19 / 29
第6話 理由 マルグリット視点(1)
「「「………………。どう、して……」」」
「僕は君達を一切信用していなくて、もしかしたら何かするかもしれない、と思っていてね。実を言うとずっと屋敷の外で見張っていて、不自然に馬車が動き出したからあとをつけていたのさ」
突然現れた馬車から降りて、わたし達の前で首を傾けて見せたクロード。ヤツの口から出てきた言葉を聞いて、わたし達は酷い立ち眩みに襲われていた。
そんな……。ずっと尾行されていただなんて……。
「「「気が、付かなかった……」」」
「ウチは商会を持っているが故に、厄介な敵も多くてね。こういうことも得意なのさ」
わたし達はしっかりと分析を行い、相手の力量を――ラファオール家の力を完璧に把握したつもりでいた。だけどそれは、大きな間違い。
アレはきっと、片鱗に過ぎなかった……。
「ぁ、ぁぁ……。ぁぁぁ……」
「ひぃぃぃぃい……。ひぃぃぃぃぃぃぃ……」
様々な意味で格上の相手に、露見してしまったんだもの。お父様とお母様が青ざめるのは当然で、わたしも全身から血の気が引いてしまっていた。
7か月も苦労して計画を動かして、うまく誘い込めてティナを手中に収めたのに……。最後の最後でこんなことになるだんて、最悪――…………。じゃない。最悪なんかじゃないわ!
「お父様お母様っ、しっかりして! わたし達は優勢で、まったくピンチじゃないわ!」
「「ま、マルグリット……?」」
「だってティナにこうすれば、ほら!! クロードはなにもできなくなるんだもの!!」
お母様が持っていたペティナイフを大急ぎで手に取り、眠っているティナの首筋に当てた。
――捕まれば人生は崩壊してしまう。なら道ずれにする――。
そうしておけば、クロードはなにもできなくなる! なぜなら最愛の人が目の前で死ぬのは、嫌だから!!
「お、おぉっ、おぉぉっ! そうだっ、その通りだ!!」
「すっかり忘れていたわ! そうっ、そうよねっ! この手があったわ!!」
「予想以外が起きたせいで、肝心な部分を見落としていたわ。……クロードさまぁ、実際はこちらが圧倒的に有利でしたねぇ? 大切な人を失血死させたくなければ、大人しくしていてくださいねぇ?」
ここはもう使えないから、とりあえずこの場を離れて別の場所に監禁する。ティナの行方を把握できない状態にした上で、脅すようにしましょう。
「もちろん尾行は、なしですよ? 次に少しでも怪しい真似をすれば、悲劇が待っていますよぉ? くれぐれも、余計なことはしないでくださいねぇ――……。なによ、なにがおかしいのよ」
口の端を吊り上げていたら、ふいにクロードがプッと噴き出した。
こんな時に、笑い出すなんて。なんなの……?
「僕は君達を一切信用していなくて、もしかしたら何かするかもしれない、と思っていてね。実を言うとずっと屋敷の外で見張っていて、不自然に馬車が動き出したからあとをつけていたのさ」
突然現れた馬車から降りて、わたし達の前で首を傾けて見せたクロード。ヤツの口から出てきた言葉を聞いて、わたし達は酷い立ち眩みに襲われていた。
そんな……。ずっと尾行されていただなんて……。
「「「気が、付かなかった……」」」
「ウチは商会を持っているが故に、厄介な敵も多くてね。こういうことも得意なのさ」
わたし達はしっかりと分析を行い、相手の力量を――ラファオール家の力を完璧に把握したつもりでいた。だけどそれは、大きな間違い。
アレはきっと、片鱗に過ぎなかった……。
「ぁ、ぁぁ……。ぁぁぁ……」
「ひぃぃぃぃい……。ひぃぃぃぃぃぃぃ……」
様々な意味で格上の相手に、露見してしまったんだもの。お父様とお母様が青ざめるのは当然で、わたしも全身から血の気が引いてしまっていた。
7か月も苦労して計画を動かして、うまく誘い込めてティナを手中に収めたのに……。最後の最後でこんなことになるだんて、最悪――…………。じゃない。最悪なんかじゃないわ!
「お父様お母様っ、しっかりして! わたし達は優勢で、まったくピンチじゃないわ!」
「「ま、マルグリット……?」」
「だってティナにこうすれば、ほら!! クロードはなにもできなくなるんだもの!!」
お母様が持っていたペティナイフを大急ぎで手に取り、眠っているティナの首筋に当てた。
――捕まれば人生は崩壊してしまう。なら道ずれにする――。
そうしておけば、クロードはなにもできなくなる! なぜなら最愛の人が目の前で死ぬのは、嫌だから!!
「お、おぉっ、おぉぉっ! そうだっ、その通りだ!!」
「すっかり忘れていたわ! そうっ、そうよねっ! この手があったわ!!」
「予想以外が起きたせいで、肝心な部分を見落としていたわ。……クロードさまぁ、実際はこちらが圧倒的に有利でしたねぇ? 大切な人を失血死させたくなければ、大人しくしていてくださいねぇ?」
ここはもう使えないから、とりあえずこの場を離れて別の場所に監禁する。ティナの行方を把握できない状態にした上で、脅すようにしましょう。
「もちろん尾行は、なしですよ? 次に少しでも怪しい真似をすれば、悲劇が待っていますよぉ? くれぐれも、余計なことはしないでくださいねぇ――……。なによ、なにがおかしいのよ」
口の端を吊り上げていたら、ふいにクロードがプッと噴き出した。
こんな時に、笑い出すなんて。なんなの……?
