あるテイマーの物語

ノノン

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別荘

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 アルバート領にクレベール伯爵家の別荘が建てられた。

 話は二ヶ月前にあった。
 クレベール家の当主であるトーレス・クレベールさんが直々に屋敷へ訪問。
 父さんとの交渉が行われ、土地の一部を貸し出すことになったのである。

 その別荘が先日完成したらしい。
 お披露目を兼ねてと思われる食事会のお誘いがやって来た。

「ここがクレベール家の別荘か……」

 父さんが別荘を見上げる。
 家より大きい建物だ。

「ロム殿、よく参られた」

 赤髪で中肉の男性が出迎える。
 この人がトーレス・クレベールさんだ。
 まるで歴戦の戦士みたいな風貌をしている。

「ほ、本日はお招き頂きありがとうございます」

 緊張しながら父さんが挨拶をする。

「こ、こちら妻のエリーゼです」

「エリーゼです。お招きありがとうございます」

 母さんはいつも通りだ。

「それから子供たちです」

「エルディオ・アルバートと申します」

「アルト・アルバートです!」

「レナ・アルバートです!」

 最後に僕と弟たちが挨拶をした。

「うむ、よく来てくれた。こっちは俺の娘だ」

「リーシェ・クレベールです。今後ともよろしくお願い致します」

 トーレスさんの隣にいる赤いドレスを纏った女の子が挨拶をした。
 聖女の才能を開花させた子だ。
 よく覚えている。

「……ところで、今日は白い狼を連れて来なかったのかな?」

 白い狼……シラユキのことだ。
 屋敷に来た時に見掛けたのだろう。

「娘が会うのを楽しみにしていたのだが……」

 確かにそうらしい。
 リーシェさんがショボンとしていた。

「呼び出しても良いですか?」

「呼び出せるのか?」

「はい」

「なら、お願いしよう」

 トーレスさんに許可を貰ってから、シラユキを召喚した。

「これが本物の……」

 シラユキが現れたことで表情がパーッと明るくなるリーシェさん。
 その表情に少しドキッとしてしまった。

「さ、触ってもよろしいでしょうか?」

「シラユキ、良い?」

 シラユキはコクリと頷く。

「良いそうです」

「で、では……」

 リーシェさんはシラユキに近づいて頭を撫でる。
 数秒後、リーシェさんは満足したようだ。

「久しぶりに娘の喜ぶところを見た。感謝するぞ」

 トーレスが僕の方を見て礼を言う。
 それに対して僕は会釈で応えた。
 
 その後、食堂にて食事会が行われる。
 家の使用人たちが作った料理も美味しいが、ここで出た料理もとても美味しかった。

 リーシェさんはシラユキをとても気に入ったらしい。
 食事を終えた後、シラユキに抱き付いていた。

 僕は父さんとトーレスさんの話をちょっと盗み聞きする。
 今後とも良いお付き合いを願うそうだ。
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