初恋とラブレター

柚木ゆず

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第1話 はじまりの、朝 橋田遥視点(3)

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「うぇえっ!? 飯島君を好きにな――むぐ」
「もう! 声が大きい!」

 保健室に移動して、養護教諭の先生が部屋を出てすぐ。二人しかいないタイミングでこの気持ちを伝えたわたしは、大急ぎで梨々花の口を塞いだ。

「廊下に人がいたらどうするのっ。大変でしょっ」
「ぷはっ、ゴメンゴメン。そっかぁ。さっきのアレですね、遥さん?」
「……ん。そう」

『その様子なら、怪我はないみたいだね? 無事でよかったよ』

『ありがとう、平気だよ。朝練のあとで身体は温まっていたし、橋田さんは羽のように軽かったからね。どこも痛めていないよ』

『下から見てたら、たぶん眩暈が起きたんだよね? そっちはもう平気?』

 助けてくれたあとの、そんな言葉。
 その言葉を口にした時の、優しくて爽やかな表情。
 それらに、わたしの心は持って行かれちゃった、のです。

「……こんな風に、恋をすることなんてないと思ってた。こんなこと、あるんだね」
「そりゃああんなことがあって、しかもあんな風に言ってもらえたんだもん。納得だよ」

 梨々花は腕組みをしてコクコクと頷き、コクリと首を傾げた。

「んで、遥はどうするの? やっぱり告白、する?」
「うん、したい。でも、すぐはしないよ」

 そういうのは、助けてもらったお礼をちゃんとしたあと。
 まずは、んーと……。なにかお菓子を作って――手作りは食べにくいと思うから、市販のにしよう。クッキーとかを買ってお渡しして、その日以降だね。

「……急に告白とかされたら、迷惑だと思うけど……。どうしても、この気持ちを伝えさせてもらいたいんだ」
「いいと思うよ。成功経験者として応援するぜっ」
「ありがとう、梨々花。困ったことがあったら、アドバイスお願いね」

 梨々花は去年隣のクラスの男の子を好きになり、想いを伝えてお付き合いをしている。
 告白に関しては先輩で、何かあったら頼らせてもらおう。

「おっと、予鈴が鳴っちゃった。あたし行くよ」
「着いて来てくれてありがとうね。また」
「またあとで。のんびり寝ながら、お礼とか考えなー」
「ん、そうする」

 梨々花を見送ったわたしはベッドに入って目を瞑り、眠りながら考える――つもりだったのだけれど……。ドキドキしているせい、だと思う。全然眠れなくなってしまった。

「……仕方ないな。考えるだけじゃなくて、決めちゃおう」

 なのでどんなものをお渡しするかをベッドで決め、1時間くらい悩んで気になっていたお店のクッキーに決定。そうしているとやっと眠気が戻って来たため今度こそ睡眠を取って、

「あっ、お帰り~。もういいの?」
「4時間も寝ちゃったからね。もう大丈夫だよ」

 飯島くんが護ってくれたおかげで元気に残りの授業を受けることができて、2日後に――日曜日に、クッキーを買いに行くこともできたのでした。

「…………飯島くん。お礼、喜んでくれるといいな」

 翌日。購入したクッキーを大切に鞄に入れて、ドキドキしながら登校をして――




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