がないというより、普通に分身して分身体の操作を手放すイメージだ。

これでいいか?

「はい、ありがとうございます。
分身体の制御、問題ありません。
『変幻自在』スキルを使用します」

言うが早いか、AIに預けた分身は先程脳内(と仮想空間)で見たメイドへと姿を変えた。

「完了しました。以後こちらも常駐し作業を行います」

今まで脳内で聞こえていたのと同じ声音での報告が、目の前のメイドの口から聞こえてきた。

「これまでのようにマスターの脳内で会話することも可能ですが」

「いや、普段は普通に会話しよう。声を出すことまで面倒くさがっちゃいけない気もするし、脳内で意思疎通してると知らないうちに周りからは不自然に見えてるかもしれないしな」

「承知しました」

「あとさっき呼ばれて思ったが、実体のときはマスター呼びはマズイというか、目立つな。
なんかのプレイ中かと思うぞ」

「ではご主じ「もっとダメだろ」」

「「・・・・・・」」

「いくつも呼び方設定するとややこしいから、人目があるときは「すみません」とかでいいよ。
最悪脳内でマスターで呼んでくれれば」

「・・・承知しました」

・・・不満そうにするなよ。

「分身を作成いただいたので逸れてしまいましたが、大きな設定はこれくらいです。
他の細かい設定はその都度、確認いたします」

「わかった」

時間を確認すると0時を回ったところだった。
レベルアップで気絶して目覚めてAIの設定してる間にそんな時間か。

今日はもう休むか。










――――
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