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第2話 作戦開始初月~すべてのはじまり~ ニナ視点(1)
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「あれ? あたしの髪留めがない」
サンフェル家で暮らすようになってから、およそ7か月後の夜。いつものように眠る準備をしていたら、1個足りないことに気が付いた。
あたしの趣味の一つが可愛いリボン集めで、寝る前の日課がリボンを眺めるコト。実家から持ってきたケースには47個のリボンが入ってたんだけど、その中の一つ――お気入りの、ピンクのが見当たらない。
「夕方全部をリビングに持っていて、リュカに見せた。たぶん、その時に落っことしちゃったんだね」
最初はお姉ちゃんへの未練があったリュカも、今ではすっかりあたしの婚約者。毎日しっかりアプローチをした甲斐あって、見事相思相愛を勝ち取れてるっ。
だ・か・ら。
今日はリュカの提案でお互いの宝物を見せ合いっこするようになって、ケースを持っていってテーブルに広げたんだよね。
「あそこにしか持っていってないんだもん、ソレで決まり。リビングのどこかに落ちたままに――んん? 落ちたままになるはず、ないよね……?」
テーブルの下に落ちててもあたしかリュカが気が付くし、この家には使用人がいる。掃除の時なんかに気付いて、すぐにあたしのトコロに持ってくるよね。
「??? ??? ……………………ま、いっか。とりあえずリビングに行ってみよ」
お気に入りがないまま寝るなんて、できないもんね。ガウンを羽織って自分の部屋を出て、1階にあるリビングスペースに移動した。
「おや、ニナ君。どうしたんだい?」
「おじ様、こんばんは。こちらでリボンを見ませんでしたか?」
気晴らしにテーブルで書類のチェックをしていた、ヴィクトーおじ様。もうじき義父となる人にご挨拶をして、ちょこんと首を傾げる。
「ピンク色の、リボンなんです。ご存じありませんか?」
「いや、見ていないね。使用人にも聞いてみよう」
おじ様がパンパンと手を鳴らして呼び寄せてくれて、でもザンネン。見せ合いっこが終わったあと、ここには何もなかったみたい。
「ふむ、廊下にも何も落ちていなかったのか……。となると、ニナ君が使っている部屋にある可能性が高いな」
リボン入りのケースは、リビングと廊下しか通ってない。そこになかったら、そうなっちゃう。
「自分の傍にあった、よくある話だ。きっとそこにあるはずだよ」
「そうですね。ご迷惑をおかけしました」
ちょこんと膝を曲げてリビングを出て、パタパタと廊下を進む。
周りにもなかったと思うけど、あるとしたらそこだよね~――。いつの間にケースから出ちゃってたんだろ~――。
とか考えながら部屋に戻っていると、曲がり角からリュカとおば様の小さな話し声が聞こえてきた。多分物置部屋の前で、2人が小声で話しをしてるんだ。
『――――――』
『――――。リボン。――――』
「…………ぁ。今うっすらと、『リボン』って言ってるリュカの声が聞こえた。もしかしてリビングに落ちてて、リュカかおば様が拾ってくれてたのかな?」
でもそれなら、ボリュームを落とす必要はないよね。それに今チラッと聞こえた、『気持ちは分からなくもないけれど、早く返しなさい』ってのも気になる。
((…………何か、ありそう。盗み聞きしてみよ))
そこで、急遽進路を変更。足音と呼吸音を出来る限り殺し、曲がり角から顔を覗かせてみたのでした。
サンフェル家で暮らすようになってから、およそ7か月後の夜。いつものように眠る準備をしていたら、1個足りないことに気が付いた。
あたしの趣味の一つが可愛いリボン集めで、寝る前の日課がリボンを眺めるコト。実家から持ってきたケースには47個のリボンが入ってたんだけど、その中の一つ――お気入りの、ピンクのが見当たらない。
「夕方全部をリビングに持っていて、リュカに見せた。たぶん、その時に落っことしちゃったんだね」
最初はお姉ちゃんへの未練があったリュカも、今ではすっかりあたしの婚約者。毎日しっかりアプローチをした甲斐あって、見事相思相愛を勝ち取れてるっ。
だ・か・ら。
今日はリュカの提案でお互いの宝物を見せ合いっこするようになって、ケースを持っていってテーブルに広げたんだよね。
「あそこにしか持っていってないんだもん、ソレで決まり。リビングのどこかに落ちたままに――んん? 落ちたままになるはず、ないよね……?」
テーブルの下に落ちててもあたしかリュカが気が付くし、この家には使用人がいる。掃除の時なんかに気付いて、すぐにあたしのトコロに持ってくるよね。
「??? ??? ……………………ま、いっか。とりあえずリビングに行ってみよ」
お気に入りがないまま寝るなんて、できないもんね。ガウンを羽織って自分の部屋を出て、1階にあるリビングスペースに移動した。
「おや、ニナ君。どうしたんだい?」
「おじ様、こんばんは。こちらでリボンを見ませんでしたか?」
気晴らしにテーブルで書類のチェックをしていた、ヴィクトーおじ様。もうじき義父となる人にご挨拶をして、ちょこんと首を傾げる。
「ピンク色の、リボンなんです。ご存じありませんか?」
「いや、見ていないね。使用人にも聞いてみよう」
おじ様がパンパンと手を鳴らして呼び寄せてくれて、でもザンネン。見せ合いっこが終わったあと、ここには何もなかったみたい。
「ふむ、廊下にも何も落ちていなかったのか……。となると、ニナ君が使っている部屋にある可能性が高いな」
リボン入りのケースは、リビングと廊下しか通ってない。そこになかったら、そうなっちゃう。
「自分の傍にあった、よくある話だ。きっとそこにあるはずだよ」
「そうですね。ご迷惑をおかけしました」
ちょこんと膝を曲げてリビングを出て、パタパタと廊下を進む。
周りにもなかったと思うけど、あるとしたらそこだよね~――。いつの間にケースから出ちゃってたんだろ~――。
とか考えながら部屋に戻っていると、曲がり角からリュカとおば様の小さな話し声が聞こえてきた。多分物置部屋の前で、2人が小声で話しをしてるんだ。
『――――――』
『――――。リボン。――――』
「…………ぁ。今うっすらと、『リボン』って言ってるリュカの声が聞こえた。もしかしてリビングに落ちてて、リュカかおば様が拾ってくれてたのかな?」
でもそれなら、ボリュームを落とす必要はないよね。それに今チラッと聞こえた、『気持ちは分からなくもないけれど、早く返しなさい』ってのも気になる。
((…………何か、ありそう。盗み聞きしてみよ))
そこで、急遽進路を変更。足音と呼吸音を出来る限り殺し、曲がり角から顔を覗かせてみたのでした。
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