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第8話 気が付くと ロドルフ視点(2)
「カサンドラお姉様ではなくて、シーナ。呼び方が気になって仕方がないんですよね?」
((…………))
「全部明かしても、もう問題はありません。気になっている点は全て、お教えしますよ」
急に呼び方が変わったり、殺気を感じられたり……。なんなんだ、こいつは……。
「残念ですわ。シーナには気付いたのに、わたくしには気付いてくれませんのね?」
((???))
「……と言ってみても、やっぱり気付いてくれない。なら、あっちの名前を出したらどうかしら? わたくしはかつて、レーゾット・ラロランと呼ばれていましたのよ」
((レーゾット・ラロラン!?))
その名前は知っている!!
『じゃあ、そうだね。こっちも出してみるか。リンダース・サンドルエ、レーゾット・ラロランはどうかな?』
レーゾットは、前世でシーナと親友だった伯爵令嬢。以前シーナに説明したように、俺も面識のある女性だ……。
((アンジェルが、レーゾットの生まれ変わりだった……!? 初めて会った時は、前世と聞いて唖然となっていたのにか……!?))
「貴方様が『ルズサンド・ドーラトル』と『シーナ・ザノファー』の名前を出した時から頭痛が起き始め、次の日起きたら蘇っていましたの。レーゾット・ラロランだった頃の記憶がね」
((あの時、に……))
「気付いていただけたのですから、そっちも誤魔化すのはやめましょう。ロドルフ様――ううん、ルズサンド様。……お会いしとうございました……!」
((っ!?))
突然足もとに跪いたかと思ったら、ポロポロと大粒の涙を流し始めた。
「前世ではお伝え出来ませんでしたが……。わたくしはずっと、貴方様をお慕いしておりました。一目見た時から、心を奪われてしまっていたのです」
((そういえば、思い出した……。シーナに紹介された時、しばらく固まっていたのはそういうことだったんだ……))
恋をしていて、でもその想いが届かなくて――。更には事故によって、姿を見ることすらできなくなってしまった。
だから、ここまで泣いて――
「ですから、ひひひ。つい、本当に、つい。あんなこと、してしまったんですよぉ」
――!?
急に、目に狂気が宿った。
「だってぇ、出逢った頃にはもうルズサンド様とシーナは互いを意識していたじゃないですかぁ。わたくしが入り込める余地なんて、なかったじゃないですかぁ。最初から、負けが決まっていたじゃないですかぁ?」
((………………))
「ですからですからぁ、そうするしかなかったんですよぉ」
にたり。罪悪感と悦びが混ざった、異様な微笑みを浮かべながら――。
この女は、信じられないことを口にしたのだった。
「ルズサンド様。あの時は事故に見せかけて殺してしまい、申し訳ございませんでした」
((…………))
「全部明かしても、もう問題はありません。気になっている点は全て、お教えしますよ」
急に呼び方が変わったり、殺気を感じられたり……。なんなんだ、こいつは……。
「残念ですわ。シーナには気付いたのに、わたくしには気付いてくれませんのね?」
((???))
「……と言ってみても、やっぱり気付いてくれない。なら、あっちの名前を出したらどうかしら? わたくしはかつて、レーゾット・ラロランと呼ばれていましたのよ」
((レーゾット・ラロラン!?))
その名前は知っている!!
『じゃあ、そうだね。こっちも出してみるか。リンダース・サンドルエ、レーゾット・ラロランはどうかな?』
レーゾットは、前世でシーナと親友だった伯爵令嬢。以前シーナに説明したように、俺も面識のある女性だ……。
((アンジェルが、レーゾットの生まれ変わりだった……!? 初めて会った時は、前世と聞いて唖然となっていたのにか……!?))
「貴方様が『ルズサンド・ドーラトル』と『シーナ・ザノファー』の名前を出した時から頭痛が起き始め、次の日起きたら蘇っていましたの。レーゾット・ラロランだった頃の記憶がね」
((あの時、に……))
「気付いていただけたのですから、そっちも誤魔化すのはやめましょう。ロドルフ様――ううん、ルズサンド様。……お会いしとうございました……!」
((っ!?))
突然足もとに跪いたかと思ったら、ポロポロと大粒の涙を流し始めた。
「前世ではお伝え出来ませんでしたが……。わたくしはずっと、貴方様をお慕いしておりました。一目見た時から、心を奪われてしまっていたのです」
((そういえば、思い出した……。シーナに紹介された時、しばらく固まっていたのはそういうことだったんだ……))
恋をしていて、でもその想いが届かなくて――。更には事故によって、姿を見ることすらできなくなってしまった。
だから、ここまで泣いて――
「ですから、ひひひ。つい、本当に、つい。あんなこと、してしまったんですよぉ」
――!?
急に、目に狂気が宿った。
「だってぇ、出逢った頃にはもうルズサンド様とシーナは互いを意識していたじゃないですかぁ。わたくしが入り込める余地なんて、なかったじゃないですかぁ。最初から、負けが決まっていたじゃないですかぁ?」
((………………))
「ですからですからぁ、そうするしかなかったんですよぉ」
にたり。罪悪感と悦びが混ざった、異様な微笑みを浮かべながら――。
この女は、信じられないことを口にしたのだった。
「ルズサンド様。あの時は事故に見せかけて殺してしまい、申し訳ございませんでした」
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