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第79話 おっさん、初観戦
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そんなわけで、俺のボクシングのプロデビュー戦の日。
有名なうんたら園ホールでやるわけではないらしい。
到着したときは、え?ここ?って感じの普通のビルだった。
4回戦のペーペーがそんな有名なところで試合なんてできないよなと思って納得したんだが、別にうんたら園ホールでも普通にやってるらしい。
まあタイミングなんだろう。
ちなみに4回戦ってのは4ラウンドまでの試合しかできないってことだ。
実績積んでラウンド数が増えていくんだとか。
最初聞いたときはデビュー戦なのにもう4回戦目?なんて思って混乱したもんだ。
それでも今日デビュー戦同士の試合がいくつかくまれており、そういうイベントではあるらしい。
俺は8試合目。
ちなみに計量は昨日済ませてパスしている。
『健康』スキルのせいで体重減らせませんなんてことはなかった。
まあ元々無理のない階級にしてもらってはいたが。
そして「〇〇kgの俺に『変身』する」なんてズルもしていない。
身体能力が既にチートなんだからその辺でちょこちょこズルしてもな。
そして驚いたことに、計量時にボクシング系の雑誌やネットのスポーツニュースみたいなところからの取材なんかもあった。
一緒にリュウも受かってたから結構プロになるんだな~くらいに思ってたが、ジムとしては結構な事件らしい。
それが2人も同時期にってことで、そこそこ有名だったウチのジムは俺が思うより注目されているみたいだ。
ボクサーポーズで写真を撮られたりもした。
経歴や動機なんかも聞かれたが、ほぼほぼ不登校の中卒で、暇つぶしの体力づくりみたいに言ったらなんか困っていた。
どう書かれるんだろうな~とも思ったが、今まで生きてきてプロデビューするボクサーのインタビュー記事など、流れてきたこともないので大した注目も浴びないだろう。
そうして今日を迎えたわけだが。
チケットは5枚ほどもらったが別に売ってこなきゃいかんノルマとかってわけではなかった。
家族や友人、彼女でも呼んでやれってことなんだろうが。
好きでやってる本人はともかく、見る方は心配でたまらんと思うがね。
特に彼女やおふくろさんなんかは。
見ると誰かのご両親と親戚、彼女とその友人みたいなのがチラホラと居る。
旦那や友人の手を取って、祈るような面持ちだ。
俺はこんなふうに見守られてる誰かをぶん殴らなきゃならんのか。
いや、この言い方はよくないか。
ボクシングは格闘技であり、スポーツであり、競技だからな。
まあ別に気にしないが。
そんな俺はAIに1枚、ミヤマヤに1枚ずつ渡している。
ミヤマヤに渡すかどうかは迷ったが、どうせ負けることはないし、2人もジム通いだし、リュウをボコボコにした俺を見て声を掛けてきたくらいだから暴力と格闘技の区別は出来てるんだろうしな。
さすがに顔面ボコボコ流血失神K.Oエンドは選べなくなったが。
もちろん相手を、だ。
大体の時間は伝えてあるが、8試合目だからな。K.Oの有無でどうなるかわからんと言ったが流石にまだ来ていないようだ
他にはボクシングファンっぽいヒトなど、身内だけじゃない観客も結構入っている。
もうちょっと増えるんだとすれば結構な入りなんじゃなかろうか。
そんな会場の雰囲気をちらっと感じつつ、俺は控室に向かった。
個室ってわけじゃないが広い部屋をざっくり6等分したぐらいのスペースが与えられていた。
と言っても壁から2メートル程の衝立があるくらいで、中央はフリースペースと言っていい。
それでもみんな衝立の延長内で律儀に陣取っている。
対戦相手とは別々になってるらしい。そりゃそうか。
バンテ巻いたり早い番のやつなんかはグローブを確かめたりしている。
俺もバンテぐらい巻いておくかと思ったがそういやトレーナーをまだ見てない。
セコンドやってくれるって聞いてたが。
と思ったら後ろにいた。
「おう、お前まだ先だから他の試合見ててもいいぞ。
2試合前にはここに来い」
3分4ラウンドでインターバルが1分だから1試合16分。
あぁ、最後はインターバルないか。まあ判定やらなんやらもあるしな。
まあ、K.O無しで考えた場合だが。
おそらく2時間以上は待つことになりそうだ。
俺はフード付きの上着を着ると観客席に向かった。
これでフード被って猫背でいるとボクサーっぽいんだぜ?
