元婚約者様へ。私は決して復縁はいたしませんよ

柚木ゆず

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第11話 3時間後のリッダジア邸では ルーラルト視点

「お前達っ、作戦再開だ! 該当者が見つかり次第動く。トムっ、ミゲイルっ、ザックスっ! お前達はいつでも動けるようにしていろよ!」

 あの出来事から3時間後。邸内には、ハキハキとした俺の声が響き渡っていた。
 あれは杞憂で、心配する必要は何もなかったと理解したからなっ。もう怯える必要はないのだ!

「この中で一番貢献した者には、特別にたっぷりボーナスをやろう。俺の期待に応えるんだぞっ、いいなっ?」
「「「はっ! お任せくださいませ!」」」
「うんうんっ、良い返事だ! じゃあ俺は暫く休む。何かしら報告があったら、すぐ伝えに来いよっ!」

 俺は満足げに頷いたあと作戦会議室を出て、自身の寝室へと向かう。
 オーバン様が変なタイミングで使者をよこしたせいで、昨日から一睡もできていない。酷い睡眠不足を解消するべく、廊下を歩いて――

「ははっ、はははっ! 再び流れが向いてきたなルーラルトっ! はははっ! はーはっはっはっはっ!」

 ――部屋に入ろうとしていたら、大笑いをしながら父上がやって来た。
 俺達をあんなにも苦しめていたものが、跡形もなく消え去ったんだ。そうなるのは必然といえる。

「いやぁっ、ステラス嬢には感謝しないといけないな! よくぞ告発しなかった! ステラス様様だな!」
「アイツが伝えていれば終わっていたので、そうなりますね。……しかしどうして、伝えなかったのでしょうね……?」

 あの日の様子を見るに、ステラスはかなり敵視していた。そんな相手を困らせたいと思うはずなんだが、どうして黙っているんだ……?

「恐らく、自身の名誉を守るためだろうな。落ち着いて考えてみたら、告発には大きなデメリットも存在する。そこを恐れたのだろう」

 理由がどうであれば、ステラスは捨てられたことになる。魅力がない女だと思う者が出てくる。
 本当にあの噂は捏造だったのか? 強い繋がりを得たから、改めて払拭しようとしてるだけじゃないのか? と、噂好きな連中が勘繰りだす。
 などなど。言われてみると確かに、そういったものが思い浮かんだ。

「……なるほど、『やりたいけどできない』状態だったのですね。それなら父上」
「うむ、告発は今後も有り得ない。ということは?」
「懸念材料は完全に消えた、ということ。……ますます、作戦の成功が確定的となりましたね」

 プランBが成功して、再びステラスが俺のものになる。この国の宝が妻になる。その未来の到来が、確実となった。

「はっはっは! はーっはっは! 最高のっ、質の良い睡眠が摂れそうだ!」
「ええ。ではお互い、最高の夢をみましょう」

 俺達は改めて笑い合い、ベッドに入って眠りの世界に落ちる。そうして俺はこの上なく快適な時間を過ごし、来るべき時に備えて英気を養ったのだった――。

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