愛さえあれば他には何も要らない? 貴方の新しい婚約者は、そう思ってはいないみたいですよ?

柚木ゆず

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番外編 やりすぎてしまった男 俯瞰視点(1)

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「はあ。今度の女は、4年ももたなかったか。劣化が予想以上に早かったな」

 リリアンが追い出されてから、7年後。相変わらず豪奢一色な室内で、部屋の主・マルクは嘆息していました。
 たった今、2つ離れた国の伯爵令嬢ミリアが――計4人目となる妻が、ここリッカズス侯爵邸を追放されてしまいました。そのためマルクは不機嫌に息を吐き、ワインを一杯飲んだ後、特注のイスから立ち上がりました。

「リュック、今日の夜会に急遽参加することにした。準備を行っておけ」

 彼は、自己中心的かつ性欲の塊。新たな相手を物色するため、パーティーに顔を出すと決めたのでした。

「ああ、それとリュック。工作もしっかりと行っておけよ?」
「はっ。承知いたしました」

 定期的に関係を絶つのは、すべて妻となる女の責任。マルク・リッカズスは毎回『今度こそは』と女性を信じ、あらゆる形で裏切られてしまう可哀想な侯爵。

 彼は毎度そういった噂を流していて、今回の原因は『使用人への暴力』。初めて理由とするものなため『失敗するなよ』と念押しを行い、やがてパーティーに向けて着替えを始めました。


「今度は、そうだな。胸の大きな女にするか」

「そういえば、最近見かけた――ドリニック子爵家の、アンナという女。アイツは確か、なかなかのものを持っていたな。顔も上々だし、そいつを狙ってもいいかもな」


 マルクは相変わらず身勝手で下劣な独り言を零し、準備が整ったのでお屋敷を出ます。そうして自慢の馬車へ――馬車へと、乗り込む直前のことでした。
 突然同じく自慢である門の前に、大きな――マルクのものよりも一回り大きな馬車が、停まったのでした。

「ん? あれは………………フェリアック公爵家のもの。ライニック様の馬車だな」

 筆頭公爵家フェリアック家の当主、ライニック。2人は学院時代にクラスメイトだったためお互いを知ってはいますが、私的な交流はありませんでした。

((会談などの予定は、なかったはずだぞ……? なんなんだ……?))

 相手は格上なため乗車を止めて通行の許可を出し、敷地内で止まった馬車へと歩み寄ります。そしてマルクは、降りてきた公爵ライニックに挨拶を行って――
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