王太子マクソンスの選択ミス

柚木ゆず

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第2話 実行 マクソンス視点

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「む? どうしたのだ、マクソンス」
「叔父上。少々失礼します」

 カムフラージュのために設けていた、叔父上の屋敷で行う食事。それが済み会話を楽しんでいた俺は、適度なタイミングで席を立ちトイレへと入る。
 今回こうした理由は用を足すためではなく、計画を実行するためだ。

((まずは……。こいつを床に置く))

 知識と知恵を総動員して作成した、自作の魔法陣を描いた紙。折りたたんでいた30センチ四方の紙を床に広げ、その上にルシーとリビアから採った毛髪を一本を載せ、その上から俺自身の血を一滴たらす。

((次は、詠唱だな。……………………よし。間違いなく周囲には誰も居ないな))

 油断大敵。決めつけは仇となる。
 目を閉じ全神経を聴覚に集中させ、声が聞こえる範囲に人はいないと改めて確認。問題なしと認識した俺は必要な呪文を唱え、そうすれば――。魔法陣はどす黒く発光し、1分ほど光り続けたのち消失。
 輝きが消えると、紙にあった魔法陣や毛髪たちもまた消失していた。

((…………魔法陣や毛髪がなくなっているのは、俺の見間違いではない。正しく発動し、ちゃんと成功したようだな))

 発動条件を満たし、正しく発動した。それを念入りに確認した俺は――衛生的に問題があるが、やむを得ない。床に置いていた紙を呑み込んで証拠を隠滅し、何食わぬ顔で叔父上のもとへと戻る。
 そうして再びコーヒーを飲みながら談笑を行い、そんな時間が1時間ほど経った頃だろうか。

「旦那様っ、一大事でございます!!」

 やせぎすの老人こと家令ニックが血相を変えてやって来て、ルシーの異変を俺達に伝えた。

「そんな……。聖女様が、神殿内で倒れられただなんて……。マクソンスっ!」
「ええ、叔父上っ。ただちに向かいます!」

 俺にとってルシーは、大事な婚約者、と表向きはなっている。そこで俺は狼狽した芝居を行い大急ぎで馬車に乗り込み、青ざめ動揺しながらルシーのもとを目指したのだった。


((ふふふ。これで、第一段階は完了。ここからは、第二段階の幕開けだ))


 〇〇


 マクソンスは心の中でほくそ笑み、順調な進行を喜んでいました。
 ですがまもなく――。心の中にある笑顔は、一瞬にして消え去ることとなるのでした――。

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