わたしがお屋敷を去った結果

柚木ゆず

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番外編その2エメリック&エリサ編 転機 俯瞰視点

「お前達、ご主人様が戻ったぞ。餌が欲しければオレを楽しませてみせろ」
「お帰りなさいませご主人様!! 承知いたしました!!」
「お帰りなさいませご主人様!! 仰せのままに!!」

 ルーヴァンのお屋敷に、ペット・・・が運ばれてきてから5年後。

「わんわん! わぉーん! くぅぅぅぅん~!」
「くぅぅぅ~ん! わぉん♪ はっはっはっはっは♪」

 エメリックとエリサは今日も全力で、『お帰りなさい』の一芸を披露していました。心の中では、怒りの炎を激しく燃やしながら。

((死んでしまえ……!! 地獄に落ちろ……!!))
((平民のクセに……!! 誰よりも苦しんで死になさい……!!))

 2人の心の中は殺意で満ちていて、心の中ではあらゆる方法でルーヴァンを殺害しています。ですが少しでも逆らう素振りを見せると食事なしとなってしまうため、歯を食いしばりながら媚びの笑顔を振りまきます。

「ご主人様、いかがでしたでしょうか?」
「一日のお疲れを癒すことができたでしょうか?」
「……………………」
「「ご、ごしゅじん、さま……?」」
「今日の芸はそれなりの面白さはあったものの、新鮮味は薄い。故に50点と言ったところか」

 腕組みをしていたルーヴァンは「はぁ」とため息を吐き、パンパンと手を叩きます。そうすると使用人達が現れ、2人が入れられている檻の鍵を開けた後、その檻の前に設置されている大きなテーブルの上に豪華な食事を並べました。

「………………旦那様。お毒見終了、異常なしでございます」
「下がっていいぞ。……さて、エメリック、エリサ」
「「はっ、はい!」
「50では、合格点とはならん。不足分はご奉仕・・・で補え」
「「しょっ、承知いたしました!!」」

 50点と言われて青ざめていた2人は恭しく檻から出ると、テーブルの前でテーブルに対して垂直になる形で四つん這いとなりました。

「「お待たせいたしました!」」
「うむ。……よっこらせっと!」

 満足げに頷いたルーヴァンは目の前にある2つの背中の間にどっかりと腰を下ろし、エメリックとエリサを椅子にしてディナーを始めました。

「零落して5年経つとはいえ、貴族の血が流れているからなのだろうなぁ。いい座り心地だ」
「「さ、さようでございますか」」
「犬の真似をして椅子となる。この姿を当時の領民達が見たらどう思うだろうなぁ。は~はっはっはっはっは!!」
((この野郎……!!))((こいつめ……!!))

 形は違えど365日屈辱に震える日々を過ごし、この先も続くことが確定してしまっているエメリックとエリサ。相も変わらず自業自得な毎日を送って2人、でしたが――。


 不意に、転機が訪れることとなるのでした。


 

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