婚約破棄をされるのですね? でしたらその代償を払っていただきます

柚木ゆず

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第3話 異常 クリストフ視点(7)

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「皆(みな)。次は、こちらを見て欲しい」

 右手で持っていた、5枚の書類の一つ。それを俺は大仰に左手で取り、しっかりとかざした。

『『『『『それは……。筆跡の、鑑定書……?』』』』』
『『『『『それが……。なに……?』』』』
「皆(みな)は、おかしいとは思わないか? 治安局が、まんまと騙されてしまっていることに」

 自分でも何をするつもりなのか、分からなくて……。激しく戸惑っていると、俺の身体は首を傾けながら周囲をぐるりと眺め回した。

「いくら肯定する鑑定書があっても治安局は念のため、証拠と本物を比較して独自に最終確認を行う。つまり俺が偽装した脅迫状と本物の筆跡を見比べているのに、治安局は気付かずにゴーサイン出した。筆跡は見る人が見れば差は一目瞭然なのに、そうなっているのはおかしいだろう?」
『『『『『た、確かに……』』』』』
『『『『『どうして、そんなことになっているんだ……?』』』』』
「その答えは、治安局長ユゴ・ナイレリオが協力をしてくれたから。彼は他の局員が捏造だと気付かないよう各書類を偽装し、局内での再鑑定を行ったことにしていたんだ」

 ………………。
 絶対他者に悟られてはいけない、機関との癒着……。今度はそれを、暴露してしまった……。

「彼はとかく金に目がない男で、その性質を利用し父上が買収していたんだ。ウチはこれまでも何度もユゴを動かしていて、色々と良い思いをさせてもらったよ」
『『『『『『………………』』』』』』
「呼び出しの目撃者やその他の証拠も、まあこんな風に揃えていった。そうしてついに舞台は整い、皆(みな)知っての通り決行となったのだよ」

『『『『『…………うそ………』』』』』
『治安局が、中立じゃなかっただなんて……。そんなことが、本当にあるのか……?』
『信じられませんが……。ご本人が、仰られているんですもの……。真実なのでしょう……』

「ああ、その通りだ。証拠もちゃんと残っている」

 俺は更に余計なことを口にして、っっ! 治安局員の方(ほう)を――仲間ではない治安局員を見やった。
 おっ、おい! やめろっ! やめ――

「屋敷の1階、父上の執務室を調べれば出てきます。……当事者が承諾すれば、複数の過程を飛ばして即日捜索が可能となる。このあと『最後の一つ』が済み次第、俺がそちらへと導かせていただきましょう」

 うああああああ……。俺はわざわざ余計な提案をしてしまい、局員共ににこやかに笑いかけてしまった……。
 そ、そして……。そして…………。
 そんなことをしてしまった俺は、そのあと――

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