あなたにおすすめの小説
【完結】姉の婚約者を奪った私は悪女と呼ばれています
春野オカリナ
恋愛
エミリー・ブラウンは、姉の婚約者だった。アルフレッド・スタンレー伯爵子息と結婚した。
社交界では、彼女は「姉の婚約者を奪った悪女」と呼ばれていた。
妹に婚約者を奪われたけど、婚約者の兄に拾われて幸せになる
ワールド
恋愛
妹のリリアナは私より可愛い。それに才色兼備で姉である私は公爵家の中で落ちこぼれだった。
でも、愛する婚約者マルナールがいるからリリアナや家族からの視線に耐えられた。
しかし、ある日リリアナに婚約者を奪われてしまう。
「すまん、別れてくれ」
「私の方が好きなんですって? お姉さま」
「お前はもういらない」
様々な人からの裏切りと告白で私は公爵家を追放された。
それは終わりであり始まりだった。
路頭に迷っていると、とても爽やかな顔立ちをした公爵に。
「なんだ? この可愛い……女性は?」
私は拾われた。そして、ここから逆襲が始まった。
婚約者を取り替えて欲しいと妹に言われました
月(ユエ)/久瀬まりか
恋愛
ポーレット伯爵家の一人娘レティシア。レティシアの母が亡くなってすぐに父は後妻と娘ヘザーを屋敷に迎え入れた。
将来伯爵家を継ぐことになっているレティシアに、縁談が持ち上がる。相手は伯爵家の次男ジョナス。美しい青年ジョナスは顔合わせの日にヘザーを見て顔を赤くする。
レティシアとジョナスの縁談は一旦まとまったが、男爵との縁談を嫌がったヘザーのため義母が婚約者の交換を提案する……。
『姉に全部奪われた私、今度は自分の幸せを選びます ~姉の栄光を支える嘘を、私は一枚ずつ剥がす~』
六角
恋愛
復讐はしない。——ただ「嘘」を回収する。 礼儀と帳簿で宮廷の偽りを詰ませる“監査官令嬢”の華麗なる逆転劇。
王家献上宝飾の紛失事件で濡れ衣を着せられ、家族にも婚約者にも捨てられて追放された子爵家次女リリア。 数年後、彼女は王妃直属の「臨時監査官」として、再び宮廷の土を踏む。
そこで待っていたのは、「慈愛の聖女」として崇められる姉セシリアと、彼女に心酔する愚かな貴族たち。しかし、姉の栄光の裏には、横領、洗脳、そして国を揺るがす「偽造魔石」の陰謀が隠されていた。
「復讐? いいえ、これは正当な監査です」
リリアは感情に流されず、帳簿と証拠、そして真実を映す「プリズム」を武器に、姉が築き上げた嘘の城を一枚ずつ剥がしていく。 孤立無援の彼女を支えるのは、氷のように冷徹な宰相補佐レオンハルトと、豪快な近衛騎士団長カミュ。 やがてリリアは、国中を巻き込んだ姉の洗脳計画を打ち砕き、自分自身の幸せと、不器用な宰相補佐からの溺愛を手に入れる——。
これまでは悉く妹に幸せを邪魔されていました。今後は違いますよ?
satomi
恋愛
ディラーノ侯爵家の義姉妹の姉・サマンサとユアノ。二人は同じ侯爵家のアーロン=ジェンキンスとの縁談に臨む。もともとはサマンサに来た縁談話だったのだが、姉のモノを悉く奪う義妹ユアノがお父様に「見合いの席に同席したい」と懇願し、何故かディラーノ家からは二人の娘が見合いの席に。
結果、ユアノがアーロンと婚約することになるのだが…
お姉様は嘘つきです! ~信じてくれない毒親に期待するのをやめて、私は新しい場所で生きていく! と思ったら、黒の王太子様がお呼びです?
朱音ゆうひ@4月1日新刊発売!
恋愛
男爵家の令嬢アリシアは、姉ルーミアに「悪魔憑き」のレッテルをはられて家を追い出されようとしていた。
何を言っても信じてくれない毒親には、もう期待しない。私は家族のいない新しい場所で生きていく!
と思ったら、黒の王太子様からの招待状が届いたのだけど?
別サイトにも投稿してます(https://ncode.syosetu.com/n0606ip/)
妹と婚約者は私が邪魔なようなので、家から出て行きます
天宮有
恋愛
伯爵令嬢の私アリカが作った魔法道具の評判はよかったけど、妹メディナが作ったことにされてしまう。
婚約者ダゴンはメディナの方が好きと言い、私を酷使しようと目論んでいた。
伯爵令嬢でいたければ従えと命令されて、私は全てがどうでもよくなってしまう。
家から出て行くことにして――魔法道具は私がいなければ直せないことを、ダゴン達は知ることとなる。
永遠の誓いをあなたに ~何でも欲しがる妹がすべてを失ってからわたしが溺愛されるまで~
畔本グラヤノン
恋愛
両親に愛される妹エイミィと愛されない姉ジェシカ。ジェシカはひょんなことで公爵令息のオーウェンと知り合い、周囲から婚約を噂されるようになる。ある日ジェシカはオーウェンに王族の出席する式典に招待されるが、ジェシカの代わりに式典に出ることを目論んだエイミィは邪魔なジェシカを消そうと考えるのだった。