私を捨てた元婚約者は、新しい恋人に飽きられてきたらしい

柚木ゆず

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挽回が不可能な理由 俯瞰視点

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「………………はぁ、困ったものだ。モリスとマクシムが、あんな人間だったとはな」

 共に食事を摂っていたモリスとマクシムが、去ってしまったあと――親友を失ってしまったあとのこと。シモンは2人がいた場所を交互に眺め、憐れみを込めたため息を吐いていました。

「友人の――他者の幸せを、祝福できないどころか妬む者。そんな輩は絶対に、成功なんてできない。……俺が『上』の景色を見れて、奴らが見れない理由。それは、こういった性質を含んでいたからだったんだな」

 事実を理解できないシモンは何度も2人を嘲り、こうして2人と会うことはなくなってしまいました。
 ですが彼は、現状を誰かに自慢したい。そのため、

『うん? なんだい、その態度は。俺をあまり怒らせない方がいいよ?』
『謝るなら、今のうちだ。あとで後悔しても知らないぞ?』
『なあ、君らは「上」の景色を見たことがあるかい? ない? ああ、それもそうか。君達と俺の間には、越えられない壁があるのだからね』

 などなど。2人と違って胸に秘めておいてはくれない・・・・・・・・・・・・・・・・・・・者達に、アレコレと言ってしまっていました。
 それによって――

「ねえ、あの写真と噂なのだけれど。勘違いだという意見もかなりあるようですが、貴方達はどう考えていますの?」
「メイダルン様と元貴族のシモンが付き合っていた、という話よね? わたくしは、事実だと思いますわ。婚約が解消となった原因は、間違いなく浮気が原因ですわよ」
「そう、ですの? どうして、そう言い切れますの?」
「その時期の、シモンの言動を知っているからですわ。あの人は突然態度が大きくなって、わたくし達を見下し始めましたのよ」
「それ、わたしも知ってます。『上の景色を見たことがあるかい?』、ですね? 上って、そういうこと、ですよね」

 ――こんなやり取りが様々な場所で行われてしまっており、火消しの意味はなし。シモンの言動を知る者がみるみる増えてゆき、メイダルン家の工作は失敗してしまったのでした。

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