前世の記憶が蘇ったので、身を引いてのんびり過ごすことにします

柚木ゆず

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第8話 全員が辞退⁉ 俯瞰視点

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「父上っ、どっ、どういうことなんだ!? アイツら全員が、辞退だなんて……! いったい何がどうなってそうなったんだっ!?」
「……『療養中にふとこれまでの出来事が蘇り、自分は他の候補者3人よりも全てにおいて劣っていると痛感した』『最上の御方であるアルノー様に相応しい女ではないと、認めざるを得なかった』。そういった理由だそうだ……」

 あのあと4人はあの場でもう少し話し合い、出ていたアイディアはよりよいものへと変化。そうして各当主は――それぞれの父親は、そちらを伝えていたのでした。

「4人全員が急にっ、しかも同日にまったく同じことを言い出しただとっ!? おかしいっ、明らかにおかしいだろう――…………。あきらかに、おかしいが…………。それは…………本心、なのだろうな……」

 コレット、イザベル、エステル、ゾエ。この4人もまたアルノーに選んでもらうため3年間行動を続け、本気で婚約者を目指していました。その事実によってアルノーは、『ヤツらに嘘を吐くメリットは何一つない』と判断したのです。

「だっ、だが父上!! 他の候補者が辞退したと知れば――」
「辞退したという話は、すでに伝えている。だがな……。『それでは消去法となってしまいます』『ゆえに娘は、その資格はないと即答致します』と、返ってきたのだよ。あちらは全員が、それでも辞退をするつもりだ」
「こっ、ここまで来てそんな勝手が許されるか!! 父上っ、すぐに撤回させようっ!! 強引に引っ張ってこようっ‼ 4人全員をここに集めてっ、強制的に最終試験に参加させて――」
「アルノーよ、それは無理だ。すでにお前を想っての辞退は広がり始めていて、そうしてしまえばその行動を大勢に悟られてしまう。いくらウチであっても、伯爵家に強制を行ったとなると大問題に発展してしまうのだよ」

 アルノーの訴えは、またしても4人の作戦によって遮られてしまいます。
 父モリスは、息子のああいった厳選を許す――息子を溺愛する愚かな親ではありましたが、それ以外の常識は持ち合わせていました。そのため首を左右に振り、これではアルノーも諦めざるを得ませんでした。

「くそっ、くそっっ、くそがぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ……!! コレットっ、イザベルっ、エルテルっ、ゾエっっ! あのゴミどもがぁぁぁぁああああああああああああああああああっ!!」

 3年間の計画が、寸前で台無しになってしまったこと。せっかく用意していた婚約披露パーティーは急遽の予定変更を余儀なくされ、形がどうであれ特大の恥をかいてしまうこと。
 それらを許せずアルノーは青筋を立て、傍に――エントランスにあった調度品を蹴り飛ばすなどして、激昂。2分ほど大声を上げながら暴れ回り、ようやくある程度の落ち着きを取り戻しました。

「………………ま、まあいい。まあいいっ! 代わりの女はっ、もっと良いっ、俺に相応しい女はまだいるはずだからな!!」

 今日から再び調査を行い、該当者を集めて改めて選抜すればいい。むしろ今回は、実際は低価値だった女を選ばずに済んでよかったんだ。おめでたいことだ。
 アルノーは自身にそう言い聞かせ、早速臣下に命じて調査を行わせます。そしてその報告を待つことにしたのですが――。
 それから一週間後。彼を再び、大きな衝撃が襲うことになるのでした。










 ※次のお話からは再び、エレーヌsideのお話となります。

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