理不尽な婚約破棄をされた私を助けてくれた兄様は、隣国の王太子でした

柚木ゆず

文字の大きさ
18 / 37

5話(3)

しおりを挟む
「フィルマン殿下が推理された通りでした。五人の家からは、マリーが購入して渡したアクセサリー達が。医師の家からは多額の現金が見つかり、全員が白状致しました。『マリー・レーヴァに話を持ち掛けられた』、と」

 あれからフィルマンが、慌てふためくマリーの両親へ――事情を全く知らずに混乱していた両親への説明などを行って、およそ2時間後。彼の従者が国王直属の兵士2人と共に帰ってきて、室内にいる全員に向けて証拠品を掲げた。
 フィルマンも関与していたものを、さもマリーが独断でやったように捏造して。

「……やはり、そうだったか。ディオン殿が疑問を抱かれなければ、まんまと騙されていたな」
「でんかっ――フィルマンっっ! それは貴方が渡したものでしょうっ!! あたしを裏切るつもりですのね!?」

 すっかり声がしゃがれているマリーが、ヒステリックに目を剥く。
 コイツは待機中も、ずっと裏切りと連呼した。だけどフィルマンは――兄様も一切相手にせず、今に至る。

「ここにいるこの男が主犯! 何度も行ってるけどっ! こいつは、あたしと結婚したがっていましたの!! あたしを信じてっっ!!」
「はぁ。見苦しいぞ、マリー・レーヴァ。俺とお前に、接点はない。深く関わっていない相手に、惚れるはずがないだろう」
「あたし達はっ! 二週間前から密かにお城で会っていましたわっ!! 会ったという証拠はありませんけどっ!! リーズがなれるのならあたしだってなれると思い、体を使ってアプローチをしたらこの男はあっさり心変わりをして――」
「それも、何度も聞いた。しかし逆に、貴様の罪を証明するものが見つかってしまったな?」
「こちらの物品および自白が、動かぬ証拠ですね。フィルマン殿を共犯とするのは、無理がありますよ」

 間髪入れず兄様も同意をして、ソレを確認したフィルマンが顎をしゃくる。そうすれば控えていた兵士がマリーに近づき、左右の腕を掴んで拘束した。

「フィルマン殿。妹は現在伯爵家令嬢ですが、後日ジェナの第一王女となる存在です。この件は伯爵家へではなく、王族に対する罪として対応をお願いしたします」
「ひぃっ……っ。お、おう、ぞく……」

 運が良くて強制労働を伴う無期懲役で、基本的には極刑が待っている。兄様の言葉でそれに気付いてしまったマリーは、脱力してその場に崩れ落ちてしまう。

「でぃ、でぃおん、でんか……っ。ちがい、ます……。しんじて、ください……。リーズに――リーズさまにしたことは、あやまりますから……っ。はんせいして、いますから……っっ。ちゃんと、しらべなおしてください……っ。おねが、っ、します……っ!」
「残念ながら、貴方の犯行は明白です。フィルマン殿」
「承知しました。この女を連れていってくれ」
「「はっ!」」

 今なお座り込んでいる、マリー。彼女はズルズルと乱暴に引きずられていき、

「いやだぁっ! おとうさまおかあさまっ! だれかっ! あたしをたすけて! しにたくないっっ! いやぁああああああ!! いやぁぁぁぁぁぁぁぁっぁああああああああああああああああああああぁぁあああああああああああああああああああぁああああああああああああああぁぁああああああああ――………………」

 泣き喚いて声にならない声をあげ、やがて恐怖で失神。あたしを陥れた元凶の片割れは、哀れな姿で扉の向こう側に消えたのでした。

しおりを挟む
感想 129

あなたにおすすめの小説

「地味な婚約者を捨てて令嬢と結婚します」と言った騎士様が、3ヶ月で離婚されて路頭に迷っている

歩人
ファンタジー
薬師のナターリアは婚約者の騎士ルドガーに「地味なお前より伯爵令嬢が ふさわしい」と捨てられた。泣きはしなかった。ただ、明日から届ける薬が 一人分減るな、と思っただけ。 ルドガーは華やかな伯爵令嬢イレーネと結婚し、騎士団で出世する——はずだった。 しかしイレーネの実家は見栄だけの火の車。持参金は消え、借金取りが押し寄せ、 イレーネ本人にも「稼ぎが少ない」と三行半を突きつけられた。 3ヶ月で全てを失ったルドガーが街角で見たのは、王宮薬師に抜擢された ナターリアが、騎士団長と笑い合う姿だった。 「なあ、ナターリア……俺が間違っていた」 「ええ、知ってます。でも、もう関係のない話ですね」

