王太子マクソンスの選択ミス

柚木ゆず

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第4話 理由と理由 ガブリエル・セイラルファル視点(4)

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「ルシー様のペンダントが、粉々に砕け散っている……?」

 今僕が立っている場所から見て、十二時の方向に12・6メートルほど直進した場所。引き寄せるまでルシー様がいらっしゃった場所に、ペンダントトップが散乱していたのだ。

「さっきはローブを引っ張り、ペンダントには一切触れはいませんし……。そもそも、この砕け方はおかしい」

 例え何かしらの衝撃が加わっても、粉々になるはずがない。となればこれは、『何か』によるものと見ていいだろう。

「僕が引っ張った拍子に動き、偶然触れてこうなっただけなのか……。狙いが、コレにあったのか……。…………ルシー様。こちらは特別な力を持つものだったのでしょうか?」

 僕が違和感を覚える不可視の存在が、近くに居たことなどなど。先の行動理由を伝え、そちらについての詳細を伺う。
 聖女様が、肌身離さずお持ちの品だ。やはり、相当な代物なのだろうか……?

「ペンダント自体はどこにでもある市販品なのですが、中身は特別――特殊なものが収まっておりました。私はその中に、出会った魂から吸い取った『穢れ』と聖力を合わせたものを収納していました」
「魂から吸い取った穢れと、力……? なぜ、そのようなものがそちらにあるのですか?」
「強い恨みや絶望を抱いて亡くなった方は、大量の濃い『穢れ』を纏った魂となって世界を漂い続けるようになってしまうのですよ。聖女は祈りを捧げてソレらを落とし『真っ白』な状態で天へと送るのですが、穢れが一定以上あった場合は落とす際に激しい痛みを伴うのです。なのでどうにかして苦痛を減らせないかと考え、痛みを伴わない『吸い取る』という方法を編み出したのですよ」

 ルシー様は死者を想い、新たなものを発見されていた。そうして吸い取った場合は内部でゆっくり時間をかけて祓わないといけないため、毎日少量の聖女の力を混ぜ込み1か月かけて浄化をしていたのだった。

「穢れが傍にあると知ったら皆様は不安を覚えてしまいますので、これまで伏せておりました。申し訳ございません」
「いいえ、やはり貴方様は素敵な御方でございます。…………と、なると……。『何か』は、これを狙ったのではなそうですね」

 穢れと、浄化するための聖女の力が合わさったもの。ソレがあっても役には立たないだろうから――

「ガブリエル様、恐らくはこちらが狙いだったと思います。この場に収納していた5人分の穢れはなく、全てが持ち去られておりますので」

 ――…………。僕の推理は、大きく間違っていたらしい。
 ルシー様によると穢れ達が外に零れた場合は、そこにずっと残るとのこと。したがってソレがないということは、『何か』が意図的に持っていったことになる。

「大量の穢れと、僅かな聖女の力を求めていた……。なにが狙いなのでしょうね……?」
「狙いは、分かりかねます。ですが犯人は、すぐに明らかになると思いますよ」

 ますます混乱を極めていたら、予想外のお言葉がやって来た。
 犯人が、分かる……?

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