私から婚約者を奪った妹が、1年後に泣きついてきました

柚木ゆず

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第11話 最終段階を終えて リュカ視点

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((………………よかった。第5段階も、成功したみたいだね))

 走り去ったニナを、密かに確認したあと。自分しかいないキッチンで、俺は安堵の息を吐いていた。
 彼女は包帯と水に溶かした粉末を見て血液だと思い込み、恐怖が限界を超えて実家へと逃げ帰る。予想していたよりも反応は大きかったものの、それは良い誤算。あの様子なら、『その後』も予想通りになるだろう。

((スアフ家に戻ったニナ・スアフは婚約解消を訴え、両親が彼女が溺愛しているため簡単に承諾。しかしながらこの件は政略結婚のため、代わりにルイーズが再び婚約者となる))

 これが、あの日浮かんだ作戦。
 その日は、今から1年前。この1年間は、本当に長かった。きつかった。


『まさかこんな近くに、更に魅力的な人が居ただなんて。全然気付かなかったよ』
『気付かせてくれて、ありがとうニナ。君と一緒に過ごせて、幸せだよ』


 作戦のためとはいえルイーズを裏切る言葉を口にしたり、好きでもない相手に愛の言葉を贈ったり。
 特に心へのダメージが大きく、だからなのだろうな。この1年は時の流れが遅く感じて、体感的には10年以上が過ぎ去った。

((特に第1段階を始めるまで仕込み前は、地獄のようだった……。でもそのたびにルイーズを思い出して、乗り切れた。ここまで来れた))

 最後に見た悲しい顔を、笑い顔にしたかった。彼女と過ごす日々は何よりも楽しく、光に満ちていて、何としても取り戻したかった。

 ――俺が走り続けられたのは、君のおかげ――。
 ありがとう、ルイーズ。ずっとごめんなさい、ルイーズ。

 心から最愛の人に感謝と謝罪を告げ、もう少し達成感に浸りたい――ところだけれど、そうもしてはいられない。
 こうしている間に馬車が発つ音が聞こえてきて、父さん達が騒ぎ始めた。

((まずは2人にヌイグルミや血液モドキを見せ、現状を把握させて……。そのあと、スアフ家に向かおう))

 表向きは『ニナに謝り、連れ戻すため』で、実態は『ルイーズと再会するため』。
 俺は1年越しの願いを叶えるべく動き出し、手短に両親へ説明をして出発。大切な人に真実を伝えるため、手帳と共にスアフ家への道を急いだのだった。


((ルイーズ、お待たせしました。今、話しに行かせてもらうね))










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