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第12話 確信する妹、そして ソフィー視点(1)

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「理由は分からないけどっ! これはシュヴァリエ様の髪の毛じゃないっ! そこにあるのはお母様の髪の毛だったのよ……っ!」

 色は違うけど、それしかありえないんだものっ。魔法陣を見据えていたわたしは、頭を抱えた。

「だから……っ。お母様は、こんな風になってしまった……。わたしに魅了されて、わたしを愛するようになってしまったんだわ……!!」
「違うわっ‼ 馬鹿なことを言わないで頂戴‼」
「ぎゃぶ⁉」

 お母様は傍にあったクッションを泣きながら投げつけてきて、わたしの顔に直撃した!
 ものすごい速さだったから痛い! でも目の前にいる人が危なすぎてっ、痛がる暇がない!

「違う、違うの……! お母さんは、そんな理由で貴方を愛してはいないっ。この気持ちは、何かによってもたらされたものではないわ……! あなたの魅力にようやく気付いて、真実の愛に自ら気が付いただけよっっ!」

 違うのが、違うっ。
 真実の愛なんかじゃない! お母様は自分で分かっていないだけっ! そうなったのは、この儀式のせい……っ!
 でもそう訴えたら、また泣きながら暴れだしそうだから……。作戦を変更するっ。

「ね、ねえ、お母様っ! 話は変わるけどっ、魅了を今すぐ解除する方法はないのっ? 急に聞きたくなったからっ、教えてっ!」

 解かないと、いつまでもこんな風にっ、あんな風に! 危険な愛を大量に抱いて迫ってくるようになるんだもんっ!
 早く解かないとっ! 解かないと大変なことになっちゃう‼

「ねっ、お願い! お願いだから教えてっ! どうしても知りたいからっ! 今一番知りたくて仕方がないことだからっ! 教えてお母さまっ‼」
「……そんなことを話している暇はないのだけれど、仕方ないわね。貴方のお願いなのだし、さっき投げつけちゃったしね。教えてあげるわ」
「あっ、ありがとうお母様っ。あるのよねっ? ちゃんとあるのよねっ?」
「うふふふふ」

 お母様が、笑った。
 よ、よかったぁ。ということは――

「その方法は、ないわ」

 ――え……?
 な、い…………?

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