8 / 41
第4話 デート、またの名を周囲への仲良しアピール エリック視点 (2)
しおりを挟む
「そ、そこ? そこは、リナが好むジャンルの店じゃないよ? ミューズの方が、いいものを買えると思うよ?」
「実は前のものが壊れた時、この機会に違う系統にも挑戦してみようと思っていたんです。こちらの…………えっと、アクシーさんですね。素敵なものが外から見えたので、アクシーさんを覗いてみても構いませんか?」
ヤツは余程気に入ったらしく、目をキラキラさせている。
くそっ、そんなことを考えていやがったなんて……。計算外だ……っ。
「い、いやぁ、俺はあのままの方がいいと思うなぁ。君は綺麗さだけより、綺麗さの中に可愛さがあった方が映えるから」
「……。そう、でしょうか……?」
「そうそうっ、そうだよっ! ずっと見てきた俺が言うんだから、間違いないよ!」
リウとの大切な場所には絶対に別人と入りたくないし、中でどんなトラブルが発生するか分からない。頼むから、操り人形らしく操られてくれ!
「どうしても挑戦したいなら、もう少し変化の差が少ないお店がいいっ。あっちにある『ルナス』はいい具合に綺麗寄りで、そっちに行ってみよう!」
「…………変化が、少ない……。急にではなく、徐々に変化をつけていった方がいいんですかね……?」
「うんっ、その通り! そうなんだよ!」
今日はルナスで適当に買い物をして、後日別の街でラグジュアリー系を扱う店に入ろうっ! それが、お互いにとって幸せな選択だ!
「何事も、順序が大切。緩やかに描いていくべきだよっ」
「…………。仰る通り、ですね」
「俺の言葉を聞き入れてくれて、嬉しいよ。さあさあ! 二人で一緒に、ルナスに――」
「でも、やっぱりアクシーさんが気になります。ルナスさんの前に、お邪魔してみますね」
傾きかけていたものの考えが戻り、ヤツはペコっと頭を下げて店の扉を開けてしまった。
っっっ! 操り人形のくせに……っっ。肝心なところで意思を持ちやがった……!
「エリックさん? 立ち止まって、どうされたのですか?」
「ぁー……。これは……。その……」
『??? お店の前で止まってるのって、ミオファ様とサーハル様よね?』
『ええ、そうみたいね。……何かあったのかしら?』
「エリックさん? どうかなさいましたか?」
「いっ、いやっ、なんでもない! 入ろうっ!」
リウは申し訳ないが、ここに留まるのは不自然だ! 精一杯平静を装い、ピャノの――ごほん。ピアノの生演奏が流れる店内に、足を踏み入れたのだった。
……落ち着け、俺。落ち着くんだ、俺。
落ち着いて対処すれば、問題なくやり過ごせるはずだ……っ。
「実は前のものが壊れた時、この機会に違う系統にも挑戦してみようと思っていたんです。こちらの…………えっと、アクシーさんですね。素敵なものが外から見えたので、アクシーさんを覗いてみても構いませんか?」
ヤツは余程気に入ったらしく、目をキラキラさせている。
くそっ、そんなことを考えていやがったなんて……。計算外だ……っ。
「い、いやぁ、俺はあのままの方がいいと思うなぁ。君は綺麗さだけより、綺麗さの中に可愛さがあった方が映えるから」
「……。そう、でしょうか……?」
「そうそうっ、そうだよっ! ずっと見てきた俺が言うんだから、間違いないよ!」
リウとの大切な場所には絶対に別人と入りたくないし、中でどんなトラブルが発生するか分からない。頼むから、操り人形らしく操られてくれ!
「どうしても挑戦したいなら、もう少し変化の差が少ないお店がいいっ。あっちにある『ルナス』はいい具合に綺麗寄りで、そっちに行ってみよう!」
「…………変化が、少ない……。急にではなく、徐々に変化をつけていった方がいいんですかね……?」
「うんっ、その通り! そうなんだよ!」
今日はルナスで適当に買い物をして、後日別の街でラグジュアリー系を扱う店に入ろうっ! それが、お互いにとって幸せな選択だ!
「何事も、順序が大切。緩やかに描いていくべきだよっ」
「…………。仰る通り、ですね」
「俺の言葉を聞き入れてくれて、嬉しいよ。さあさあ! 二人で一緒に、ルナスに――」
「でも、やっぱりアクシーさんが気になります。ルナスさんの前に、お邪魔してみますね」
傾きかけていたものの考えが戻り、ヤツはペコっと頭を下げて店の扉を開けてしまった。
っっっ! 操り人形のくせに……っっ。肝心なところで意思を持ちやがった……!
「エリックさん? 立ち止まって、どうされたのですか?」
「ぁー……。これは……。その……」
『??? お店の前で止まってるのって、ミオファ様とサーハル様よね?』
『ええ、そうみたいね。……何かあったのかしら?』
「エリックさん? どうかなさいましたか?」
「いっ、いやっ、なんでもない! 入ろうっ!」
リウは申し訳ないが、ここに留まるのは不自然だ! 精一杯平静を装い、ピャノの――ごほん。ピアノの生演奏が流れる店内に、足を踏み入れたのだった。
……落ち着け、俺。落ち着くんだ、俺。
落ち着いて対処すれば、問題なくやり過ごせるはずだ……っ。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
3,324
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる