9年ぶりに再会した幼馴染に「幸せに暮らしています」と伝えたら、突然怒り出しました

柚木ゆず

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第1話 再会 アリアン視点(1)

「アリアンよね? あの頃の面影があるもの! アリアンなのでしょう? わたくしが知っている、あのアリアンなのよねっ?」
「ええっ、そうですっ。わたしはアリアンですよっ! そういう貴方は、ソリ―ヌ、ですよねっ!?」
「ええ、そうですわ。やっぱりそうだった。アリアンだったのね!」

 品格を宿した、大人びた顔。その中にあるサファイヤのような切れ長の瞳と、左目の下にある泣きボクロ。前だけ癖のあるストロベリーブロンド。
 彼女が言ったように彼女自身にも当時の面影があり、すぐに気付きました。3人の男性――恐らくボディーガードの方々を連れた女性は、もう二度と会えないと思っていた幼馴染なのだと。

「今まで一回も見掛けたことがなかったのに。すごい偶然ですわね!」
「……まさか、また会えるなんて……。夢のようです。わたしっ、ずっとずっとソリ―ヌに会いたかったんですよっ!」


 ソリ―ヌとわたしは赤ん坊の頃に『ホライトール孤児院』の前に捨てられていた、所謂孤児。捨てられた時期がほぼ同じであり年齢も同じだったこともあり、わたし達はとても仲が良くいつも一緒にいました。
 でも9年前――わたし達が9歳になった頃に、突然お別れがやってきたんです。

『えっ!? ソリ―ヌが孤児院から巣立っていった!?』

 巣立ち――親が見つかり引き取られる。ソレ自体には、何も問題はありませんでした。だって他の子達もみんな、どんなに遅くとも16歳になるまでには孤児院を去っていたのですから。
 あの時わたしが驚いてしまったのは、何の前触れもなくわたしの前から消えてしまったから。
 通常巣立ちの際はお別れのパーティーを開き、その中で『誰に引き取られたか』『どこで暮らすのか』を院のみんなに伝え、希望者には連絡先を渡すようになっているのに……。そのどれもがなかったんです。

『……いつの、まに……』
『実は引き取りに関する面談が今日あって、すぐに引き取りが決まったのよ。その時に『今日にでも引き取れる準備はできている』と知るや、あの子が即日を強く希望してねぇ。あたしや引き取る方もパーティーを提案したのだけれど、すべて断ったのよ』
『そ、ソリ―ヌは……。どこに、いってしまったのですか……?』
『ごめんなさい、教えられないの。誰にも伝えないでとソリ―ヌが言っていてね、貴方にも伝えることはできないわ』

 今までずっと一緒にいた人が、突然いなくなった。会うこともできなくなった。
 あの日わたしは院長先生の胸に顔を埋め、涙が涸れるまで泣いてしまい……。以降ずっと――今もずっと、大事な幼馴染に会いたいと願い続けていたのです。


 

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