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第8話 想定外たち マクソンス視点(3)
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「聖女の座なのか王太子妃の座なのか、そこまでは分かりませんが――殿下。貴方は少なくとも、僕が守護騎士の任に就いた時には――1か月前には、ルシー様にそういった『悪い』感情を抱かれていましたよね?」
「一か月前!? その頃はリビアからアプローチを受けていないんだっ。そんなことをするはずがないだろうっ!」
実際その通りだが、認めてしまえば大変なことになってしまうだろう。最悪の事態を回避するべく、動揺を抑えながら否定を行った。
「ガブリエル、君は何か勘違いをしている。あの頃の俺は、今のような醜い他意を抱いてはいない」
「いいえ、抱いていますよ。なぜならば、僕のセンサーがずっと反応していたのですからね」
……………………。
コイツ、は……。騎士の修行を突き詰めた結果、周囲にある悪意敵意殺意を感知できるようになっていて……。ずっと、感じ取っていた…………。
「とはいえ僕のセンサーは、努力による人知を超えないもの。そのため悪意に関しては誰へ向けられたかまでは感知できず、そのせいで酷い勘違いをしてしまっていました」
「かん、ちがい……?」
「前任は同性で、僕は異性。同じ男が傍にいることが殿下は面白くないのだろう――僕へ向けられている敵意だと、思っていたのですよ。歴代聖女様のご子息が――聖女様の重要性を誰よりも理解されている殿下が、聖女様に危害を加えるなどあり得ない。そんな固定観念に囚われてしまっていました」
「……じゃあ……。なぜなんだ……。なんでお前達はここに現れたんだ……?」
ここに居て俺の叫びを聞いても、誰一人として驚きはしなかった。つまり全員が、俺が犯人だと確信していたことになる。
どこで、認識が変わりやがったんだ……。
「呪いは悪意の塊だからなのか、はたまた使用した材料に理由があったのか、分かりませんが――。発生後『何か』に直面した際のことを振り返っていると、極僅か、うっすらとですが覚えのある感覚があったのですよ」
その時に感じたものは、俺が放っている悪意に似ているような気がしていた。だから……。
念のため神殿関係者以外には一部を伏せ、どう動くか観察していた。あちこちに神官を配置し、更にはあのあと俺をずっと尾行させていた……!
「そうすれば殿下は怪しい動きを見せ、ルシー様と僕達は犯人だと確信しました。となれば向かう先に穢れがあるため、この世の災いを処理するべくこの場を訪れていたのですよ」
「く……。なんだ、それは……! 反則的じゃないか……!!」
「呪いを使用した人間に、言われたくはありませんよ。とにかくそういった理由で偽りしかないと理解していて、そういった言い分は通用しません。……もっとも――仮に嘘を貫き通せたとしても、お二方の未来は変わらないのですがね」
…………なんだと? それはどういう意味だ……!?
「一か月前!? その頃はリビアからアプローチを受けていないんだっ。そんなことをするはずがないだろうっ!」
実際その通りだが、認めてしまえば大変なことになってしまうだろう。最悪の事態を回避するべく、動揺を抑えながら否定を行った。
「ガブリエル、君は何か勘違いをしている。あの頃の俺は、今のような醜い他意を抱いてはいない」
「いいえ、抱いていますよ。なぜならば、僕のセンサーがずっと反応していたのですからね」
……………………。
コイツ、は……。騎士の修行を突き詰めた結果、周囲にある悪意敵意殺意を感知できるようになっていて……。ずっと、感じ取っていた…………。
「とはいえ僕のセンサーは、努力による人知を超えないもの。そのため悪意に関しては誰へ向けられたかまでは感知できず、そのせいで酷い勘違いをしてしまっていました」
「かん、ちがい……?」
「前任は同性で、僕は異性。同じ男が傍にいることが殿下は面白くないのだろう――僕へ向けられている敵意だと、思っていたのですよ。歴代聖女様のご子息が――聖女様の重要性を誰よりも理解されている殿下が、聖女様に危害を加えるなどあり得ない。そんな固定観念に囚われてしまっていました」
「……じゃあ……。なぜなんだ……。なんでお前達はここに現れたんだ……?」
ここに居て俺の叫びを聞いても、誰一人として驚きはしなかった。つまり全員が、俺が犯人だと確信していたことになる。
どこで、認識が変わりやがったんだ……。
「呪いは悪意の塊だからなのか、はたまた使用した材料に理由があったのか、分かりませんが――。発生後『何か』に直面した際のことを振り返っていると、極僅か、うっすらとですが覚えのある感覚があったのですよ」
その時に感じたものは、俺が放っている悪意に似ているような気がしていた。だから……。
念のため神殿関係者以外には一部を伏せ、どう動くか観察していた。あちこちに神官を配置し、更にはあのあと俺をずっと尾行させていた……!
「そうすれば殿下は怪しい動きを見せ、ルシー様と僕達は犯人だと確信しました。となれば向かう先に穢れがあるため、この世の災いを処理するべくこの場を訪れていたのですよ」
「く……。なんだ、それは……! 反則的じゃないか……!!」
「呪いを使用した人間に、言われたくはありませんよ。とにかくそういった理由で偽りしかないと理解していて、そういった言い分は通用しません。……もっとも――仮に嘘を貫き通せたとしても、お二方の未来は変わらないのですがね」
…………なんだと? それはどういう意味だ……!?
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