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第82話 おっさん、言いたい
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俺のプロボクサーデビュー戦。第一ラウンド。
そのゴングが鳴る。
こっちから行くまでもなく、相手がものすごい勢いでやってくる。
最初のラウンド、両者のグータッチみたいなアレはやらんのかなーと思いつつ俺は拳を突き出す。
あ、やるんだ。
条件反射かも知れんが、意外と冷静なのか。
来るときの勢いはすごかったが、大振りのストレートを放ってくるなんてことはなく、ふつーにジャブから入ってきた。
やはりそこまで冷静さを失ってはいないな。
ライオの評価を改めつつ、俺も応戦する。
流石にここまで来てるだけのことはあるようだ。
俺が最初にリュウをボコした時を思い出す。
今はリュウもプロだが、当時は初心者に毛が生えたぐらいだったからな。
さすがにそれと一緒にしちゃあ悪いんだろうが、実際俺の身体能力からしたら大して変わらない。
そして俺の洞察、じゃあないが、視界から得た情報はどんどん高速演算で処理され彼の癖を、動きを把握していく。
彼の攻撃は俺には当たらない。
傍から見ると俺の防戦一方な状況だ。
パンチを繰り出しているのはライオのほうが圧倒的、なんなら猛攻まである。
俺は必死にかわしているだけ。
外野は、特に彼の友人連中は盛り上がっている。
ライオの斜め後ろくらいに彼らが見える位置取りの時に一瞬だけそっちに目をやると、そのうちの一人と目が合った気がする。
やはりそうだ。
指を立ててこっちに向け、ベロを出して挑発してくる。
うん、そんな奴いたなあ。いつかのマラソン大会で。誰だったかなあ。
勝手な偏見入りまくりなステレオタイプなヤンキーイメージでやった記憶あるが、ガチでやるやついるんだね。
おっとあぶない。
気を逸らしてる間もライオの攻撃は続く。
しかしタフだね。
全力の攻撃すかされ続けてんのにまだまだ動きにもパンチにもキレがある。
まだ1ラウンドってのもあるが、ウチらのような重い階級でこれはまあまあ凄いんじゃないかな。
それでも残り30秒ってところでヒュッと大きく息を吸い、攻撃のリズムに一瞬の間があった。
そこにすかさずジャブを打ち込むと2発ほどきれいに入った。
しかしダメージはほとんど入ってないだろう。
リュウの時みたいなことをしているわけだが、今回はもうちょっと器用君に頑張ってもらっている。
言ってしまえばただの寸止めである。
前よりももちょっとテクニックを使い、当たった、いや触れた瞬間に止め、少し押して引く。
そもそもボクシングというか打撃全般、出したまま止めるなんてことは実戦の中ではない。
出したら引くのだ。
ボクシングのジャブはその最たるものだと思う。
ジャブのスピードそのままに触れるまではいってるから多少ライオに衝撃はあるだろうが。
まあその程度だ。
何度かジャブを打ち込むうちに、ライオはニヤリとする。
「軽いジャブだな、効かねぇぞ」
試合中に話していいんだっけ?
のってやるか。
バカな!?
という顔を一瞬しておく。
「は?ハッタリかよ、だる」
「へっ、すぐわかるぜ」
それは君だと言いたいが。
そんな全力疾走でどこまでいけると思うのか。
たった3分は、格闘技のたった3分は長いぞ。
知ってるはずだが。
結局ライオは俺に1発も有効打を当てられず、俺は数発のジャブを当てたところで1ラウンド終了のゴングが鳴った。
表情はまだ余裕はありそうだが、すでに肩を上下させている。
その余裕はダメージが無い故か。
対する俺は呼吸も乱さず、当然ダメージもない。
切れると分かった『健康』スキルさんには酸欠状態を含め、疲労や怪我の回復はしないでもらっている。
万が一の裂傷や内出血など、目に見える怪我がその場で治ってしまっては不味いからだ。
それでも余裕なのはレベルアップのせいでチートな体力おかげではあるが。
自コーナーに戻りトレーナーと目が合う。
なんかジト目だ。
「本気でやってやるのも礼儀だぞ。なんの因縁があったのか知らんが」
言いながらストローとバケツを出してくれる。
「・・・本気っすよ」
まあ散々俺のパンチをミットで受けてるトレーナーだからな。
わかるか。
「まあ魅せる試合すんのもプロの仕事だがな。それも勝ってこそだ」
汗を拭かれて、ワセリンやらなんやら色々される。
「そんな余裕ないですよ。
彼の一撃はもらったらどうなるか分かんないっす」
実際俺は避けるの上手いからな。
スパーでもミット打ちの時のミットでの反撃もことごとく避けてしまっている。
俺の打たれ強さがどの程度なのかはしらんだろう。
これもたぶん体力のおかげで強いんだろうが。
そんなに試してないんだよな。実際、痛いもんは痛いし。治るってだけで。しかも今はスキル切ってるし。
まあ、当たらなければどうという事はない。
うん、死ぬまでに言ってみたかったセリフだ。思っただけだが。
待てよ、今日言えるんじゃないか?
