私との婚約は、選択ミスだったらしい

柚木ゆず

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リナス編 ???

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「くそ……っ。アイツらめ……っ。平民生まれのくせに……っ! 生意気だ……っっ!!」

 とある子爵家の不祥事が発覚してから、春夏秋冬が十数回繰り返されたある日。独りの男性が、茜色に染まるを見上げながら歯がみをしていました。
 ぼさぼさの髪と覇気のない顔が特徴の、三十代後半~四十代前半に見える――実年齢よりも老けて見える、三十四歳の男性。そんな彼の名は、ケヴィン。かつてはランドル侯爵家の次期当主だったものの、曰く選択ミスによって全てを失ってしまった人間でした。

「偉そうにあれこれ言いやがって……!! どうして俺がアイツら如きに、そこまで言われなくちゃならないんだ……!!」

 その理由。それは、ケヴィンの行動と態度にありました。

 ――俺は一生懸命やってるんだ! 少しのミスくらい許せよ――。

 ――俺と違って、生まれた時から底辺のくせに――。

 ――お前らなんかと一緒にするな――。

 などなど。口にこそしてはいませんが、彼の言動にはそういった内心が表れていました。そのため自業自得で、周りからの態度も厳しいものとなっていたのです。

「ぁあっ!! 思い出しただけで腹が立つ……!! ………………給料が出たことだ。今日は、久しぶりに呑んでやる……!!」

 今は唯一の楽しみである、月に一度のイベント・酒場で呑む。給料日だけに許された『贅沢』を行うべく酒場を訪れ、一番安いビールと枝豆――コストパフォーマンスが最もよいおつまみをオーダーし、ゴクゴクと呑んでバクバクと食べます。

「おいっ、ウェーター! ビールと枝豆のおかわりをくれ! 早くしろよっ!」

 店員を怒鳴りつけて――強く出られない相手に八つ当たりをして、再びゴクゴク、バクバク。そうして2杯目を呑み終え、3杯目を注文しようと――した、その時でした。


「こんばんは。お兄さんのお隣、構いませんか?」


 露出度の高い服を着た女性が声をかけてきて、ケヴィンへと色っぽく微笑んだのでした。

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