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第1話 前世覚醒 ○○視点
天を穿ちそうなほどに高い建物と、馬車の何倍ものスピードで走る謎の物体。それらをあたしは、知っている。
あれは、『ビル』と『車』。
まるで分からなかったことを――分からなかったその2つ、だけじゃない。なにもかも全部、思い出した。
わたしはリュシエンヌ・ミラレイティアだけど、そんなわたしにはもう一つの名前があった。
――佐々木香澄(ささきかすみ)――。
それが、もう一つの名前。地球人――日本人だった頃の、あたしの名前だ。
佐々木香澄。
あたしは4人家族の長女として生まれて、幼稚園、小学校、中学校、高校、大学を経て、警察官になった。
警察官になった切っ掛けは、同じく警察官だった祖父の影響。弱きを助け悪を裁くその姿がカッコよくて、小学1年生の頃に将来の仕事を決めた。
警官への道は険しかったけど、我ながらあたしは非常に気が強い女の子だった。目の前に試練が立ちはだかるたびに燃えて、いつも泥臭く乗り越えていって。大学を卒業して無事、憧れの警察官になれたのだった。
警官となってからは祖父のような警察官になれるよう日々走り続けて、警官を目指している頃以上に色々と大変なことばかりだったけど、活き活きとした毎日を過ごしていた。
公私の『公』は充実していて、『私』も同じくらい充実していたっけ。
あたしには高校時代に交際を始めた、幼稚園からの幼馴染がいる。その人と毎週末にデートをするのが楽しみで、いつも元気をもらっていた。
『やっぱりさ、働くって色んな意味で厳しいものだよな。でも。これからも一緒に走っていこうな』
『もちろん。一緒に頑張って、お互い早く一人前になりましょうね!』
わたしは、一人前の警察官に。彼は、一人前のジュエリーの原型師に。
それぞれ目標があって、その目標を達成できたら結婚しようって約束をしていた。
だからより『前に進みたい』という気持ちがあって、全力で走り続けていた――のだけど……。
まさか、あんな形で『終わり』が来るとは思わなかったなぁ……。
『っ! 危ないっっ!!』
あれは、横断歩道を渡っている時だった。目の前を歩いているおばあさんへと信号無視の車が突っ込んでいって、あたしはそんなおばあさんを庇って撥ねられてしまう。
キキィィィィィ! ドン!!
激しいブレーキ音と、にぶい衝突音。
そんな2つの音を聞きながら、意識が遠のいていって――。ぷつりと、意識が途絶えてしまって――。
5月14日。皮肉なことに、25歳の誕生日の日。
あたしは死亡したのだった。
あれは、『ビル』と『車』。
まるで分からなかったことを――分からなかったその2つ、だけじゃない。なにもかも全部、思い出した。
わたしはリュシエンヌ・ミラレイティアだけど、そんなわたしにはもう一つの名前があった。
――佐々木香澄(ささきかすみ)――。
それが、もう一つの名前。地球人――日本人だった頃の、あたしの名前だ。
佐々木香澄。
あたしは4人家族の長女として生まれて、幼稚園、小学校、中学校、高校、大学を経て、警察官になった。
警察官になった切っ掛けは、同じく警察官だった祖父の影響。弱きを助け悪を裁くその姿がカッコよくて、小学1年生の頃に将来の仕事を決めた。
警官への道は険しかったけど、我ながらあたしは非常に気が強い女の子だった。目の前に試練が立ちはだかるたびに燃えて、いつも泥臭く乗り越えていって。大学を卒業して無事、憧れの警察官になれたのだった。
警官となってからは祖父のような警察官になれるよう日々走り続けて、警官を目指している頃以上に色々と大変なことばかりだったけど、活き活きとした毎日を過ごしていた。
公私の『公』は充実していて、『私』も同じくらい充実していたっけ。
あたしには高校時代に交際を始めた、幼稚園からの幼馴染がいる。その人と毎週末にデートをするのが楽しみで、いつも元気をもらっていた。
『やっぱりさ、働くって色んな意味で厳しいものだよな。でも。これからも一緒に走っていこうな』
『もちろん。一緒に頑張って、お互い早く一人前になりましょうね!』
わたしは、一人前の警察官に。彼は、一人前のジュエリーの原型師に。
それぞれ目標があって、その目標を達成できたら結婚しようって約束をしていた。
だからより『前に進みたい』という気持ちがあって、全力で走り続けていた――のだけど……。
まさか、あんな形で『終わり』が来るとは思わなかったなぁ……。
『っ! 危ないっっ!!』
あれは、横断歩道を渡っている時だった。目の前を歩いているおばあさんへと信号無視の車が突っ込んでいって、あたしはそんなおばあさんを庇って撥ねられてしまう。
キキィィィィィ! ドン!!
激しいブレーキ音と、にぶい衝突音。
そんな2つの音を聞きながら、意識が遠のいていって――。ぷつりと、意識が途絶えてしまって――。
5月14日。皮肉なことに、25歳の誕生日の日。
あたしは死亡したのだった。
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