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第3話 説明 俯瞰視点(1)
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「待たせてごめんよアマリア。あまりにも突飛な内容だったせいで、さっきは頭が真っ白になっていたんだ。もう落ち着いたから、ちゃんと説明をさせてもらうよ」
行きとは正反対の堂々とした足取りで戻ったカシアスは、まずは優雅に一笑。余裕をたっぷりと纏い、左手の指を3本立てました。
「ロニアック伯爵家のケビン、イリエイト伯爵家のダニエル、パロニアル伯爵家のテオドール。俺はあの日その3人と、定期的に行っている食事会を開いた。これは君も知っているよね?」
「いただいたお手紙に、そういった内容がありましたので。存じ上げております」
「そうだよね。……でね、ここから君が知らない内容。実を言うとあの夜、俺達は喧嘩をしてしまったんだよ」
お前は婚約して将来の安泰が約束されていて羨ましい、この先ずっと甘く楽な人生が約束されているなんて最高じゃないか。と全員から言われて、『安泰じゃない』『むしろここからが大変で、しっかりやらないと各所に迷惑がかかるから気合を入れていく』と返したんだ。けど3人に信じてもらえなくて、まあ……。『勝ち組の余裕だ』とかしつこく言われて俺もカッとなってしまい、つい怒鳴り返してしまった。酒が入っていたこともあってどんどんヒートアップして、あげく食事の途中で解散となったんだ――。
カシアスは伏し目がちで語り、「だから」と続けました。
「ケビンなのかダニエルなのか、テオドールなのか分からない。3人の誰かがその原因となった『婚約』を壊してやろうと考え、そんな嘘をばら撒いていたのだと思うんだよ」
「……………嘘…………」
「そう、嘘。友人が4人だけの時に聞いた話としておけば、信憑性は爆発的に増すからね。根も葉もない話でも『カシアスが言った』と思わせられると考え、やったんだと思う」
「アマリア嬢。その話は私も当日に聞いていて、かなり熱くなっていたそうなのだ。故にその話は、事実なのだと確信しておるのだよ」
という言葉やその説明こそが、嘘。
――カシアスの友人の性質をアマリアがよく知っているはずがなく、情報を収集しても深い部分までは把握できない――。
――個室で出た話なら、どうとでも操作できる――。
以上の2点を活かして、3人の誰かの捏造に仕立て上げる。
それが、父ジェスが閃いた作戦でした。
「どうせ言った言っていないといった風になるとは思うけど、さっきも言ったように俺はずっと君に敬意を抱いて来た。それはちゃんと伝わっているはずだ」
「……………………」
「だから、信じてください。お願いします」
心の中ではニヤリとしながら、真摯な目線を真っすぐ注ぐ。そうすると、そんな視線を受けたアマリアは――
「………………。マイナス1ですね」
ぽつりと――。カシアスとジェスが再び困惑し始めてしまうことを、呟いたのでした。
行きとは正反対の堂々とした足取りで戻ったカシアスは、まずは優雅に一笑。余裕をたっぷりと纏い、左手の指を3本立てました。
「ロニアック伯爵家のケビン、イリエイト伯爵家のダニエル、パロニアル伯爵家のテオドール。俺はあの日その3人と、定期的に行っている食事会を開いた。これは君も知っているよね?」
「いただいたお手紙に、そういった内容がありましたので。存じ上げております」
「そうだよね。……でね、ここから君が知らない内容。実を言うとあの夜、俺達は喧嘩をしてしまったんだよ」
お前は婚約して将来の安泰が約束されていて羨ましい、この先ずっと甘く楽な人生が約束されているなんて最高じゃないか。と全員から言われて、『安泰じゃない』『むしろここからが大変で、しっかりやらないと各所に迷惑がかかるから気合を入れていく』と返したんだ。けど3人に信じてもらえなくて、まあ……。『勝ち組の余裕だ』とかしつこく言われて俺もカッとなってしまい、つい怒鳴り返してしまった。酒が入っていたこともあってどんどんヒートアップして、あげく食事の途中で解散となったんだ――。
カシアスは伏し目がちで語り、「だから」と続けました。
「ケビンなのかダニエルなのか、テオドールなのか分からない。3人の誰かがその原因となった『婚約』を壊してやろうと考え、そんな嘘をばら撒いていたのだと思うんだよ」
「……………嘘…………」
「そう、嘘。友人が4人だけの時に聞いた話としておけば、信憑性は爆発的に増すからね。根も葉もない話でも『カシアスが言った』と思わせられると考え、やったんだと思う」
「アマリア嬢。その話は私も当日に聞いていて、かなり熱くなっていたそうなのだ。故にその話は、事実なのだと確信しておるのだよ」
という言葉やその説明こそが、嘘。
――カシアスの友人の性質をアマリアがよく知っているはずがなく、情報を収集しても深い部分までは把握できない――。
――個室で出た話なら、どうとでも操作できる――。
以上の2点を活かして、3人の誰かの捏造に仕立て上げる。
それが、父ジェスが閃いた作戦でした。
「どうせ言った言っていないといった風になるとは思うけど、さっきも言ったように俺はずっと君に敬意を抱いて来た。それはちゃんと伝わっているはずだ」
「……………………」
「だから、信じてください。お願いします」
心の中ではニヤリとしながら、真摯な目線を真っすぐ注ぐ。そうすると、そんな視線を受けたアマリアは――
「………………。マイナス1ですね」
ぽつりと――。カシアスとジェスが再び困惑し始めてしまうことを、呟いたのでした。
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