婚約破棄をされるのですね? でしたらその代償を払っていただきます

柚木ゆず

文字の大きさ
18 / 26

第6話 17年 ~選択と再会~ クリストフ視点(2)

しおりを挟む
「お前は…………ベル……? ベル、なのか……!?」
「ええ、そうですわ。アナタに人生を滅茶苦茶にされた、元オデファート子爵令嬢のベルですわよ」

 ブクブクに太った、醜い容姿の女。声色を覚えていなければ気付けない程に変わってしまった彼女は、嫌みたっぷりにカーテシーを行った。

「アナタが声をかけてきたせいで、わたしまで罪に問われて、3年間も牢屋で過ごして、貴族籍を失って、追放されて、平民に堕ちて、安っぽい酒場で住み込みで働いていかないといけなくなりましたの。最後の最後で私を裏切り素敵な人生へと変えてくれて、痛み入りますわ」
「ちっ、違う! 俺は裏切ってなんていない!!」

 即座に俺は、首と両手を大きく左右に振る。
 そして――。離ればなれになってしまったことであの日伝えられなかった『真実』を、しっかりと伝えることにした!

「ベルっ、俺はお前だけを愛していた!! あのままフルールを仕留めるつもりだったんだっ!! だがっ、そんな時急に異変が起きたんだ!! いきなり口が思ってもいないことを喋り出してっ、身体まで勝手に動き出してしまって――」
「そんなこと、あるはずがないでしょう? そんなおかしな話、聞いたことがありませんわ」
「おっ、俺だってそんなもの聞いたことがないっ! でも本当なんだ!! あの日確かに起きてしまっていてっ、本当のことを口にして――」
「いいえ、本当のことじゃない。大きな嘘ですわ。アナタは土壇場で、フルールを想う気持ちが蘇ってしまったのですわ」

 わたしも最初は、自分の意思で動いていないと思っていた――。でもそれは荒唐無稽、一度も前例のないあり得ないこと――。あれはアナタの意思だったんですわ――。
 そうじゃ、ないのに……!! ベルはそう思い込んで、ギリリと歯ぎしりをした。

「自分から接触してきておいて、散々興味を持っておきながら、一番大事なタイミングでアレ。最高の演出でしたわぁ……!!」
「べっ、ベル違うんだ!! さっきから言っているようにっ、俺はあんな真似をするつもりは微塵もなかったんだ!! フルールに対する想いなんてない!! あれは身体が独りでに――」
「わたしもさっきから言っているでしょう? 身体が勝手に動く、そんなことが起きるはずがないと」

 だ、駄目だ……。俺は真実を口にしているのに…………。
 聞く耳を持ってくれない……。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

『婚約破棄されたので北の港を発展させたら

ふわふわ
恋愛
王立学園の卒業舞踏会。 公爵令嬢アリアベルは、王太子カルディオンから突然の婚約破棄を告げられる。 「真実の愛を見つけた」 そう言って王太子が選んだのは、涙を流す義妹ヴィオレッタだった。 王都から追い出され、すべてを失った―― はずだった。 アリアベルが向かったのは、王国の北にある小さな港町。 しかし彼女の手腕によって港は急速に発展し、やがて王国最大の交易港へと変わっていく。 一方その頃、王太子と義妹は王都で好き勝手に振る舞っていたが―― やがてすべてが崩れ始める。 王太子は国外追放。 義妹は社交界から追放され修道院送り。 そして気づいた頃には、北の港こそが王国の中心になっていた。 「私はもう誰のものでもありません」 これは、婚約破棄された令嬢が自分の人生を取り戻し、 王国の未来を変えていく物語。 そして―― 彼女の隣には、いつしか新しい王太子の姿があった。 婚約破棄から始まる、逆転ざまぁロマンス。✨

婚約破棄の慰謝料として『王国の半分』を要求したら、本当にくれたので、今日から私があなたの女王様です

唯崎りいち
恋愛
婚約破棄の慰謝料に 「王国の半分」を要求したら、 ゴミみたいな土地を押し付けられた。 ならば――関所を作りまくって 王子を経済的に詰ませることにした。 支配目当ての女王による、 愛なき(?)完全勝利の記録。