政略結婚だからと諦めていましたが、離縁を決めさせていただきました

あおくん
恋愛
父が決めた結婚。 顔を会わせたこともない相手との結婚を言い渡された私は、反論することもせず政略結婚を受け入れた。 これから私の家となるディオダ侯爵で働く使用人たちとの関係も良好で、旦那様となる義両親ともいい関係を築けた私は今後上手くいくことを悟った。 だが婚姻後、初めての初夜で旦那様から言い渡されたのは「白い結婚」だった。 政略結婚だから最悪愛を求めることは考えてはいなかったけれど、旦那様がそのつもりなら私にも考えがあります。 どうか最後まで、その強気な態度を変えることがないことを、祈っておりますわ。 ※いつものゆるふわ設定です。拙い文章がちりばめられています。 最後はハッピーエンドで終えます。

夫と息子に邪険にされたので王太子妃の座を譲ります~死に戻ってから溺愛されても今更遅い

青の雀
恋愛
夫婦喧嘩の末に置き去りにされた妻は、旦那が若い愛人とイチャついている間に盗賊に襲われ、命を落とした。 神様の温情により、10日間だけこの世に戻った妻と護衛の騎士は、その10日間の間に心残りを処分する。それは、娘の行く末と……もし、来世があるならば、今度は政略といえども夫以外の人の妻になるということ。 もう二度と夫と出会いたくない彼女は、彼女を蔑ろにしてきた息子とも縁を切ることを決意する。 生まれかわった妻は、新しい人生を強く生きることを決意。 過去世と同じ轍を踏みたくない……

お好きになさって下さい、私は一切気にしませんわ

Kouei
恋愛
婚約者のクレマンド様は、いつも私との約束を破ってばかり。 理由は決まって『従妹ライラ様との用事』 誕生日会にすら来なかった彼に、私はついに告げた。 「どうぞ、私以外のご令嬢をエスコートするなり、お出かけするなり、関係を持つなり、お好きになさって下さい。私は一切気にしませんわ」 二人の想いは、重なり合えるのだろうか …… ※他のサイトにも公開しています。

初夜に暴言を吐いた夫は後悔し続ける──10年後の償い【完結】

星森 永羽(ほしもりとわ)
恋愛
王命により、辺境伯ロキアのもとへ嫁いだのは、金髪翠眼の美しき公爵令嬢スフィア。 だが、初夜に彼が告げたのは、愛も権限も与えないという冷酷な宣言だった。噂に踊らされ、彼女を「穢れた花嫁」と罵ったロキア。 しかし、わずか一日でスフィアは姿を消し、教会から届いたのは婚姻無効と慰謝料請求の書状──。 王と公爵の怒りを買ったロキアは、爵位も領地も名誉も奪われ、ただの補佐官として生きることに。 そして十年後、運命のいたずらか、彼は被災地で再びスフィアと出会う。 地位も捨て、娘を抱えて生きる彼女の姿に、ロキアの胸に去来するのは、悔恨と赦しを乞う想い──。 ⚠️本作はAIの生成した文章を一部に使用しています。

里帰りをしていたら離婚届が送られてきたので今から様子を見に行ってきます

結城芙由奈@コミカライズ連載中
恋愛
<離婚届?納得いかないので今から内密に帰ります> 政略結婚で2年もの間「白い結婚」を続ける最中、妹の出産祝いで里帰りしていると突然届いた離婚届。あまりに理不尽で到底受け入れられないので内緒で帰ってみた結果・・・? ※「カクヨム」「小説家になろう」にも投稿しています

悪役断罪?そもそも何かしましたか?

SHIN
恋愛
明日から王城に最終王妃教育のために登城する、懇談会パーティーに参加中の私の目の前では多人数の男性に囲まれてちやほやされている少女がいた。 男性はたしか婚約者がいたり妻がいたりするのだけど、良いのかしら。 あら、あそこに居ますのは第二王子では、ないですか。 えっ、婚約破棄?別に構いませんが、怒られますよ。 勘違い王子と企み少女に巻き込まれたある少女の話し。

訳あり侯爵様に嫁いで白い結婚をした虐げられ姫が逃亡を目指した、その結果

柴野
恋愛
国王の側妃の娘として生まれた故に虐げられ続けていた王女アグネス・エル・シェブーリエ。 彼女は父に命じられ、半ば厄介払いのような形で訳あり侯爵様に嫁がされることになる。 しかしそこでも不要とされているようで、「きみを愛することはない」と言われてしまったアグネスは、ニヤリと口角を吊り上げた。 「どうせいてもいなくてもいいような存在なんですもの、さっさと逃げてしまいましょう!」 逃亡して自由の身になる――それが彼女の長年の夢だったのだ。 あらゆる手段を使って脱走を実行しようとするアグネス。だがなぜか毎度毎度侯爵様にめざとく見つかってしまい、その度失敗してしまう。 しかも日に日に彼の態度は温かみを帯びたものになっていった。 気づけば一日中彼と同じ部屋で過ごすという軟禁状態になり、溺愛という名の雁字搦めにされていて……? 虐げられ姫と女性不信な侯爵によるラブストーリー。 ※小説家になろうに重複投稿しています。

処理中です...