私のせいで婚約破棄ですか? 思い当たることがないのですが?

柚木ゆず

文字の大きさ
1 / 14

プロローグ 破棄

しおりを挟む
「リコ・フェリア。お前との婚約は破棄する」

 15歳~18歳の王族と貴族の子供が通う由緒正しき学び舎、『フォルマ』。その敷地の中央に位置する、広い集会場。
 そんな場所に定時集会への参加という形で集まっていた全生徒の前で、登壇した生徒会長は開口一番こう告げました。

「本来ならばこのような形で明かすべきではないのだが、これが皆(みな)に最も速く認知してもらえる方法。そこで今回特別に時間を設け、伝えさせてもらった」

『こっ、婚約破棄っ!?』
『う、うそ……っ。うそ……!?』
『信じられ、ません……。アルベール王太子様とフェリアさんの間に、何があったのでしょう……!?』

 生徒会長ことこの国の王太子アルベール・スティア様が口を閉じる否や、周りがざわつき私に視線が注がれます。
 はい。私が話題に上がった、リコ・フェリア。『フェリア家』という所謂下級貴族の一人娘を務めている、17歳の女の子です。
 私は3か月前に開かれたアルベール様の誕生日パーティーに末端として参加しており、偶々アルベール様に一目惚れをされて今に至ります。
 アルベール様は私を一目見た瞬間に『まるで宝石のようだ』となかなか面白い事を仰られ、それ以降毎日毎日愛の言葉を投げつけてきました。

 一例をあげると、

『俺とリコとの邂逅は、運命だったんだ』
『人生で一番の後悔は、これまでリコという存在に気付けなかったこと。17年も同じ国で生きていて、おまけに2年間も同じ学舎に通っていたのに気が付かなかったなんて情けない。けれどこれは、熟成期間だ。この空白があったからこそ、目の前にはバラ色の道が広がっているんだ……!』
『もしも俺とリコの仲を裂こうとする者が現れたら、全身全霊を以て叩き潰そう。それが例え、神であってもね』

 こんな感じ、ですね。
 アルベール様はなぜか毎回ドヤ顔と共に、こういう風に語りかけてきました。
 自分で言うのもなんですが、この方は私に惚れていました。ぞっこん、という状態でした。
 それがなぜ、こんな判断に至ってしまったのか?
 そこが非常に気になりますので、私はゆっくりと挙手をしました。

「アルベール様。お一つよろしいでしょうか?」
「……今この世でもっとも会話をしたくない相手だが、特別に許可しよう。なんだ?」
「どうして、婚約を破棄されるのでしょうか? 簡潔にお教えください」
「……どうして、だと……?」

 アルベール様の肩がぶるぶると震えだし、眉間には皺が深く刻まれました。
 これは、困りましたね。無意識的に、逆鱗に触れてしまったようです。

『王太子様が、ここまでお怒りになられるだなんて……。相当、だぞ……』
『だよな……。フェリアは、なにをやらかしたんだ……?』

「…………いいだろう。ならば全生徒の前で、公表してやろう」

 怒りに震えていたアルベール様はごくりと唾を飲み込み、一度瞑目。大きく息を吸って吐いた彼は、


「リコ・フェリア。貴様が浮気をしたからだ!!」


 こちらを強く指さし大声で、身に覚えがないことを言い放ちました。
しおりを挟む
感想 61

あなたにおすすめの小説

幼馴染みの婚約者が「学生時代は愛する恋人と過ごさせてくれ」と言ってきたので、秒で婚約解消を宣言した令嬢の前世が、社畜のおっさんだった件。

灯乃
ファンタジー
子爵家の総領娘である令嬢の前に、巨乳美少女と腕を組んだ婚約者がやってきた。 曰く、「学生時代くらいは、心から愛する恋人と自由に過ごしたい。それくらい、黙って許容しろ」と。 婚約者を甘やかし過ぎていたことに気付いた彼女は、その場で婚約解消を宣言する。 前半はたぶん普通の令嬢もの、後半はおっさんコメディーです。

【完結】離縁ですか…では、私が出掛けている間に出ていって下さいね♪

山葵
恋愛
突然、カイルから離縁して欲しいと言われ、戸惑いながらも理由を聞いた。 「俺は真実の愛に目覚めたのだ。マリアこそ俺の運命の相手!」 そうですか…。 私は離婚届にサインをする。 私は、直ぐに役所に届ける様に使用人に渡した。 使用人が出掛けるのを確認してから 「私とアスベスが旅行に行っている間に荷物を纏めて出ていって下さいね♪」