これまでは悉く妹に幸せを邪魔されていました。今後は違いますよ?

satomi
恋愛
ディラーノ侯爵家の義姉妹の姉・サマンサとユアノ。二人は同じ侯爵家のアーロン=ジェンキンスとの縁談に臨む。もともとはサマンサに来た縁談話だったのだが、姉のモノを悉く奪う義妹ユアノがお父様に「見合いの席に同席したい」と懇願し、何故かディラーノ家からは二人の娘が見合いの席に。 結果、ユアノがアーロンと婚約することになるのだが…

公爵令嬢ですが、実は神の加護を持つ最強チート持ちです。婚約破棄? ご勝手に

ゆっこ
恋愛
 王都アルヴェリアの中心にある王城。その豪奢な大広間で、今宵は王太子主催の舞踏会が開かれていた。貴族の子弟たちが華やかなドレスと礼装に身を包み、音楽と笑い声が響く中、私——リシェル・フォン・アーデンフェルトは、端の席で静かに紅茶を飲んでいた。  私は公爵家の長女であり、かつては王太子殿下の婚約者だった。……そう、「かつては」と言わねばならないのだろう。今、まさにこの瞬間をもって。 「リシェル・フォン・アーデンフェルト。君との婚約を、ここに正式に破棄する!」  唐突な宣言。静まり返る大広間。注がれる無数の視線。それらすべてを、私はただ一口紅茶を啜りながら見返した。  婚約破棄の相手、王太子レオンハルト・ヴァルツァーは、金髪碧眼のいかにも“主役”然とした青年である。彼の隣には、勝ち誇ったような笑みを浮かべる少女が寄り添っていた。 「そして私は、新たにこのセシリア・ルミエール嬢を伴侶に選ぶ。彼女こそが、真に民を導くにふさわしい『聖女』だ!」  ああ、なるほど。これが今日の筋書きだったのね。

妹のことが好き過ぎて婚約破棄をしたいそうですが、後悔しても知りませんよ?

カミツドリ
ファンタジー
侯爵令嬢のフリージアは婚約者である第四王子殿下のボルドーに、彼女の妹のことが好きになったという理由で婚約破棄をされてしまう。 フリージアは逆らうことが出来ずに受け入れる以外に、選択肢はなかった。ただし最後に、「後悔しないでくださいね?」という言葉だけを残して去って行く……。

婚約破棄の代償

ファンタジー
王太子妃の立場に向いていないと婚約破棄を告げるルフェーヴル・エリシア公爵令嬢。 婚約者であるオルフェリス・ルシアンはあっさりと承諾したが……。 ※複数のサイトに投稿しております。

私を見下していた婚約者が破滅する未来が見えましたので、静かに離縁いたします

ほーみ
恋愛
 その日、私は十六歳の誕生日を迎えた。  そして目を覚ました瞬間――未来の記憶を手に入れていた。  冷たい床に倒れ込んでいる私の姿。  誰にも手を差し伸べられることなく、泥水をすするように生きる未来。  それだけなら、まだ耐えられたかもしれない。  だが、彼の言葉は、決定的だった。 「――君のような役立たずが、僕の婚約者だったことが恥ずかしい」

【完結】悪役令嬢の反撃の日々

ほーみ
恋愛
「ロゼリア、お茶会の準備はできていますか?」侍女のクラリスが部屋に入ってくる。 「ええ、ありがとう。今日も大勢の方々がいらっしゃるわね。」ロゼリアは微笑みながら答える。その微笑みは氷のように冷たく見えたが、心の中では別の計画を巡らせていた。 お茶会の席で、ロゼリアはいつものように優雅に振る舞い、貴族たちの陰口に耳を傾けた。その時、一人の男性が現れた。彼は王国の第一王子であり、ロゼリアの婚約者でもあるレオンハルトだった。 「ロゼリア、君の美しさは今日も輝いているね。」レオンハルトは優雅に頭を下げる。

処理中です...