初恋とラブレター

柚木ゆず

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第4話 夢ではなくて、すべてが現実 橋田遥視点

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((…………夢、じゃないよね……?))

 大好きになった人からラブレターをもらう。奇跡みたいなことが起きているから、わたしは自分の頬を抓ってみる。

((いた!? ちゃんと痛い! すっごく痛かった! 夢じゃない! 現実だ!!))

 夢の中では痛みを感じないっていう。右頬を思い切り抓ってみたらものすごく痛かったから、夢の中じゃない!

((飯島くんからの、ラブレター……。ラブレターが……。ラブレターが――待って! ホントにラブレター!?))

 飯島くんは助けてくれた際に、あんなにも気遣ってくれていた。
 もしかして……。
 あのあとも痛む箇所はない? とかの、心配のお手紙、なのでは……?

((…………な、中を、見てみましょ……))

 飯島くんなら、あり得る。
 今度は別の意味で鼓動を早くしながら封筒を開け、中に入っていた清潔感のある便箋を取り出す。綺麗に折りたたまれていたソレを、ドキドキしながら開いて読んでみる。

((お願いします、ハズレてますように……! ええと――))

《実はずっと、あなたのことが好きでした》

 ………………。っっっ。っっっっ!!
 お手紙は、そんな文字から始まっていました!!

((やったっ、ちゃんとラブレターだった! そ、そうだよねっ! よくよく考えてみたらっ、そうじゃないとおかしいもん!))


『い、飯島くんおはようございます。ちょっといいですか――』
『うぁああああ!?』

 さっきあそこで声をかけた時、飯島くんは滅茶苦茶驚いてた。
 今覚えば、昇降口なんだからあんなにビックリするのはおかしい。
 あれは、こんなお手紙を――告白のお手紙をコッソリ入れた直後だったから、あんな風になってたんだ。

((好きでしたっ。好きでしただって! うわぁ……! 幸せ過ぎる……!!))

 ニヤニヤが止まんない。
 狭い個室じゃなかったら両手を広げてクルクル回りだしてるくらい、嬉しい。

((飯島くん、そうなんだぁ。全然気づかなかったよ))

 そんな雰囲気を感じたことは一回もなくって、カンペキ予想外だった。
 そっかぁ。そうなんだぁ~。

((金曜日から、片思いじゃなくって両想いになっちゃってたんだ。えへへ。えへへへへぇ))

 心も身体も、とろけそうになってるのが分かる。
 嬉しすぎて、嬉し死にしちゃいそう。

((飯島くん、実はわたしも、だよ。って、早くお伝えしたいな。えっと、いつお返事したらいいのかな?))

 こういうのって、大体『〇〇時に〇〇に来てください』って書いてるはず。
 きっと、この続きに――あったあった。

((応じてもらえるのなら、午後5時に体育館の裏に来てくださいってある。もちろん、応じさせてもらいますっ。飯島くん、絶対に行くからね――あれ? あ、あれ? これっ、て…………………………))

 うんうん頷いていたわたしの動きが止まり、心の身体も石のように固まってしまう。
 だって……。だって、最後に――


 橋本心愛さんへ


 ――そんな名前が、書かれていたんだから……。


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