ガタイのいい彼の繰り出すパンチは実際脅威だ。
よし、今日の目標に入れておこう。
そろそろインターバルも終わるので立ち上がる。
「・・・真面目にやってやれよ」
やってるっての。
――――
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いいね1回だけ、いいね1回だけでいいからっ。
そのゴングが鳴る。
こっちから行くまでもなく、相手がものすごい勢いでやってくる。
最初のラウンド、両者のグータッチみたいなアレはやらんのかなーと思いつつ俺は拳を突き出す。
あ、やるんだ。
条件反射かも知れんが、意外と冷静なのか。
来るときの勢いはすごかったが、大振りのストレートを放ってくるなんてことはなく、ふつーにジャブから入ってきた。
やはりそこまで冷静さを失ってはいないな。
ライオの評価を改めつつ、俺も応戦する。
流石にここまで来てるだけのことはあるようだ。
俺が最初にリュウをボコした時を思い出す。
今はリュウもプロだが、当時は初心者に毛が生えたぐらいだったからな。
さすがにそれと一緒にしちゃあ悪いんだろうが、実際俺の身体能力からしたら大して変わらない。
そして俺の洞察、じゃあないが、視界から得た情報はどんどん高速演算で処理され彼の癖を、動きを把握していく。
彼の攻撃は俺には当たらない。
傍から見ると俺の防戦一方な状況だ。
パンチを繰り出しているのはライオのほうが圧倒的、なんなら猛攻まである。
俺は必死にかわしているだけ。
外野は、特に彼の友人連中は盛り上がっている。
ライオの斜め後ろくらいに彼らが見える位置取りの時に一瞬だけそっちに目をやると、そのうちの一人と目が合った気がする。
やはりそうだ。
指を立ててこっちに向け、ベロを出して挑発してくる。
うん、そんな奴いたなあ。いつかのマラソン大会で。誰だったかなあ。
勝手な偏見入りまくりなステレオタイプなヤンキーイメージでやった記憶あるが、ガチでやるやついるんだね。
おっとあぶない。
気を逸らしてる間もライオの攻撃は続く。
しかしタフだね。
全力の攻撃すかされ続けてんのにまだまだ動きにもパンチにもキレがある。
まだ1ラウンドってのもあるが、ウチらのような重い階級でこれはまあまあ凄いんじゃないかな。
それでも残り30秒ってところでヒュッと大きく息を吸い、攻撃のリズムに一瞬の間があった。
そこにすかさずジャブを打ち込むと2発ほどきれいに入った。
しかしダメージはほとんど入ってないだろう。
リュウの時みたいなことをしているわけだが、今回はもうちょっと器用君に頑張ってもらっている。
言ってしまえばただの寸止めである。
前よりももちょっとテクニックを使い、当たった、いや触れた瞬間に止め、少し押して引く。
そもそもボクシングというか打撃全般、出したまま止めるなんてことは実戦の中ではない。
出したら引くのだ。
ボクシングのジャブはその最たるものだと思う。
ジャブのスピードそのままに触れるまではいってるから多少ライオに衝撃はあるだろうが。
まあその程度だ。
何度かジャブを打ち込むうちに、ライオはニヤリとする。
「軽いジャブだな、効かねぇぞ」
試合中に話していいんだっけ?
のってやるか。
バカな!?
という顔を一瞬しておく。
「は?ハッタリかよ、だる」
「へっ、すぐわかるぜ」
それは君だと言いたいが。
そんな全力疾走でどこまでいけると思うのか。
たった3分は、格闘技のたった3分は長いぞ。
知ってるはずだが。
結局ライオは俺に1発も有効打を当てられず、俺は数発のジャブを当てたところで1ラウンド終了のゴングが鳴った。
表情はまだ余裕はありそうだが、すでに肩を上下させている。
その余裕はダメージが無い故か。
対する俺は呼吸も乱さず、当然ダメージもない。
切れると分かった『健康』スキルさんには酸欠状態を含め、疲労や怪我の回復はしないでもらっている。
万が一の裂傷や内出血など、目に見える怪我がその場で治ってしまっては不味いからだ。
それでも余裕なのはレベルアップのせいでチートな体力おかげではあるが。
自コーナーに戻りトレーナーと目が合う。
なんかジト目だ。
「本気でやってやるのも礼儀だぞ。なんの因縁があったのか知らんが」
言いながらストローとバケツを出してくれる。
「・・・本気っすよ」
まあ散々俺のパンチをミットで受けてるトレーナーだからな。
わかるか。
「まあ魅せる試合すんのもプロの仕事だがな。それも勝ってこそだ」
汗を拭かれて、ワセリンやらなんやら色々される。
「そんな余裕ないですよ。
彼の一撃はもらったらどうなるか分かんないっす」
実際俺は避けるの上手いからな。
スパーでもミット打ちの時のミットでの反撃もことごとく避けてしまっている。
俺の打たれ強さがどの程度なのかはしらんだろう。
これもたぶん体力のおかげで強いんだろうが。
そんなに試してないんだよな。実際、痛いもんは痛いし。治るってだけで。しかも今はスキル切ってるし。
まあ、当たらなければどうという事はない。
うん、死ぬまでに言ってみたかったセリフだ。思っただけだが。
待てよ、今日言えるんじゃないか?
ガタイのいい彼の繰り出すパンチは実際脅威だ。
よし、今日の目標に入れておこう。
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