姉の婚約者を奪おうとする妹は、魅了が失敗する理由にまだ気付かない

柚木ゆず

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第8話 上手くいかなかった理由と、次のステップへ 俯瞰視点

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「レアンドル様。こちら、仰られていたものでございます」
「ありがとう。これで次の作戦に移れるよ」

 妹ソフィーがワゴンを押して現れる、およそ三十分前のこと。中庭では小さな封筒が差し出され、それはレアンドルの懐へと入ってゆきました。

「おかげで次回、仕掛けられるようになった。とはいえ――。それを確実に仕上げるには、このあとが重要になってくるね」
「はい。そう、ですね」

 このあと。それはソフィーによる、毛髪採取。
 2人は引き続き妹の言い分を信用しておらず、このタイミングで動いてくると確信していました。

「あの子は自然な形を装って、髪の毛を手にしようとしてきます。……いったい、どんな方法を取るつもりでしょうか……?」
「彼女は、スコーンを焼いているそうだね? となればその際に僕の服を汚して、綺麗にするという名目を利用するんじゃないかな?」

 そしてそれが失敗したら、ゴミや虫がと嘯いて頭に触れようとしたり、抜け毛を狙おうとする――。レアンドルの中には様々な行動パターンがすでに存在して、それらは的中。想定していたことが起きたため、ああして回避ができていたのです。
 そのためソフィーの作戦は全てが失敗に終わり、その後――帰り際。レアンドルが馬車に乗り込む際に、2人は小声で言葉を交わしていました。

(6日後。次に会う時は、わざと約束の時間を間違える。1時間早くここを訪れるから、よろしく頼んだよ)
(その日私は外出をして、午後4時まで空けていればよろしいのですよね? そちらは、しっかりと行わせていただきます)

 レアンドルとルロア。2人は妹と母が知らないところでトラップを張り、6日後――。打ち合わせ通り適当な理由をつけてルロアは出掛け、午後3時にレアンドルがローレンス伯爵家邸に到着しました。
 そして、

「ルロアは、いない? ……しまった、一時間早く訪ねてしまったらしい」
「でしたらシュヴァリエ様、わたしのお部屋――お姉様の婚約者なのですから、そこではなく応接室がよろしいですね。よろしければ、そちらでお茶を致しませんか?」
「そうだね。ではお言葉に甘えようかな」

 ソフィーはまんまと術中にはまってしまい、次の作戦が動き出したのでした――。

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