おっさんの勝手なイメージだが。
足之丞って有名なボクシング漫画のせいかもな。
フード被ってたのは敵役の方だったか。
そんなことしなくても俺はもうボクサーなんだけどな。
俺が適当な席に着くとちょうど最初の試合が始まるようだ。
そう言えば生でボクシング見るのってなにげに初めてなんだよな。
テレビや流れてきた動画なんかではたまに見るが。その程度だ。
ゴングがなる。
意外と静かだ。いや、グローブ同士がぶつかる音、身体に当たったときの地味な鈍い音。
俺はここ最近で散々聞いたが、初めてだったら結構引いてたかもしれん。
テレビで見てりゃあ、実況や解説が喋り続け、いいのが決まれば満員の観客も騒ぐ。
今まで見てきたのはそんなエンターテイメントだ。
やってる本人たちは真剣に、本気で戦ってるんだろうが、テレビとなるとどうしてもエンタメ感が求められる。
そう演出される。
しかしここにあるのは、若い、熱量のある、気迫のこもった、闘志のぶつかり合いのみ。
技術やフィジカルはまだまだかもしれないが、それでもここまで来れるだけの才能と努力を積み重ねた奴らの削り合う音。
プロ野球では感じられない、高校野球にしかない、ワンプレーワンプレーにこもる気迫のように。
ここにも、ここにしかない、ここでしか感じられない熱があった。
――――
作者のモチベーションになりますのでいいね、お気に入り登録、感想など、よろしくお願いします。
いいね1回だけ、いいね1回だけでいいからっ。
有名なうんたら園ホールでやるわけではないらしい。
到着したときは、え?ここ?って感じの普通のビルだった。
4回戦のペーペーがそんな有名なところで試合なんてできないよなと思って納得したんだが、別にうんたら園ホールでも普通にやってるらしい。
まあタイミングなんだろう。
ちなみに4回戦ってのは4ラウンドまでの試合しかできないってことだ。
実績積んでラウンド数が増えていくんだとか。
最初聞いたときはデビュー戦なのにもう4回戦目?なんて思って混乱したもんだ。
それでも今日デビュー戦同士の試合がいくつかくまれており、そういうイベントではあるらしい。
俺は8試合目。
ちなみに計量は昨日済ませてパスしている。
『健康』スキルのせいで体重減らせませんなんてことはなかった。
まあ元々無理のない階級にしてもらってはいたが。
そして「〇〇kgの俺に『変身』する」なんてズルもしていない。
身体能力が既にチートなんだからその辺でちょこちょこズルしてもな。
そして驚いたことに、計量時にボクシング系の雑誌やネットのスポーツニュースみたいなところからの取材なんかもあった。
一緒にリュウも受かってたから結構プロになるんだな~くらいに思ってたが、ジムとしては結構な事件らしい。
それが2人も同時期にってことで、そこそこ有名だったウチのジムは俺が思うより注目されているみたいだ。
ボクサーポーズで写真を撮られたりもした。
経歴や動機なんかも聞かれたが、ほぼほぼ不登校の中卒で、暇つぶしの体力づくりみたいに言ったらなんか困っていた。
どう書かれるんだろうな~とも思ったが、今まで生きてきてプロデビューするボクサーのインタビュー記事など、流れてきたこともないので大した注目も浴びないだろう。
そうして今日を迎えたわけだが。
チケットは5枚ほどもらったが別に売ってこなきゃいかんノルマとかってわけではなかった。
家族や友人、彼女でも呼んでやれってことなんだろうが。
好きでやってる本人はともかく、見る方は心配でたまらんと思うがね。
特に彼女やおふくろさんなんかは。
