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第7話 一週間後~二度目の来訪~ アデライド視点(1)
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「アデライドに聞いて欲しいことがあるんだ」
それは、あの日から7日後の午後1時半過ぎ。エリク様がウチ――ルーヴァローテ家のお屋敷に来てすぐのことでした。
いつもの場所であるバルコニーで2人きりの会話が始まると、エリク様は眉根を寄せた。
「聞いて欲しいこと? なあに?」
「ボルール様を――ボルール子爵家の、ジル様を知っているよね?」
「ええ、知ってるわ。あの方がどうかしたの?」
「6日前に突然ウチにいらっしゃって、『ずっと申し訳なかった』と謝罪をいただいたんだよ。でもさ、思い当たる節がまったくないんだよね」
そのため理由を聞いてみたものの、返って来たのは『明かしたいのはやまやまたが、君のような人間には言わない方がいいと考えている』。ますます首を傾げていると、せめてものお詫びとしてエリク様が尊敬しているヴァイオリニストの特別公演のチケットを置いて帰ったみたい。
「……いくら考えてみても、やっぱり思い当たらなかった。『ずっと』ってことは、相当長い期間だったと思うんだ。アデライドは、何か気付くことはない?」
「ん~、特にはないわ。貴方になにかをしているようには見えなかったし、同じように驚いてる」
驚いている、というのは、半分本心で半分嘘。
実は『満月を君と』には、そんな出来事はない。ジル・ボルールが『キャラクター』ではなく『人間』になったから起きたもので、こういうことも起きるんだ、とビックリしている。
ただ。
『……………………そうか……。俺は、酷い思い違いをしていたのか……』
『……負けだ。俺の負けだ。器が違い過ぎる。姿勢が違い過ぎる。完敗だ』
あの時の彼はゲームにはない言葉で反省をしていて、その際のスチル以上に反省をしているように映った。だから何かしらの行動をするかもという思いもあって、納得している部分もある。
「そっか、そうだよね、ありがとう。じゃあこの話はお仕舞にして、いつもの話をしようか」
「そうね。そうしましょう」
お互い会えなかった時にあった出来事などを伝え合って、それが終わると他愛もない話に花を咲かせる。
そんな時間が午後5時ごろまで続いて、今日はここでお開き。エリク様は明日『お家』の用事が、わたしには出席しないといけないパーティーが――2人目の敵と接触するイベントが待っているため、いつもよりも早めの解散となった。
「バイバイ。またね、エリク」
「うん、バイバイ。またね――ああそうだ。アデライド」
馬車に乗り込もうとステップにかけていた足が、再び地面に降りた。
「ちょっと聞きたいんだけどさ、前に僕がプレゼントした猫のヌイグルミがあったでしょ? あれって、いつ君に渡したんだっけ?」
「猫の、ヌイグルミ? 10歳の時の、誕生日よ」
そのプレゼントに関するエピソードは、ドラマCDに収録されている。猫を飼いたいけど両親が猫アレルギーで飼えず、悲しむアデライドを慰めるためにプレゼントしたのよね。
「急にどうしたの?」
「いやね。なんとなく振り返っていた時に父上が『11歳の誕生日だった』と言い張って、あまりに自信満々だから不安になってきちゃったんだ。やっぱりそうだよね。帰ったら堂々と父上に指摘するよ」
肩を竦めて今度こそ馬車に乗り込み、エリク様は去っていた。
なのでわたしはお屋敷に戻り、リラックス――している暇なんて、もちろんない。
((明日からますます忙しくなる。しっかり下準備をしないとね))
エリク様を救えるように、その準備を始めたのだった。
それは、あの日から7日後の午後1時半過ぎ。エリク様がウチ――ルーヴァローテ家のお屋敷に来てすぐのことでした。
いつもの場所であるバルコニーで2人きりの会話が始まると、エリク様は眉根を寄せた。
「聞いて欲しいこと? なあに?」
「ボルール様を――ボルール子爵家の、ジル様を知っているよね?」
「ええ、知ってるわ。あの方がどうかしたの?」
「6日前に突然ウチにいらっしゃって、『ずっと申し訳なかった』と謝罪をいただいたんだよ。でもさ、思い当たる節がまったくないんだよね」
そのため理由を聞いてみたものの、返って来たのは『明かしたいのはやまやまたが、君のような人間には言わない方がいいと考えている』。ますます首を傾げていると、せめてものお詫びとしてエリク様が尊敬しているヴァイオリニストの特別公演のチケットを置いて帰ったみたい。
「……いくら考えてみても、やっぱり思い当たらなかった。『ずっと』ってことは、相当長い期間だったと思うんだ。アデライドは、何か気付くことはない?」
「ん~、特にはないわ。貴方になにかをしているようには見えなかったし、同じように驚いてる」
驚いている、というのは、半分本心で半分嘘。
実は『満月を君と』には、そんな出来事はない。ジル・ボルールが『キャラクター』ではなく『人間』になったから起きたもので、こういうことも起きるんだ、とビックリしている。
ただ。
『……………………そうか……。俺は、酷い思い違いをしていたのか……』
『……負けだ。俺の負けだ。器が違い過ぎる。姿勢が違い過ぎる。完敗だ』
あの時の彼はゲームにはない言葉で反省をしていて、その際のスチル以上に反省をしているように映った。だから何かしらの行動をするかもという思いもあって、納得している部分もある。
「そっか、そうだよね、ありがとう。じゃあこの話はお仕舞にして、いつもの話をしようか」
「そうね。そうしましょう」
お互い会えなかった時にあった出来事などを伝え合って、それが終わると他愛もない話に花を咲かせる。
そんな時間が午後5時ごろまで続いて、今日はここでお開き。エリク様は明日『お家』の用事が、わたしには出席しないといけないパーティーが――2人目の敵と接触するイベントが待っているため、いつもよりも早めの解散となった。
「バイバイ。またね、エリク」
「うん、バイバイ。またね――ああそうだ。アデライド」
馬車に乗り込もうとステップにかけていた足が、再び地面に降りた。
「ちょっと聞きたいんだけどさ、前に僕がプレゼントした猫のヌイグルミがあったでしょ? あれって、いつ君に渡したんだっけ?」
「猫の、ヌイグルミ? 10歳の時の、誕生日よ」
そのプレゼントに関するエピソードは、ドラマCDに収録されている。猫を飼いたいけど両親が猫アレルギーで飼えず、悲しむアデライドを慰めるためにプレゼントしたのよね。
「急にどうしたの?」
「いやね。なんとなく振り返っていた時に父上が『11歳の誕生日だった』と言い張って、あまりに自信満々だから不安になってきちゃったんだ。やっぱりそうだよね。帰ったら堂々と父上に指摘するよ」
肩を竦めて今度こそ馬車に乗り込み、エリク様は去っていた。
なのでわたしはお屋敷に戻り、リラックス――している暇なんて、もちろんない。
((明日からますます忙しくなる。しっかり下準備をしないとね))
エリク様を救えるように、その準備を始めたのだった。
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