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第14話 迎え、と リシャール視点(2)
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「ミア―ネットさんのお墓を作らない? アリス、ご両親の手で」
とある提案。それは、弔いについて。
母と父、祖父母によって死体は焼却されている上に、両家からの脅迫によってお墓を作ることさえも許されなかった。
それらの真実を知った時、真っ先にそう思ったのだ。
「一般的な説によると、死の際に正しい手順を踏まなければ――きちんと弔わなければ、魂は天に昇れない。魂は彷徨い続ける、とされているよね?」
「はい……。そうですね……」
「もしそれが真実なのであれば、ミア―ネットさんの魂はどこかにあって……でも。血の繋がった者が心を込めて作ったものなら、その魂を呼び寄せることができる――ちゃんと、眠っていただけると思うんだ」
それは、俺の想像にすぎない。けれど、そうだと信じている。
「ミア―ネットさんには何も非はなくて、せめてこれからは、安らかな時間を過ごしていただきたい。どう、かな?」
「作りたい。わたしもそう思っています」
「我々もです」
「思っております」
アリス。アリスの祖父ローグ殿と祖母ミニアス殿も。
すぐさま頷いてくださった。
「決まりですね。費用はもちろん俺が出させていただきます。実を言いますとすでに準備を始めておりまして、明日には着工できるでしょう」
せめてもの償い。最高級の素材を――長く状態を保てるものを調達して、素人でも作れるように指南役としてその道のプロフェッショナルの手配もしておいた。
できるなら、俺自身もお手伝いをさせていただきたいが――。この身体には、忌々しい男と女と同じ血が流れている。
ローグ殿もミニアス殿もアリスも、ありがたいことに俺に暗い感情を抱いてはいない。それでもだ。
そんな人間は、直接関わるべきではない。絶対に。
「お好きな場所に作れるようになっておりまして、ご指定いただいたらそちらに必要なものを運ばせていただきます。希望の場所をお教えねがえますでしょうか?」
「なにからなにまで、痛み入ります……。場所といえば」
「ええあなた。あそこしかありませんね」
極僅かなやり取りで、この建物の裏にある花壇の傍に決まった。
一瞬で決まるのは、至極当然。そちらは、幼い頃からのミア―ネットさんのお気に入りの場所だそう。
「承知致しました。では、準備をさせていただきますね。わたくしは先ほど申し上げましたように、サポートに徹させていただきますので――」
「お兄様。もしよろしければ、お兄様も一緒にお墓を作ってはくださりませんか?」
話を閉めようとしていたら。アリスが身を乗り出した。
「お兄様は、ご自身の血を気にされているんですよね? それなら、わたしの中にも半分悪い血が入っています。……お兄様が居なければ『今』はなくて、3人ではなく4人で作ってこそだと思うです。ご迷惑でなければ、お力をお貸しください」
「その想いは、我々も同じでございます」
「貴方様は娘の恩人、血など関係ありません。よしければお手をお貸しください」
「……アリス、ローグ殿、ミニアス殿。…………それでは、参加させていただきます」
それは本望。全員にそう言っていただけるのなら断る理由がなく、こうして俺も加わらせていただくことになって――
とある提案。それは、弔いについて。
母と父、祖父母によって死体は焼却されている上に、両家からの脅迫によってお墓を作ることさえも許されなかった。
それらの真実を知った時、真っ先にそう思ったのだ。
「一般的な説によると、死の際に正しい手順を踏まなければ――きちんと弔わなければ、魂は天に昇れない。魂は彷徨い続ける、とされているよね?」
「はい……。そうですね……」
「もしそれが真実なのであれば、ミア―ネットさんの魂はどこかにあって……でも。血の繋がった者が心を込めて作ったものなら、その魂を呼び寄せることができる――ちゃんと、眠っていただけると思うんだ」
それは、俺の想像にすぎない。けれど、そうだと信じている。
「ミア―ネットさんには何も非はなくて、せめてこれからは、安らかな時間を過ごしていただきたい。どう、かな?」
「作りたい。わたしもそう思っています」
「我々もです」
「思っております」
アリス。アリスの祖父ローグ殿と祖母ミニアス殿も。
すぐさま頷いてくださった。
「決まりですね。費用はもちろん俺が出させていただきます。実を言いますとすでに準備を始めておりまして、明日には着工できるでしょう」
せめてもの償い。最高級の素材を――長く状態を保てるものを調達して、素人でも作れるように指南役としてその道のプロフェッショナルの手配もしておいた。
できるなら、俺自身もお手伝いをさせていただきたいが――。この身体には、忌々しい男と女と同じ血が流れている。
ローグ殿もミニアス殿もアリスも、ありがたいことに俺に暗い感情を抱いてはいない。それでもだ。
そんな人間は、直接関わるべきではない。絶対に。
「お好きな場所に作れるようになっておりまして、ご指定いただいたらそちらに必要なものを運ばせていただきます。希望の場所をお教えねがえますでしょうか?」
「なにからなにまで、痛み入ります……。場所といえば」
「ええあなた。あそこしかありませんね」
極僅かなやり取りで、この建物の裏にある花壇の傍に決まった。
一瞬で決まるのは、至極当然。そちらは、幼い頃からのミア―ネットさんのお気に入りの場所だそう。
「承知致しました。では、準備をさせていただきますね。わたくしは先ほど申し上げましたように、サポートに徹させていただきますので――」
「お兄様。もしよろしければ、お兄様も一緒にお墓を作ってはくださりませんか?」
話を閉めようとしていたら。アリスが身を乗り出した。
「お兄様は、ご自身の血を気にされているんですよね? それなら、わたしの中にも半分悪い血が入っています。……お兄様が居なければ『今』はなくて、3人ではなく4人で作ってこそだと思うです。ご迷惑でなければ、お力をお貸しください」
「その想いは、我々も同じでございます」
「貴方様は娘の恩人、血など関係ありません。よしければお手をお貸しください」
「……アリス、ローグ殿、ミニアス殿。…………それでは、参加させていただきます」
それは本望。全員にそう言っていただけるのなら断る理由がなく、こうして俺も加わらせていただくことになって――
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