見ると誰かのご両親と親戚、彼女とその友人みたいなのがチラホラと居る。
旦那や友人の手を取って、祈るような面持ちだ。
俺はこんなふうに見守られてる誰かをぶん殴らなきゃならんのか。
いや、この言い方はよくないか。
ボクシングは格闘技であり、スポーツであり、競技だからな。
まあ別に気にしないが。
そんな俺はAIに1枚、ミヤマヤに1枚ずつ渡している。
ミヤマヤに渡すかどうかは迷ったが、どうせ負けることはないし、2人もジム通いだし、リュウをボコボコにした俺を見て声を掛けてきたくらいだから暴力と格闘技の区別は出来てるんだろうしな。
さすがに顔面ボコボコ流血失神K.Oエンドは選べなくなったが。
もちろん相手を、だ。
大体の時間は伝えてあるが、8試合目だからな。K.Oの有無でどうなるかわからんと言ったが流石にまだ来ていないようだ
他にはボクシングファンっぽいヒトなど、身内だけじゃない観客も結構入っている。
もうちょっと増えるんだとすれば結構な入りなんじゃなかろうか。
そんな会場の雰囲気をちらっと感じつつ、俺は控室に向かった。
個室ってわけじゃないが広い部屋をざっくり6等分したぐらいのスペースが与えられていた。
と言っても壁から2メートル程の衝立があるくらいで、中央はフリースペースと言っていい。
それでもみんな衝立の延長内で律儀に陣取っている。
対戦相手とは別々になってるらしい。そりゃそうか。
バンテ巻いたり早い番のやつなんかはグローブを確かめたりしている。
俺もバンテぐらい巻いておくかと思ったがそういやトレーナーをまだ見てない。
セコンドやってくれるって聞いてたが。
と思ったら後ろにいた。
「おう、お前まだ先だから他の試合見ててもいいぞ。
2試合前にはここに来い」
3分4ラウンドでインターバルが1分だから1試合16分。
あぁ、最後はインターバルないか。まあ判定やらなんやらもあるしな。
まあ、K.O無しで考えた場合だが。
おそらく2時間以上は待つことになりそうだ。
俺はフード付きの上着を着ると観客席に向かった。
これでフード被って猫背でいるとボクサーっぽいんだぜ?
おっさんの勝手なイメージだが。
足之丞って有名なボクシング漫画のせいかもな。
フード被ってたのは敵役の方だったか。
そんなことしなくても俺はもうボクサーなんだけどな。
俺が適当な席に着くとちょうど最初の試合が始まるようだ。
そう言えば生でボクシング見るのってなにげに初めてなんだよな。
テレビや流れてきた動画なんかではたまに見るが。その程度だ。
ゴングがなる。
意外と静かだ。いや、グローブ同士がぶつかる音、身体に当たったときの地味な鈍い音。
俺はここ最近で散々聞いたが、初めてだったら結構引いてたかもしれん。
テレビで見てりゃあ、実況や解説が喋り続け、いいのが決まれば満員の観客も騒ぐ。
今まで見てきたのはそんなエンターテイメントだ。
やってる本人たちは真剣に、本気で戦ってるんだろうが、テレビとなるとどうしてもエンタメ感が求められる。
そう演出される。
しかしここにあるのは、若い、熱量のある、気迫のこもった、闘志のぶつかり合いのみ。
技術やフィジカルはまだまだかもしれないが、それでもここまで来れるだけの才能と努力を積み重ねた奴らの削り合う音。
プロ野球では感じられない、高校野球にしかない、ワンプレーワンプレーにこもる気迫のように。
ここにも、ここにしかない、ここでしか感じられない熱があった。
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