私から婚約者を奪った妹が、1年後に泣きついてきました

柚木ゆず

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第6話 作戦開始3か月目~釘を刺そうとしたら、逆効果だった~ ニナ視点(3)

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「ニナっ、何か困っている事はないかな? 何かあったら、なんでも遠慮なく俺に言ってね?」
「………………う、うん。ありがと……。今は、困ってることはなにもないかな。ははははははははは……」

 あれから5日後。自室でくつろいでいたあたしは、ノックをしてきたリュカに乾いた笑みを返していた。
 ……リュカ、気遣ってくれてありがとね。でもさ、リュカ? それさ、十数分前に口にしたばかりだよね……?

『ニナっ。俺に出来る事はないかい? なんでもするよっ!』

『ニナっ。俺達は婚約者だっ。もうじき夫婦になるんだっ。言いたい事はなんでも言ってねっ!』

『ニナっ。手伝って欲しいコトはない?』

『ニナっ。いま食べたいものはない?』

『ニナっ。喉は乾いてない? おいしくて新鮮なフルーツジュースを持って来ようか?』

『ニナっ。暑くない?』

『ニナっ。ゆうべは良い夢を見れたかな? もし怖い夢を見たのなら、俺に話してスッキリするといいよっ!』

 あの夜の翌日から、リュカはこんな調子。
 きっとあたしの想像以上に、『釘刺し』と『イタズラ』が効いちゃったみたい。隙あらば声をかけてくるようになっちゃったの……。

((ニナの、連呼……。気遣われるのは嬉しいけど……。これはやりすぎ……))

 こんなにも短いスパンで来られたら、流石に疲れる。
 まさか、気遣われて疲れるなんてね……。ビックリだよ……。

「ニナは、疲れているようだ。よかったら、マッサージをさせてもらってもいいかな?」
「う、ううん。これはね、休んでたら治ると思うんだ……。しばらく、独りにさせて……」
「そ、そう? 分かったよ。ごゆっくりどうぞ」

 …………ふぅ。やっと、落ち着ける。
 あたしは窓を開け放ってベッドで大の字になって、ゆっくりを目を瞑る。

「………………ぁ~。風が爽やかで気持ちいい……っ」

 夕方の空気と風をこんなにも愛しく感じたのは、生まれて初めて。
 清々しくて、ずっとこうしていられそう。自然の力を借りて、ゆっくりエネルギーを回復させよう。

「…………独りにさせてって、言ったばかり。リュカも、当分は来ない」

 耳と皮膚でも吹いてくる風を味わって、気が付くとあっという間に20分が経過していた。なので反対のうつ伏せになって、今度は違う形で自然を

「ニナっ、そろそろ何か困った事ができた? 俺にできる事はないかなっ?」

 違う形で自然を味わおうとしていたら、リュカがノックをしてきた!?
 うそっ!? あの人にとって『しばらく』は、たったの20分なの!?



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