わたしから婚約者を奪った幼馴染が、顔を真っ赤にして怒鳴り込んで来た

第17話 その後のロバンは 俯瞰視点（１）

「…………やった、できたぞっ。父上っ、これを見てくれ！」
「おおっ、こちらも丁度まとまったところだ。見てみてくれ！」

　レベッカと新当主アランから予想外の返事をされ、頭を抱えながら叫び声をあげた日から一週間後。ロバンとエミルは目の下にくっきりとクマを作り、邸内にある執務室にて一枚の紙を見せ合っていました。

　二人が先ほど交換した紙は、契約解消を認めさせるための計画を記したもの。

　あのあとも彼らは『原因が分からない！』と絶叫を続けましたが、叫んでいても事態は好転しません。
　そこでロバンを中心とした『レベッカの説得班』と、エミルを中心とした『アランの説得班』を急遽結成。認めさせる術を練り始め、しかしながらそれは難航し、ほぼ不眠不休にも関わらずこんなにも時間が経っていたのです。

「これなら、レベッカは解除のサインをするはずだ。……どう思う……？」
「間違いないだろう。客観的に見てもいいアイディアだ」

「では、こちらはどう思う……？　私は、完璧だと感じたのだが……」
「…………僕も同意見だ！　どっちも完璧で、だとしたらっ」
「うむ！　今度こそ上手くいく！　やっとガラクタを追い出せるぞ!!」

　確認し合った結果二人は成功を確認し、早速エミルは早馬を走らせます。そうしてそれから４日後に再挑戦をすることになり、二人は意気揚々と動き始めました。

「ロバン。今夜のディナーは、最高級のステーキにしようじゃないか」
「ああ。夜は乾杯だ」

　どちらも上機嫌で『相手』のもとに向かい、それぞれが自信満々で再び契約解消話を切り出します。ですが――

『そこは、すでに対策済み。卿にお会いして、応じる可能性はないと確認済みだ』
『やりますわ！　あの男のせいで・・・・・・・もう、わたくしの人生に光がさす日はやって来ないんですもの……!!　ロバンにも一緒に堕ちてもらいますわ……!!』

　――新当主アランもレベッカも、すでに二人の『敵』となっています。そのため、どんな名案を捻りだしたとしても成功はなく――