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「おや? 全員バラバラで、倒れている姿勢すらも違っていますね。……ギュータス殿、フィルマン殿。貴方がたはどのような理屈で、この証言から罪の断定へと至ったのでしょうか?」
「「…………………」」
兄様の鋭い目線を受けても、フィルマン達は何も答えられない。どちらも口をモゴモゴさせて、あたふたあたふた。顔中に玉の汗を浮かべ、必死に言い訳を探そうとしている。
「こ、これは、ですな……。う、うーむ……。これは……。その……」
「でぃっ、ディオン殿の――他国の王太子の御前故に心身が強張り、彼女達の記憶が混乱しているようですっ。先程お見せした報告書では、五人の証言は仔細一致していましたから!」
「……フィルマン殿の、仰る通りです。あそこには確かに、そうありましたね」
「でっ、でしょうっ? したがって最後の質問は――」
「とはいえ。あそこに体勢などの事細かな証言はありませんでしたし、そもそもですよ。委縮していたとしても、目視している景色をここまで間違えるとは思いません」
兄様の言う通り。こんなにも差異があるのはおかしい。
「よって自分は、彼女達に疑念を持っています。……そこでこの『疑』を突き詰めるために、これからマリー・レーヴァ――被害者となっている彼女のもとに向かい、直接お話を伺いたいと思います」
「い、いや、それは……っ。それは、ちょっと……」
「ギュータス国王。何か不都合がおありですか?」
「そ、その……。もう、夜が更けております……。ディオン殿のお身体にも障りますし――」
「貴国への移動の際に、睡眠は摂っております。ご心配痛み入ります」
国王の提案(妨害)は、あっさり棄却される。
「でぃっ、ディオン殿っ。マリー・レーヴァは現在、心的外傷後ストレスと呼ばれる症状で苦しんでおります! 彼女の心身の為にも、どうか時間を置いて――」
「貴方が先述された報告書の中に診断書がありましたが、そこにそんな情報はありませんでした。それは勘違いでしょう」
フィルマンの提案(妨害)も、あっさり棄却される。
その隙に何かしようと企んでるんだろうけど、兄様はお見通し。手を打ち鳴らして控えていた従者を呼び出し、出立の準備を整え始めた。
「フィルマン殿。他国の王族のみで押しかけてしまうと、それこそ委縮してしまうでしょう。ご面倒と重々承知ですが、ご同行をお願いできますでしょうか?」
「お、俺ですか? …………………」
「フィルマン殿? ご用事でもありましたか?」
「いっ、いやっ。その通りですね! 案内も兼ねてお供致しましょう……っ」
こうして私達はマリーの邸宅に赴くことになり、兄様と私は敢えて。ノンルさんと共に、一足先に部屋を出たのでした。
〇〇〇
「貴様らのせいで、状況が悪化したじゃないか……っ。この落とし前は、あとできっちりつけてもらうからな……!!」
ディオン達が部屋を出た直後。フィルマンの理不尽な怒りが爆発し、五人の少女は震え上がりました。
「そんな……っ。殿下っ、お許しを……っ」
「わっ、わたくし達は、指示された事はちゃんとやりましたわっ」
「こんなの、予想外ですっ。打ち合わせしてない事はできませんっ」
「……殿下や陛下だって、戸惑われていたじゃないですか……」
「お願いします……っ。あたし達を――」
「うるさい黙れ!! 父さん……っ」
「分かっている。最悪の事態に備え、手を打っておく。『この者達の狂言に振り回されてしまった』と、シラを切れるようにな」
涙目になっている少女達の目の前で更に恐怖心が生まれる会話が行われ、やがて5人は衛兵によって拘束されてしまいました。
――彼女達がそうなってしまったのは、悪事に加担してしまったから――。
5人は衛兵によって別室に連行されながら、自分の過ちを後悔し続けたのでした。
「「…………………」」
兄様の鋭い目線を受けても、フィルマン達は何も答えられない。どちらも口をモゴモゴさせて、あたふたあたふた。顔中に玉の汗を浮かべ、必死に言い訳を探そうとしている。
「こ、これは、ですな……。う、うーむ……。これは……。その……」
「でぃっ、ディオン殿の――他国の王太子の御前故に心身が強張り、彼女達の記憶が混乱しているようですっ。先程お見せした報告書では、五人の証言は仔細一致していましたから!」
「……フィルマン殿の、仰る通りです。あそこには確かに、そうありましたね」
「でっ、でしょうっ? したがって最後の質問は――」
「とはいえ。あそこに体勢などの事細かな証言はありませんでしたし、そもそもですよ。委縮していたとしても、目視している景色をここまで間違えるとは思いません」
兄様の言う通り。こんなにも差異があるのはおかしい。
「よって自分は、彼女達に疑念を持っています。……そこでこの『疑』を突き詰めるために、これからマリー・レーヴァ――被害者となっている彼女のもとに向かい、直接お話を伺いたいと思います」
「い、いや、それは……っ。それは、ちょっと……」
「ギュータス国王。何か不都合がおありですか?」
「そ、その……。もう、夜が更けております……。ディオン殿のお身体にも障りますし――」
「貴国への移動の際に、睡眠は摂っております。ご心配痛み入ります」
国王の提案(妨害)は、あっさり棄却される。
「でぃっ、ディオン殿っ。マリー・レーヴァは現在、心的外傷後ストレスと呼ばれる症状で苦しんでおります! 彼女の心身の為にも、どうか時間を置いて――」
「貴方が先述された報告書の中に診断書がありましたが、そこにそんな情報はありませんでした。それは勘違いでしょう」
フィルマンの提案(妨害)も、あっさり棄却される。
その隙に何かしようと企んでるんだろうけど、兄様はお見通し。手を打ち鳴らして控えていた従者を呼び出し、出立の準備を整え始めた。
「フィルマン殿。他国の王族のみで押しかけてしまうと、それこそ委縮してしまうでしょう。ご面倒と重々承知ですが、ご同行をお願いできますでしょうか?」
「お、俺ですか? …………………」
「フィルマン殿? ご用事でもありましたか?」
「いっ、いやっ。その通りですね! 案内も兼ねてお供致しましょう……っ」
こうして私達はマリーの邸宅に赴くことになり、兄様と私は敢えて。ノンルさんと共に、一足先に部屋を出たのでした。
〇〇〇
「貴様らのせいで、状況が悪化したじゃないか……っ。この落とし前は、あとできっちりつけてもらうからな……!!」
ディオン達が部屋を出た直後。フィルマンの理不尽な怒りが爆発し、五人の少女は震え上がりました。
「そんな……っ。殿下っ、お許しを……っ」
「わっ、わたくし達は、指示された事はちゃんとやりましたわっ」
「こんなの、予想外ですっ。打ち合わせしてない事はできませんっ」
「……殿下や陛下だって、戸惑われていたじゃないですか……」
「お願いします……っ。あたし達を――」
「うるさい黙れ!! 父さん……っ」
「分かっている。最悪の事態に備え、手を打っておく。『この者達の狂言に振り回されてしまった』と、シラを切れるようにな」
涙目になっている少女達の目の前で更に恐怖心が生まれる会話が行われ、やがて5人は衛兵によって拘束されてしまいました。
――彼女達がそうなってしまったのは、悪事に加担してしまったから――。
5人は衛兵によって別室に連行されながら、自分の過ちを後悔し続けたのでした。
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