霊能師高校迷霊科～迷える霊を救う、たった一つの方法～

５話（７）

「まず俺と育美は、常時身近にいるようにする。そして億が一また暴走しそうになったら、手遅れになる前に俺がこの子を殺す。これなら被害は出ないだろ？」
「…………確かに、そうだな。だがその時、君は本当にその子を殺せるのか？」

　例えるならば、今なぜか上空を飛んでる鷹と同じ。心の奥底まで覗かれそうな、鋭い目線が真正面から飛んでくる。

「大切な者を手にかける、それはとても大きな決断だ。これ以上はない決断、と言って過言ではない」
「うん、その通りだ。滅茶苦茶重みがある」
「オレはこれまで似た場面に何度も直面したが、ただ一人も実行できた者はいなかった。決意していた者全員が躊躇し、結局実行できなかった。なのに君は、それが出来ると言うのか？」
「ここにいる育美は自より他を優先する子で、自分のせいで周りが傷つくと酷く後悔するからな。俺はコイツのためにも、その時は殺すんだよ」

　これに関しては、迷いはしない。もしも、もしもそうなってしまったら、躊躇わずに終わらせる。

「それこそ、例の千差万別だろ？　先程仰ったように人はそれぞれで、決断できる者だっているんだよ」
「…………成程。覚悟は、できているらしいな」

　彼はこちらを熟視したのち、独語。少しの間双眸に『感心』が宿ったが、それは「だが」という言葉と共に消え去った。