公爵令嬢の苦難

桜木弥生
恋愛
公然の場で王太子ジオルドに婚約破棄をされた公爵令嬢ロベリア。 「わたくしと婚約破棄をしたら、後ろ楯が無くなる事はご承知?わたくしに言うことがあるのではございませんこと?」 (王太子の座から下ろされちゃうから、私に言ってくれれば国王陛下に私から頼んだことにするわ。そうすれば、王太子のままでいられるかも…!) 「だから!お嬢様はちゃんと言わないと周りはわからないんですって!」 緊張すると悪役っぽくなってしまう令嬢と、その令嬢を叱る侍女のお話。 そして、国王である父から叱られる王子様のお話。

宮廷外交官の天才令嬢、王子に愛想をつかれて婚約破棄されたあげく、実家まで追放されてケダモノ男爵に読み書きを教えることになりました

悠木真帆
恋愛
子爵令嬢のシャルティナ・ルーリックは宮廷外交官として日々忙しくはたらく毎日。 クールな見た目と頭の回転の速さからついたあだ名は氷の令嬢。 婚約者である王子カイル・ドルトラードを長らくほったらかしてしまうほど仕事に没頭していた。 そんなある日の夜会でシャルティナは王子から婚約破棄を宣言されてしまう。 そしてそのとなりには見知らぬ令嬢が⋯⋯ 王子の婚約者ではなくなった途端、シャルティナは宮廷外交官の立場まで失い、見かねた父の強引な勧めで冒険者あがりの男爵のところへ行くことになる。 シャルティナは宮廷外交官の実績を活かして辣腕を振るおうと張り切るが、男爵から命じられた任務は男爵に文字の読み書きを教えることだった⋯⋯

嫌いなところが多すぎるなら婚約を破棄しましょう

天宮有
恋愛
伯爵令嬢の私ミリスは、婚約者ジノザに蔑まれていた。 侯爵令息のジノザは学園で「嫌いなところが多すぎる」と私を見下してくる。 そして「婚約を破棄したい」と言ったから、私は賛同することにした。 どうやらジノザは公爵令嬢と婚約して、貶めた私を愛人にするつもりでいたらしい。 そのために学園での評判を下げてきたようだけど、私はマルク王子と婚約が決まる。 楽しい日々を過ごしていると、ジノザは「婚約破棄を後悔している」と言い出した。

【完結】義姉の言いなりとなる貴方など要りません

かずきりり
恋愛
今日も約束を反故される。 ……約束の時間を過ぎてから。 侍女の怒りに私の怒りが収まる日々を過ごしている。 貴族の結婚なんて、所詮は政略で。 家同士を繋げる、ただの契約結婚に過ぎない。 なのに…… 何もかも義姉優先。 挙句、式や私の部屋も義姉の言いなりで、義姉の望むまま。 挙句の果て、侯爵家なのだから。 そっちは子爵家なのだからと見下される始末。 そんな相手に信用や信頼が生まれるわけもなく、ただ先行きに不安しかないのだけれど……。 更に、バージンロードを義姉に歩かせろだ!? 流石にそこはお断りしますけど!? もう、付き合いきれない。 けれど、婚約白紙を今更出来ない…… なら、新たに契約を結びましょうか。 義理や人情がないのであれば、こちらは情けをかけません。 ----------------------- ※こちらの作品はカクヨムでも掲載しております。

悪役断罪?そもそも何かしましたか?

SHIN
恋愛
明日から王城に最終王妃教育のために登城する、懇談会パーティーに参加中の私の目の前では多人数の男性に囲まれてちやほやされている少女がいた。 男性はたしか婚約者がいたり妻がいたりするのだけど、良いのかしら。 あら、あそこに居ますのは第二王子では、ないですか。 えっ、婚約破棄?別に構いませんが、怒られますよ。 勘違い王子と企み少女に巻き込まれたある少女の話し。

婚約破棄で見限られたもの

志位斗 茂家波
恋愛
‥‥‥ミアス・フォン・レーラ侯爵令嬢は、パスタリアン王国の王子から婚約破棄を言い渡され、ありもしない冤罪を言われ、彼女は国外へ追放されてしまう。 すでにその国を見限っていた彼女は、これ幸いとばかりに別の国でやりたかったことを始めるのだが‥‥‥ よくある婚約破棄ざまぁもの?思い付きと勢いだけでなぜか出来上がってしまった。

処理中です...