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第9話 隠されていたお礼 リュシエンヌ視点
「「「……………………」」」
「あら? なにショックを受けてるの? ヴァランティーヌが取り戻したがっていたペンダントはこの通り無事戻ったきたのだし、マチルドとパトリシアが恐れていた『敵対貴族への証拠の譲渡』が行われなかった。全員最悪の事態になっていないのだから、むしろ喜ぶべきだと思うわよ?」
ヴァランティーヌの件は、今投げ渡したからちゃんと戻って来た。
マチルドとパトリシアの件はこうしてあたしが言い広めたことにより、敵対貴族が悪意ある改ざんをできなくなった。『家』の存続にかかわる致命傷を負う心配はなくなったのだから、嬉しいことよね?
「……最低よ……!」
「……信じていたのに……!」
「……法螺吹き……!」
「恨むなら悪事を働いた自分を恨みなさい。なにもかも自らが蒔いた種なんだからね」
あんなことをしなければ、こんなことは起きていない。すべて、ヴァランティーヌとマチルドとパトリシアが悪い。
「証拠付きの証言が広まったことで、アンタ達の評価と印象は一変した。これからどんな人生が待っているのか、楽しみね?」
「「「っっっ!!」」」
「これが、罪を犯す、ということよ。己の行いを振り返し、そうして――はぁ。人が喋っている時は邪魔をしないと、教わらなかったのかしらね」
3人が声を張り上げ、3人の侍女があたしを取り囲んだ。
力ずくで取り押さえて書類を奪い取ったら、まだどうにかなるかもしれない。それプラス痛い目に遭わせたくて、武力行使に出たのね。
「私(わたくし)にペンダントを返すタイミングが早かったわね? おかげで自由に動けるようになったわ」
「それと、書類をノコノコ持ち出してきたのも失敗」
「詰めが甘いわね。訓練を積んでいる人間が3で、わたくし達も入れたら6対1になっちゃった! 立場が逆転よ!!」
「…………と、思うでしょ? それがそうじゃないのよね」
あたしは職業柄、この手の輩が取る行動には詳しい。
なので当然、これも想定済みよ。
「アンタらの瞳の奥には、ずっと理不尽な怒りの炎が宿っていた。最後にもう一回お灸を据えたかったから、ちょうどいいわ」
「ふん。強がっていられるのも今のうちよ」
「この人数相手に、勝てるはずがない。人気(ひとけ)がない場所を選んだのは、間違いで――」
「え? この人数? すぐ半分になっちゃうわよ?」
あたしは懐から素早く、粉を――忍ばせていたコショウを抜き出し、侍女3人の顔面に投げつける。
「「「っっ!?」」」
相手に悟られないように3人の方向をまったく見ていなかったし、その3人は数的優位な状況で油断していた。そのため全員コショウを正面からかぶってしまい、
「ぶぷっ!? 目が――かは……」
「ぶ!? しま――がは……」
「ぐ!? みえな――ぁ、ぁぁ……」
全員が視界をふさがれている間に鳩尾に拳を打ち込まれ、等しく意識を刈り取られてしまったのだった。
戦闘訓練を受けていたとしても、隙をつかれてしまったら意味はない。この人達は獅子博兎をしっかりと勉強した方がいいわね。
「あら? なにショックを受けてるの? ヴァランティーヌが取り戻したがっていたペンダントはこの通り無事戻ったきたのだし、マチルドとパトリシアが恐れていた『敵対貴族への証拠の譲渡』が行われなかった。全員最悪の事態になっていないのだから、むしろ喜ぶべきだと思うわよ?」
ヴァランティーヌの件は、今投げ渡したからちゃんと戻って来た。
マチルドとパトリシアの件はこうしてあたしが言い広めたことにより、敵対貴族が悪意ある改ざんをできなくなった。『家』の存続にかかわる致命傷を負う心配はなくなったのだから、嬉しいことよね?
「……最低よ……!」
「……信じていたのに……!」
「……法螺吹き……!」
「恨むなら悪事を働いた自分を恨みなさい。なにもかも自らが蒔いた種なんだからね」
あんなことをしなければ、こんなことは起きていない。すべて、ヴァランティーヌとマチルドとパトリシアが悪い。
「証拠付きの証言が広まったことで、アンタ達の評価と印象は一変した。これからどんな人生が待っているのか、楽しみね?」
「「「っっっ!!」」」
「これが、罪を犯す、ということよ。己の行いを振り返し、そうして――はぁ。人が喋っている時は邪魔をしないと、教わらなかったのかしらね」
3人が声を張り上げ、3人の侍女があたしを取り囲んだ。
力ずくで取り押さえて書類を奪い取ったら、まだどうにかなるかもしれない。それプラス痛い目に遭わせたくて、武力行使に出たのね。
「私(わたくし)にペンダントを返すタイミングが早かったわね? おかげで自由に動けるようになったわ」
「それと、書類をノコノコ持ち出してきたのも失敗」
「詰めが甘いわね。訓練を積んでいる人間が3で、わたくし達も入れたら6対1になっちゃった! 立場が逆転よ!!」
「…………と、思うでしょ? それがそうじゃないのよね」
あたしは職業柄、この手の輩が取る行動には詳しい。
なので当然、これも想定済みよ。
「アンタらの瞳の奥には、ずっと理不尽な怒りの炎が宿っていた。最後にもう一回お灸を据えたかったから、ちょうどいいわ」
「ふん。強がっていられるのも今のうちよ」
「この人数相手に、勝てるはずがない。人気(ひとけ)がない場所を選んだのは、間違いで――」
「え? この人数? すぐ半分になっちゃうわよ?」
あたしは懐から素早く、粉を――忍ばせていたコショウを抜き出し、侍女3人の顔面に投げつける。
「「「っっ!?」」」
相手に悟られないように3人の方向をまったく見ていなかったし、その3人は数的優位な状況で油断していた。そのため全員コショウを正面からかぶってしまい、
「ぶぷっ!? 目が――かは……」
「ぶ!? しま――がは……」
「ぐ!? みえな――ぁ、ぁぁ……」
全員が視界をふさがれている間に鳩尾に拳を打ち込まれ、等しく意識を刈り取られてしまったのだった。
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